世界2500台限定車のWRC仕様をベースにレッキ車レプリカを極めたセリカ【全国ST16ミーティング】
愛車のカスタマイズ手法にはさまざまなジャンルがあるが、昔も今もモータースポーツのベース車となったクルマで人気なのが、装着パーツやエクステリアのカラーリングなどでレースマシンを再現するいわゆる“レプリカ”カスタム。
WRC(FIA世界ラリー選手権)をはじめとする世界のラリー競技で大活躍したトヨタの4WDマシン『セリカGT-FOUR』シリーズでは、マールボロやカストロールカラーなど“ワークスマシン”を模して仕上げるのが王道だが、ここで紹介する水冷ICさんのST205型セリカGT-FOURは、それらとは一線を画す渋いレプリカ仕様。素人目にはわからないが、見る人が見れば「おお〜っ!」と唸る仕上がりとなっているのだ。
水冷ICさんが愛車カスタムのモチーフとしたのは『レッキ車』と呼ばれるマシン。ラリーファン以外には馴染みのないものなので簡単に説明しておくと、レッキ車というのはSS(=スペシャルステージ)と呼ばれるタイムトライアル区間で全開走行をおこなうために欠かせない“ペースノート”を作成するために、事前にコースの下見を行う際に使用する車両のこと。
プライベート参戦チームなどでは現地調達のレンタカーでレッキをおこなう場合もあるが、ワークスチームでは競技車両と同車種の専用車が用意されていたりする。とはいえレッキは一般車両も往来するなか制限速度の範囲でおこなわれるため、競技車両とは違って改造やカラーリングが控えめとなっているのが特徴だ。
水冷ICさんの愛車は、WRC参戦のホモロゲーションモデルとして2500台限定で生産されたST205型の『セリカGT-FOUR WRC仕様』車。
「20歳の時に中古で購入したのがこのクルマです。元々はクルマにまったく興味がなかったのですが、仲間の乗っているST185をみてリトラクタブルライトのスタイルにひと目ボレ。そこで最初はFFのST182を購入したのですが、その後にWRCでセリカが活躍する姿を雑誌などで知るうちに『本物のホモロゲモデルがほしい』と思って探し出しました。かなりの数が海外に流れていったようで、私の知りうるかぎりでは国内に現存するのは80台くらいだと思いますよ」とのことだ。
ST165、ST185の華やかなラリーでの活躍を引き継ぐモデルとして、1994年にデビューしたST205系セリカGT-FOUR。
ベースとなっているT200系はセリカの6代目モデルで、新設計のボディは3ナンバー規格に合わせたもの。サスペンションはセリカシリーズでは初採用となるスーパーストラットが装着されていた。
ST205に搭載されるエンジンはST185から引き継がれるツインカムターボ3SーGTだが、インジェクター容量の拡大やDジェトロ方式の燃料供給システム、メタルヘッドガスケット、水冷インタークーラーなどの採用により最高出力が255psへとアップしている。
水冷ICさんのST205は基本的にノーマルエンジンのままだが、ラリー参戦のために装備されていたラジエターウオッシャーやインタークーラーのウォータースプレー配管を試行錯誤でつなぎ、しっかりと機能するように改造しているのが自慢。
そしてもっともこだわりが詰まっているのがエクステリアで、細部に至るまで当時のレッキ車を忠実に再現している。
リヤのコンビネーションランプやリヤフォグ、リヤガーニッシュはヨーロッパ仕様に変更。リヤウイングのベース部分は純正ではブラックのものをホワイトに塗装している。マッドフラップはステッカーも含めて、すべて自作したもの。フロントリップスポイラーもヨーロッパ仕様。足まわりはダンパーをカヤバのニューSRに変更したほか、スピードラインACRO-Rホイールとミシュランの16インチタイヤを装着している。
さらに室内はメーターのほか、サンバイザーも英国仕様に変更。英国仕様のサンバイザーは運転席側にもミラーが装備されているほか、CAUTIONラベルが英語表記になっているのがポイントだ。「エクステリアやインテリアは、友人が持っている本物のレッキ車(!)を参考に作り上げました。ほぼ満足の仕上がりになってますが、細かなところで異なるのは、給油口(フタがなくキャップタイプ)とダッシュボードの防眩加工くらいだと思います」とのことだ。
「ST205で一番のお気に入りは、なんといってもスタイルです。休日のドライブやイベント参加のみの使用なので今のところトラブルもなく維持するのもそれほど苦労はしていませんが、国内ではほとんど部品が手に入らなくなってきたのが心配です」と締めくくってくれた水冷ICさん。
悪路を難なく駆け抜けるラリー車のように、今後もトラブルや不具合を克服しつつ末長くST205に乗り続けていってくれることを願いたい。
(テキスト:川崎英俊/ 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
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