真っ赤なEG6に乗ることになったキッカケはユーロビート!? 月4で峠に通う女性オーナーが目指す理想形とは?
ホンダのシビックシリーズ5代目として1991年にデビューした“スポーツシビック"。そのスポーツモデルとして設定されていたのが自然吸気1.6ℓDOHC VTECのB16Aエンジンを搭載するEG6だ。なんといってもその魅力は170psを発揮する高回転型エンジンと、4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションによるスポーティな走りであった。
群馬県の渋川スカイランドパークで開催された『オータムフェスティバル2021』で見つけたピカピカで真っ赤なEG6型シビックは、なんと女性オーナーの愛車! “峠"を中心にドライブを満喫しているという元気なクルマ女子、笑顔が素敵な渡辺佳織さんにお話を伺った。
現在30才を迎えたという渡辺さんが免許を取得したのは3年前。少しばかり遅咲きのクルマデビューとなったわけだが、まずはそのいきさつを伺ってみることにした。
「自宅がさいたま市ということで、生活する上でそれほどクルマが必要な地域ではないんですよね。だから免許を持っていなかったのですが、好きなユーロビート音楽からの流れでアニメの頭文字Dにハマったんです。観ていくうちに次第に登場人物たちが操るクルマに興味が湧き『私もクルマで走ってみたい』と思ったわけです。
そこですぐに教習所に入所したんですが、いきなりMT免許を希望したので『なんでMTなの? 何に乗りたいの?』など、教習の度に教官から質問攻めで大変でした(笑)」
頭文字Dがキッカケで赤いシビックということで、ファンならすでにおわかりだと思うが、渡辺さんの推しキャラは妙義ナイトキッズの庄司慎吾。ご存知ない方のために簡単に補足を加えておくと、妙義ナイトキッズはAE86に乗る主人公・藤原拓海の噂を聞きつけて勝負を挑んできた妙義山を拠点とする走り屋チームで、庄司慎吾はそのナンバー2。ホンダ車をこよなく愛する、自他ともに認めるダウンヒルのスペシャリストである。
ファンの渡辺さんには失礼ながら、なかなか渋い推しキャラ選択なだけに、その理由も気になるところだ。
「そうなんですよね。頭文字Dではたくさんの個性的なキャラクターが登場しますけど、私は妙義ナイトキッズメンバーたちの人間くささが好きなんです。白状しちゃうと、本当はリーダーである中里 毅の勝負に負けても決してクルマのせいにはしない人間性が好きで、じつは最初は中里の愛車であるR32GT-Rを探していたんです」
渡辺さんがこのEG6シビックを手に入れたのは昨年の6月ということだが、聞けばこのシビックとの出会いもまた運命的なものだったようだ。
「免許取得後は実家の軽自動車に乗りながら、ネットで探したクルマを見にいっていました。R32はすごく高くて無理かなと思っていたのですが、ようやく買えそうな格安なものがあったのですぐに問い合わせたら前日に売れてしまっていて。ガッカリしていたところに出会ったのが、ワンオーナーで無事故、禁煙、内装フル装備というまたとない出物のEG6シビックSiR-Sだったのです。価格は180万円でしたが、即決で契約しました」
渡辺さんのSiR-SはトップグレードのSiR-2をベースに装備を追加した限定仕様車とのことだが、そんな稀少車をベースに目指しているのは庄司慎吾の乗るマシンの完全コピー化。
まずは外装からで、元々ブラックだったボディカラーをミラノレッドにオールペイント。ホイールは無限RNRの15インチで、砲弾型のマフラーは5ZIGEN製。さらにイベントではダッシュボードには有名な拓海とのバトルで使用したガムテープも用意している念の入れようだった。
「ホイールやマフラーはインターネットなどで情報が明かされているのですが、フロントリップスポイラーは不明となっているので、何度もアニメを確認して似ている形のものを探しました。外装で庄司慎吾と異なるのは、ドアのキーレスエントリー用のスイッチくらいですね。今後はインテリアや灯火類にも手を入れて、完璧なレプリカを目指したいと思っています」と説明してくれた。
さて、気になるのはそんなEG6シビックでの楽しみ方だが、渡辺さんの返答は期待に違わぬものであった。
「EG6が納車になった日は、そのまま妙義山に行って9時間くらい走りまわってました。とにかくVTECサウンドが最高で、クルマってこんなに楽しいんだって思いましたね。
今も多いときは月に4回くらいはナイトキッズのホームグラウンドである妙義エリアを中心に群馬県の峠を走りまわってます。峠を攻めたりするわけじゃないけど、基本的にひとりで走っているので、トラブルなどにも対応できるようにクルマのことも少しずつ勉強して、タイヤ交換くらいはできるようになりました」
メンテナンスなどでお世話になっているクルマ屋さんで、作業の際などにいろいろ教えてもらうなどして知識を蓄えているそうで、実際にお話を伺っていても、クルマのパーツ名や機構などについても詳しい渡辺さん。
きっかけはアニメだったが、今ではアニメ好きの枠を超え、純粋に愛車EG6シビックでの走りを楽しんでいる様子が印象的だった。そんな渡辺さんの姿を、ご家族はどう見ているのかを最後に伺ってみることにした。
「とくにクルマ好きというような家族ではないのですが、あれこれ言われることもないので理解はしてくれているのだと思います。ちなみに兄の最初のクルマはR32だったので、私のEG6と合わせて妙義ナイトキッズなんですよね(笑)。
これまでのところはエアコンが故障したくらいですが、部品がないので維持は大変そうですね。でも人生初の愛車ですから、これからも大切に乗っていきますよ!」と元気よく締めくくってくれた。
取材協力:ディーズガレージ
(⽂: 川崎英俊 / 撮影: 金子信敏)
[ガズー編集部]
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