脱定番車好きのオーナーが選んだ、仕事にも遊びにも大活躍のスバル・ドミンゴ(KJ8)
キャンプや車中泊といったアウトドアシーンでは、広々としたスペースのワンボックスが最高に便利なツールといえるだろう。シートアレンジによっては車内でゆったりと過ごせる空間作りも可能なため、キャンピングカーや車中泊仕様のベースとしても注目されるのは当然だ。
そんなワンボックスの中でも異彩を放つエポックメイキング、1992年式スバル・ドミンゴ(KJ8)を相棒に、アウトドア&カスタムカーイベント『レッツチルアウト』に参加していたのがOGAさん。
スバル・ドミンゴは1983年にデビューしたコンパクトレジャービークル。
軽バンであるサンバートライのボディを使用しながら1.0Lエンジンを搭載し、3列シート7人乗りのレイアウトを施したパッケージは、軽バンでは非力だけど通常のワンボックスでは大きすぎるという、隙間ニーズを満たしてくれる画期的存在でもあった。
ちなみに外観的な特徴は角目4灯ヘッドライトを採用している点で、前後バンパーも大幅に延長することで5ナンバーサイズに格上げして、サンバーとの差別化を図っている。
「元々は仕事用にホンダ・バモスを所有していたんですが、買い替えようと思った時に思い浮かんだのが90年代のマスターエースでした。でも他にもハイエース(TRH214)やクラウン(MS41)なんかも持っているから、コンパクトな車体がいいなって。そんな時に思いついたのがドミンゴだったんですよ。車体は軽サイズなんだけど、角目4灯ってところはマスターエースと同じだから、ドミンゴは希望にピッタリだったんです」
元来クルマ好きで「特に“変なクルマ”に触手が伸びる」というOGAさんに、ドミンゴはまたとない獲物としてロックオンされたというわけだ。
納車からまだ1ヶ月ちょっとした経っていないということもあり、今回のキャンプイベントは仲間へのお披露目の場でもあったとのこと。本来は仕事用ながら、90年代をイメージした適度なカスタムによるアレンジは、10数年の間キャンプなどでつながりのある200系ハイエース仲間からも評価は上々のようだ。
「この型のドミンゴって探してみると意外と少ないんですよ。やっと見つけてもらった車体もボロで、レストアからスタートして、好みのスタイルを作ってもらいました」
その言葉通り、車体のペイントはツヤツヤで、黒樹脂モールもすべて美しい半ツヤの状態にと、その仕上げは一切の妥協が見られない。また、バンパーの上側に位置する純正ナンバーホルダーがどうしても気に入らず、取り付け位置を変更しているという。
さらにOGAさんこだわりの1990年代初期風サイドラインや、ピンストライプによるレタリングなどのアレンジも加えられている。
ボディに加えて90年代風を意識させるのがステアリングやホイールのチョイス。90年代に流行したビレットデザインを投入することで、当時流のカスタムを再現しているのである。
車内はオリジナルの状態をキープしつつ、リアのエアコンユニット周りはツイードで張り替えが行われる程度。ちなみに運転席と助手席が回転して対面シートとして活用できるため、セカンドシートを倒してテーブルにすれば快適リビングが完成するのも純正の設計。この辺りは現在の車中泊仕様を先取りした画期的な設計といえるだろう。
また『サンサンルーフ』と名付けられたハイルーフ部の明かり取り窓など、開放感溢れる設計も車内で楽しめるレジャービークルとして工夫されたポイント。
「車体は軽規格なんですが、ハイルーフで天井が高いから、意外と居住性は悪くない」とは乗り始めてすぐに気づいたドミンゴのメリットだとか。
ハイエース仲間とは10数年の間いっしょにアウトドアを楽しんでいるというOGAさん。そのためアウトドアを充実させる装備にも抜かりはない。
「ファミリーとかで集まることが多いので、冷たい飲み物は欠かせないんですよ。そのため太陽光パネルで発電して、インバーターを介してコンプレッサー式の冷蔵庫を稼働させています。これなら飲み物は常に冷たい状態をキープできますし、食材なんかも保管できるんですよ」
こういった装備を完璧にしながらもキャンプスタイルとしては「仲間と楽しむのが最優先」。キャンプサイトを装飾するのではなく、効率的に建てられるテントをベース基地として設営し、そこにみんなが集まって楽しむというシンプルなスタイルだ。
そのため就寝は各々のクルマになるというから、シートがフラットにアレンジできるドミンゴは最高の寝床になるというわけだ。
今回の「レッツ・チルアウト!」ではケータリングブースが数多く出店されていたため、効率的に食材を調達するには自転車が必須と考え持ち込んだのが“モンチャリ”。
その名の通りホンダ・モンキーのM型フレームにペダルを組み合わせたカスタムチャリだが、重くてあまり活躍してくれなかったという。こういった遊び心にも、愛車としてドミンゴを選んでしまうOGAさんの人柄があらわれているのだろう。
ハイエースや軽キャンパーがアウトドアビークル主流となっている中、敢えてのオールドワンボックス。その中でも特にレアといえるドミンゴを選ぶOGAさんにとって、クルマは1/1スケールのオモチャともいえる。
今回のイベント参加ではアウトドアも満喫できることを証明したし、今後は仕事の相棒としても大活躍してくれるに違いない。
取材協力:レッツチルアウト
(文:渡辺大輔 / 撮影:中村レオ)
[GAZOO編集部]
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