就活生時代の縁が導いた憧れのクルマへの道。スバル・インプレッサ(GDB型)

  • スバルのインプレッサWRX(GDB型)

「このインプレッサは、大学在学中にできたとある縁があって、手に入れることになった初めての愛車なんです」。そう愛車にまつわるいきさつを話してくれたのは、平成17年式のスバル・インプレッサSTI(GDB-F型)に乗るオーナーの『いっしー』さん(34才)。
現在はとある部品メーカーに勤務しているという経歴をお持ちだが、その理由となったクルマ好きになるキッカケは中学生のころにあったという。

「ずっと家のクルマが三菱のミニキャブだったんです。高速に乗ってドライブに連れて行ってもらうこともあったんですが、とにかく車内がうるさいし、乗り心地もイマイチで、正直言って”不快な乗り物”という感じだったんです」
「だけど、次に乗り換えたホンダのHR-Vはとても快適で(笑)。『高速道路でもラジオが聞ける!』って小さいことにいちいち感動したのを覚えていますね」と当時を振り返る。

  • スバルのインプレッサWRX(GDB型)

そこから次第にクルマへの興味が増していったといういっしーさん。周りにもクルマ好きな友人ができ、大阪府の舞洲スポーツアイランドで開催されたカーショーに誘われて行った際に、当時のスバルのWRCドライバーだったペター・ソルベルグ選手がデモランする姿を見て、インプレッサにひと目惚れしたという。

「青色が好きな自分にとってスバルブルーがハマったことと、ラリーでもタイトルを取るほど活躍しているスバルがカッコいいと思うようになりました。もともと機械好きだったこともあって、メーカーの歴史を調べていくと、水平対向エンジンなどほかの自動車メーカーとちょっと違う面白いモノを作っている自動車メーカーという印象も持つようになって、それも自分好みでしたね」

こうしてクルマ好きとして成長していったいっしーさんは、憧れの自動車業界への就職を目指すようになり、大学では機械工学科に進学して就職活動の時期を迎える。
「大阪出身で関西の大学に通っていたのですが、様々な企業の面接を受けるなかで東京の企業にも応募しました。新幹線で慣れない東京にひとりで行く不安と、さらに面接を受ける不安もあったんですが、たまたま5人一組のグループ面接で隣に座った人が関西の大学の方だったんです」

「それで、面接が終わってから話しかけて、近くの喫茶店で関東の企業についての就活の情報交換をして別れたのですが、お互いクルマ好きということもあって、その後もSNSでやりとりするようになりました」
その面接を受けた会社とは縁がなかったそうだが、地元で無事に就職し、28才で結婚も経験する。

  • スバルのインプレッサWRX(GDB型)
  • スバルのインプレッサWRX(GDB型)

そんななか、SNSのやりとりを通じて就活時代に出会った友人がGDB型のインプレッサに乗っていることを知る。『アプライドF』『鷹目』などとも呼ばれるモデルだ。

「その友人は女性オーナーで、もともとはスイフトに乗っていたのですが、結婚してからはGDBに乗り換えてファミリーカーとして乗るようになったそうです。乗り始めた当時、自分もインプレッサは憧れのクルマだから羨ましいなあ、なんて話をしていました」
「だけど、数年後に維持費を気にしていた様子だったので『いくらだったら売ってくれるの?』と話を持ちかけたら、ちょっと話が進んだことがあったんです。そのときは結局、都合が合わなくて、その話は流れてしまったんですけどね」

しかし、その友人のインプレッサに不幸が起きたてしまったことをキッカケに、いっしーさんに2度目の機会がやってくる。
「友人のGDBが盗難の被害に会ってしまったんです。不幸中の幸いで、車体に被害はなくカギだけ壊された状態で発見されたそうですが、すでに次のクルマに乗り換える段取りを進められていたことと、被害にあったクルマに再び乗り続けるのも怖いということもあって、戻ってきたGDBを手放すこととなり『それならば』と声をかけて自分が購入して所有することになりました」

そうしてインプレッサがいっしーさんの愛車となったのが、2017年11月のことだったという。

実はこのインプレッサ、いっしーさんの人生において初めてのマイカーという記念すべき1台でもあるという。
「1回目に都合が合わなかったときに自分がだいぶ落ち込んで、妻からも相当心配されるほどだったこともあって、2回目は妻からも背中を押されるカタチになりましたね」といっしーさん。

そんないっしーさんの相棒のインプレッサは、前オーナーの友人が乗られていたノーマルのコンディションをキープすることを心がけて所有を続けているという。
「友人もその旦那さんもクルマ好きのエンジニアということもあって、大事に乗ってもらえる人に譲りたいとのことだったので、そのことを気にかけて乗っています」
そして、インプレッサの出番は普段乗りのほか、奥さんの実家がある長野に行く際は自走でのドライブを楽しむなどといった様子だ。

「去年は緊急事態宣言で正月に実家に帰ることができなかったんですが、その空いた日程で正月限定の鈴鹿サーキットでのサーキットクルーズのイベントに参加できました。あくまでもクルーズ走行ですけど、このGDBで鈴鹿を走れたことは良い思い出になりましたね」

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愛車のお気に入りポイントを伺ってみると「中学生のころにプロドライブというメーカーが発売した限定車の丸目インプレッサが大好きで、パソコンの壁紙にしていたこともあったくらいだったんですが、このインプレッサに装着されているウイングの形状がその限定車をおもいださせてくれて、リヤビューがお気に入りなんです」とのこと。

そしてメンテナンスでは、撮影に合わせて日焼けによる塗装のダメージがひどかったというボンネットの缶スプレーによる自家塗装にチャレンジ。日程の都合でできなかったクリアーの吹き増しはこれから行う予定とのことだ。

そして自慢のEJ20エンジンは3000回転からブーストが立ち上がるトルク感が楽しいといっしーさん。パワステポンプの交換を行った以外はオイルのにじみが増えてきたのがちょっと気になるそうだが、まだまだ走行距離は12万キロ台で、吹け上がりは好調だ。

「だけど、純正なのにクラッチの重さはいつまで経っても慣れないですね」といっしーさん。ファミリーカーとして奥さんも乗る機会には愚痴を言われることもあるんだとか。

「あとは駐車場代や保険料といった維持費がかかるのがネックですかね。いずれ、子供ができることも考えると、自分も手放すタイミングがやってくるのかなとは思いますが、それまでにやりたいのが長距離のドライブです」

今後、いっしーさんが夫婦でインプレッサに乗ってやりたい目標だと話すのが、独身時代にバイクで経験したという1週間かけて行った九州一周の旅。
そんな未来を思い描きながら、2世帯のクルマ好きのオーナーの元を渡り歩いたインプレッサは、今日もいっしーさんファミリーと幸せな日々を送り続けていることだろう。

取材協力:大蔵海岸公園

(⽂: 長谷川実路/ 撮影: 稲田浩章)

[GAZOO編集部]

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