ワイスピファン垂涎の1台、幻の“モリモトZ”が日本に健在!

世界中に日本車のチューニングブームを打ち立てたカーアクションムービーの金字塔『ワイルドスピード』。その3作目として日本を舞台に描かれた『TOKYO DRIFT』は、それまでの2作以上に日本車が登場すると同時に、日本のチューニングメーカー&ショップが車両製作に携わったことでも知られている。そんなワイスピ3に登場したムービーカーが今も日本に残っているとしたら…。

本国仕様のポスターにも描かれた「トップシークレット」製のワイドボディを装着するゴールドカラーのZ33は、劇中の敵役“モリモト”が乗るマシンとして登場した。
主人公とのドリフト対決や、中盤のキーポイントにも登場するインパクト大の1台だったが、その「モリモトZ」の現オーナーが、スマホアプリCARTUNEを介したカークラブ『TEAM KSK』代表・TOKIPAPAさんである。

TOKIPAPAさんによると、TOKYO DRIFTで使用されたモリモトZは撮影にあたり5台(登場人物が乗るメインカー、カメラ設置用にボディ加工されたカメラカー×2台、クラッシュシーンのためのスタントカー×2台、合計5台)が製作されたが、後に廃棄(メインカー1台のみ記念オークションで海外へ)。日本公開時には1台も残っていなかったため、急遽配給元が展示用として製作元のトップシークレットに依頼したのがこの“幻の6台目”なのだという。

展示用といってもその内容はすべて撮影用のメインカーと同等。ボディキットやカラーリングは当然ながら、エンジンもVQ35DE改ツインターボで420ps相当にチューニングし、大幅に性能アップ(ノーマルはNA・280ps)。
発注書や仕様書など実車であることを確認できる書類も揃っていたため、その素性は明らかだという。
ボディからエンジンに至るまで、製作はもちろん「トップシークレット」が担当したため、パフォーマンスと信頼性は文句無し。

ワイルドスピード1作目で使用されたスープラには数千万円の値段がつけられるなど、ムービーカーとしてもコレクター垂涎のアイテムなため、精巧なレプリカが製作されることも少なくない。しかしこのZ33に使用されるワイドボディキットや装着ホイール(ボルクレーシングGTC)は絶版パーツのため、今からレプリカを作るのはほぼ不可能。こういった理由からもこのZ33の価値は本物と言えるだろう。

しかしその一方でこのZ33も購入時点で「完成形」という訳では無く、部分的に劇中のメインカーと違う箇所(ラゲッジのNOSタンクやスイッチ類、エンジンカバーなど)が存在していたが、オーナー自らDVDを凝視しながらディテールを煮詰めて劇中メインカー仕様に近づけているという。

『本物のムービーカー』というこのクルマの性質上、自分の好みで仕様を変えてしまってはせっかくの価値が台無しになってしまうため、流行のカスタムなどのアップデイトが楽しめないのが唯一の難点との事。特にフェンダーから奥まって装着されるタイヤは、今のトレンドで考えればツライチセッティングを目指したいところだが、そこはグッとこらえて、メインカーにより近づけるためのパーツ変更にとどめている。

ちなみに、劇中のメインカーとほぼ同じ姿を維持しているZだが、ひとつだけ止むを得ない理由で変更されている箇所が…。
それは意外にも「シート」。もともと装着されていたノーマルシートから、本来なら「レカロSP-G」に変更したかったのだが、TOKIPAPAさんの体が入らなかったため、バックレストの形が似ている「レカロSR-7」に交換したのだという。いくら価値ある車体とはいっても「飾り物ではなく、あくまでもクルマとして走らせるために手に入れた」というTOKIPAPAさんの考えが反映されたパーツ交換と言えるだろう。

投機目的のコレクションでは無く、「愛車」として大事にされつつ、今日も日本のどこかで走っている「モリモトZ」は、最高のオーナーに巡り合えたのかもしれない。

そしてTOKIPAPAさん、ゆくゆくはハンの乗る「フォーチュン」やDKの「Z」と共に集まって、ワイスピ同窓会(?)を計画しているとか。
世界中のワイスピファンが憧れるカーライフを実現できるのも、本物のムービーカーを所有するオーナーならではの醍醐味といえるだろう。
豪華な顔ぶれのミーティングが開催された際には、ワイスピ車両の今の姿をご紹介したい。

[ガズー編集部]