22万kmをともにしたトヨタ エスティマとの濃密なアウトドアライフ

12月中旬の朝7時前。まだ太陽が昇りきらないうちにクルマから趣味の道具を下ろし、素足で海へと入っていく。

スノーボードカメラマンとして国内外で活躍する柳田由人さんは、15年前に埼玉県から神奈川県の湘南エリアに移住。撮影に向かう前、自宅からクルマで30分ほどのポイントで釣りを楽しんでいる。相棒は、SUP(スタンドアップパドルサーフィン)と、トヨタ エスティマ アエラス。

「早朝に海を見て、波があればサーフィン、凪いでいればSUPをクルマに積んで出かけています。ただ、SUPは仕事のスタート時間に余裕があるときに限られちゃいます。サーフボードなら車内に隠せるのですが、SUPはルーフに積むので、そのまま現場に向かうと『浮かれてるんじゃないよ』と怒られそうで(笑)」

柳田さんがSUPフィッシングを始めたのは3年ほど前。もともと幼少時代から父親に連れられて渓流に、湘南に移住してからは浜釣りを楽しんでいた。ただ、人気のポイントだと5mおきくらいに人が並ぶため必然的に竿を前方にしか振れない。柳田さんはそれがストレスだったという。

ある日、浜で釣りをしていると「邪魔してごめんね」と男性がSUPを抱えて海に出ていった。そしてものの30分で大物を抱えて戻ってきた。

「その光景を見た瞬間、これだ!と思いました。SUPなら周りを気にせず好きな場所で好きな方向に竿を下せる。すぐ家に戻って、物置の奥にあった使わないサーフボードなどを売ってSUPを手に入れました」

実際、SUPフィッシングを始めてからは、イナダ・マダイ・タチウオ・ヒラメ・スズキ・ブリ・マグロなど、超大物が面白いほど釣れるように。自身の記録は105cmのシイラ。ただし柳田さんのモットーは“キャッチ・アンド・イート”。持って帰るのはあくまでその日食べられる分だけ。それ以上は釣ってもすぐ海に戻している。また、小さな魚が釣れた時もその場で放流する。

ちなみにシイラはハワイでマヒマヒと呼ばれ、ホイル焼きやフライにして食べられる。痛みが早い魚なので市場にはあまり流通せず、生で食べることはほとんどないが、実は釣ってすぐにおろして刺身で食べると絶品なのだそうだ。

そんな柳田さんにこれまで乗ってきたクルマの履歴を尋ねると、少々意外な名が挙がった。

「初めて手に入れたクルマはAW11(初代トヨタ MR2)、次がKE70カローラで、その次が日産 180SX。実は20歳くらいまでドリフトをやっていたんですよ。雑誌主催のドリフトコンテストで準優勝したこともあります。今でもサーキットを走るのは得意なんですよ」

ドリフトを卒業してからは10代から楽しんでいたスノーボードにのめり込み、26歳までプロスノーボーダーとして活躍。その後、スノーボードカメラマンとしての活動をスタートする。選ぶクルマはステーションワゴンやワンボックスなど、機材がたくさん積める4WD車になる。そして仕事が軌道に乗るとアメリカ車の4WDを選ぶようになった。

「男なら一度はクルマでカッコつけたいと思うじゃないですか。まだ独身だったし、女の子にモテたいという思いもありました(笑)」

ある日、アメリカ車のSUVで福島県のゲレンデにスノーボードの撮影に向かった。そして駐車場の段差を乗り越えたら、なんと衝撃でロアアーム(車体とサスペンションを繋ぐパーツ)が折れてしまい走行不能になってしまった。海のそばに住むようになり、知らず知らずのうちにロアアームが潮風にさらされ錆びてボロボロになっていたのだという。

スノーボードカメラマンにとって冬は“稼ぎ時”だが、クルマを出せなければ現場に向かえない。慌てて知り合いの中古車販売店に「何でもいいから安くてすぐ納車できるクルマはないか?」と連絡したところ「古いトヨタ カルディナならある」と言われた。

