国内唯一の希少モデル!?人と被らないものが好きなオーナーが“沼”にはまった超個性派モデルNX2000(B13)
「愛車とは、オーナーの好みや個性が等身大で表現されているもの。昔から人と被らないものが好きで、今の愛車はそんな希望を満たしてくれる究極の存在です」と語る静岡県在住の山田卓充さん。そんな山田さんの愛車は、NXクーペという超個性派の1台だ。
それも過去に1500cc、1800ccとNXクーペに乗り継ぎ、現在は左ハンドルで北米仕様のNX2000に乗るほどのこだわりっぷり。オーナーさんによると、おそらく同じ仕様のクルマは国内ではこれだけではないかとのことだ。
そして、ほかと被らない自分らしさを表現したい山田さんにとって、オンリーワンの存在であり、レアな海外エアロでドレスアップしたこのNX2000は、その欲求を満たすのにぴったりの1台だといえる。そんな山田さんから見たNXの魅力やレア車ならではの苦労について伺った。
「初めてNXクーペを目にした当時から、珍しい形だなと思って気になってしまって。それで免許を取得した19歳のときに1台目となる1500ccの赤いNXクーペを中古で買ったんです。そこから “沼”にハマってしまって……。そのクルマを5~6年乗ったあと、もうちょっと速い1800ccモデルが見つかったので、そっちがいいかなと乗り換えました。
で、これも4~5年乗ったんですけど、国内にはない2000ccの北米モデルが存在することを知ったときに『NX最強のグレードだからほしい!』と思ったんです。そこで、2006年に前オーナーさんを中古車屋さんから紹介いただく形でこのNX2000(1992年製)を購入し、乗り換えました」
そう話してくれたNX一筋の山田さんが“沼にハマった”日産・NXクーペは、1990年から1994年まで販売されていたB13型サニー(7代目1990~1993年)の2ドアクーペバージョンで、日本ではNXクーペとしてGA型の1500ccと1600cc、SR型の1800ccというエンジンを搭載した3グレードをラインナップ。
また国外では、北米仕様としてNX1600とNX2000、ヨーロッパ向けの100NX、オーストラリア向けのNXが展開されている。
山田さんの現在の愛車であるNX2000は、SR型のエンジンを搭載する。
「もともとはメーカーとしては女性向けに販売したかったみたいですけど、当時まったく売れなかったみたいで。確かに純正はちょっとカッコ悪いんですよ。でも全体的に丸みのある優しいデザインが好きなのと、サイドなどがZ32のデザインに全体的に似ている部分があるところも特徴的で好きです」とNXクーペの魅力を教えてくれた。
そんな山田さんのNX2000は、内外装ともにご自身の好みに合わせてクールにドレスアップされている。
「カッコよくしたいと思っても、とにかくNXクーペのパーツって日本だと少ないんですよね。そこで代理店を通して、オーストラリアのメーカーであるMSデザインのフルエアロを取り寄せて装着したんです。このエアロがフルで装着されているNXは、日本ではほかに見たことがないので、このクルマだけだと思います!それとマフラーも同じMSデザイン製なので、エアロのアンダー丈とぴったり合っているところがいいですよね」
実際、山田さんが苦労して手に入れたこのMSデザインのエアロ&マフラー効果は抜群で、もともとの優しいルックスにスポーティーさがプラスされている。
注目箇所はほかにも多い。
「ホイールはレーシングハートのタイプCRがデザイン的に合うかなと思って、2年前に買ったらイメージとドンピシャだったので、かなり気に入っています。車高調はD2レーシングで、北米向けのセントラ用を流用しています。あとウインカーは、アメリカンな雰囲気になるかなと思って“ウインカーポジション”というパーツで十字的に光らせています。それとボディカラーは純正色ですが、一度同じ色で塗り直していますね!」
またオーディオ関係を社外品に変えたり、エアコンを修理したりと、車内環境の快適性にも気をつかうだけでなく、ドレスアップにも余念がない。
「エアコン修理ひとつでも、珍しいクルマなので部品がなく、部品を組み合わせて直しているのでやっぱりお金がかかってしまいましたね。あと内装面だとステアリングを車体カラーに合わせてブルーにしています。ただ、ステアリングボスは適合するものがなかなかなくて苦労しました。インターネットで見たプレジデント用のものなら……とトライしてみたら装着できたのでよかったです」
このほかにもスパルコのフルバケットシートへの交換などもあり、とてもレーシーな印象も受ける。
このようにフルエアロ以外にも山田さんの好みに合わせて丁寧に仕上げられているNX2000だが、前述どおりやはりパーツの確保の苦労が一番多いそうだ。
「右ハンドルもあるので国内仕様と共通パーツも多いですが、やっぱり輸出用モデル専用のパーツも結構あるので、そこに悩まされています。普通のディーラーだと手に入らないパーツだったりするので……。海外にはもっといろんな種類のパーツがあるので代理店を通せば手に入れられるのですが、今はもう代理店がほとんどないんですよね」
ただ、海外仕様が多いモデルならではの楽しみ方もある。それがカタログ集めだ。
「NXクーペに乗りはじめた最初は、海外で販売されていることを知らず、知ってからはカタログを集めたくなったんですよ。北米仕様、日本のNXクーペ、ヨーロッパ用の100NXとネットオークションで当時のカタログを全部集めました。アメリカだと法律でサイドマーカーをつける規定があったり、その国によって違いがあったりして、カタログを見ているとそれがわかるのが面白いですよね」
そんな山田さんにとってこのクルマを乗る一番の醍醐味は、やっぱりまわりの興味を引く車種という点だろう。
「NXに乗っていて一番おもしろいなと感じるのは、イベントなどに乗っていたとき、『これってなんのクルマだろう?』と見に来てくれる方と、今のNX2000の場合は『左ハンドルなんだ!?』と興味を持って近寄ってきてくださる方いることですね。私のクルマを見て『はじめてNXクーペを知った』という反応が一番嬉しいです」
自身のクルマに興味を持ってもらえることは、愛車を育ててきたオーナーにとっては確かにとても嬉しいこと。そして山田さんは、そんなご自身の愛車へ興味を持ってくださった方のため、イベントやミーティング出展時には「なかなかわかってもらえないので(笑)」とNXのことがわかりやすくまとめられたオリジナルの資料も用意しているから流石である。
ちなみにこのNX系以外に乗りたいと思う車種を伺ったところ、「けっこうありますが、この年代なら日産プレセア、マツダAZ-3、マツダランティスあたりです。見た目で個性的なクルマが好きですね」
この3車種の共通点は、ボディラインやヘッドライトが丸みを帯びたやさしい曲線系の雰囲気ではないだろうか。そして、その点ではNX系も該当するためなるほどなぁと納得できた。
「だんだん自分の好みをレベルアップさせて今は究極の好みの状態です。割と完成系かなと思うので、これからは壊れないように維持していきたいなと思っています。」
人と被らないキャラクターのある車種は、旧車同様維持していく苦労も多いが、それ以上にまわりの関心を集める点が魅力的だ。そして山田さんは、大好きなNXという車種の良さをしっかり知ってもらおうと興味を持ってくださった方、そしてこういうクルマがあるんだということをまわりに積極的に発信しているところに、NXというモデルへのより深い愛情を感じた。
(文:西本尚恵/撮影:土屋勇人)
[ガズー編集部]
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