「僕としてはひと冬だけ乗り切れればいいというつもりだったのですが、カルディナがとても便利だしよく走るのですごく気に入ってしまい、結局しばらく乗り続けることになりました。ただ、ノーマルで乗るのは嫌だったのでホイールだけ黒い鉄ホイールにしてドレスダウン。その雰囲気が好きで、カルディナ以降に買ったクルマはすべて黒い鉄ホイールに履き替えています」

そしてカルディナの利便性に魅了された柳田さんは、クルマでカッコつけるのをやめた。

「クルマでカッコつけている頃はどこか無理をしていたのでしょうね。それがどうでもよくなってから気持ちが楽になりました」

カルディナの後は荷室が広いボルボのステーションワゴンにルーフボックスを積み、撮影機材と趣味の道具を積んで現場に向かうように。しかし、スノーボードの撮影で常宿にクルマを停めていたら追突事故に遭いクルマが全損に……。

クルマは仕事の大切な相棒。急いで次を探さなければと思っていたら、当時小学1年生だった息子さんからこんなリクエストが。

「3列シートでDVDが見られるクルマがいい――」

クルマでカッコつけなくなったとはいえ、ミニバンは高速道路の長距離移動で横風を受けるとふらつくイメージがあった。それに街中には同じクルマがたくさん走っている。でも家族で使うことも考えれば便利かもしれないけれど……とマイナスイメージが大きな状態で選んだのは走行距離6万kmちょっとのトヨタ エスティマ アエラスの中古車。

「ところが納車されて驚きました。長距離移動でもふらつくところがなく、車高の低い乗用車と同じ感覚でビシッと思い通りに走ってくれる。しかも、今まではルーフボックスがないとすべての荷物を積みきれなかったのに、エスティマは撮影機材、スノーボードと釣りの道具を余裕で積むことができました。僕の仕事では4WDがマストですが、エスティマはボタンで4WDをオフにできるから必要ないときは燃費のいい2WDで走れるのも気に入りました」

柳田さんが使っているSUPの重量は約20kg。クルマに積むのは一苦労だろうと感じるが、エスティマは一般的なミニバンより10cmほど全高が低いのでそこまで苦労はしないそうだ。

4年前にエスティマとの暮らしが始まり、冬はスノーボードの撮影で雪山に、夏はサーフィンの撮影で海に、そしてプライベートでは釣りを楽しむ相棒として全国を走り回った。購入時に6万kmちょっとだった走行距離は約28万kmにまで延びている。もちろんゴム類やブレーキ回りなどの消耗品は定期的に交換しているが、エンジンやミッションなどの機関系部位は絶好調だという。今のところ塩害でクルマにトラブルが発生したこともない。

このエスティマは一度大きな“事故”に巻き込まれたことがある。スノーボードの撮影でバックカントリーに入っている間に駐車場で雪崩が発生し、エスティマが雪に呑みこまれてしまったのだ。その光景を見たとき、柳田さんは雪の重みと衝撃でクルマは完全に潰れていると思ったという。

「ところがエスティマは雪の重みに耐えていて、リアゲート交換だけで済みました。もちろん当たりどころがよかったというのもあったでしょうが、卵型、やるじゃん!と思いましたね」

このようにまだまだ絶好調なエスティマ アエラス。しかし距離が延びたこともあり乗り換えも頭によぎるようになってきた。2006年にデビューした3代目エスティマは2019年に生産が終了。そこで、最終型のエスティマに乗り換えるというのが一つの候補。もうひとつの選択肢は4WD性能のいいSUVを選ぶこと。

「SUVだとトヨタ FJクルーザーのデザインが気に入っています。ただ、僕のライフスタイルだとサイズ的に少し小さいのでルーフボックスがマストに。ルーフボックスをつけるとSUPが積みづらくなるのでどうしようかと悩んでいます。それに一度3列シートの利便性を経験しちゃうとそこから離れるのが怖いんですよ(笑)。車検があと1年残っているので、その間にゆっくり考えます」

次のクルマを考える1年の間に、柳田さんは5万kmほどドライブすることになるだろう。今のエスティマとの濃密な時間はまだまだ続きそうだ。

取材・文/高橋 満(BRIDGE MAN) 撮影/黒田 明

[ガズー編集部]

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