名前も知らないクルマ…でも乗ったら感動! シビックタイプRユーロ(FN2)
クルマが大好きだからこそ、自分が納得するクルマを見つけるまでは無理して買わない。そんなオーナーが偶然出会い心を奪われたのが、ホンダ・シビックタイプRユーロだ。オーナーはなぜこのシビックを気に入ったのか。そして現在はどんな愛車ライフを過ごしているのか、お話を伺った。
レース観戦が趣味の父親に物心つくころからよくサーキットへ一緒に連れて行ってもらい、その頃からクルマが大好きだったという埼玉県在住のタッペンペンさん(30)。取材させていただいたこの日もスーパー耐久第5戦の決勝レースの日で、父親と一緒に愛車のシビックで泊りがけの観戦に来られていた。
そんな大のクルマ好きであるタッペンペンさんだが、実はこのシビックを買う前の5年間は、愛車を所有していなかったのだという。
「20代前半のころはスバルのレガシィに乗っていましたが、実は20代後半の5年間は会社のクルマで通勤できるようなところだったこともあり、所有していなかったんです。それに自分の中で納得できるクルマが見つからなかったこともあってズルズルと…(苦笑)。
シビックタイプRは兄貴が好きだったので知ってはいたんですけど、特に興味があったわけでもなくて。実際に乗ってみるまでは買おうとはまったく考えていなかったんです」
せっかくなら乗っておもしろいと感じたクルマを買いたい…そう考えるタッペンペンさんがこのシビックに出合ったのは、ホンダ好きなお兄さんのクルマ探しに付き合ってディーラーに出掛けた昨年の2月の事。
「このシビックは、たまたま兄貴の目的のクルマの隣にあったんです。最初は名前も知らないような状態だったんですけど、試しに敷地内を試乗させてもらったら、そのエンジン音や内装にちょっと感動しちゃいまして。
その時点で走行距離が11万5000kmくらいで過走行気味だったんですが、そうは思えないくらい状態が良かったんですよ。そこから前のオーナーさんがノーマルのまま大事にしていたのがすごく伝わってきて、それも購入の決め手になりました。それに特に事故もなく傷もそんなに多くない状態でしたし、マニュアル車への憧れもありました」
「あと、僕はモータースポーツに力を入れているホンダが1番好きで。どのモータースポーツを見ても、基本的にホンダは参戦しているのですごいメーカーだなっていうのを感じていました。なので、愛車に乗るならホンダ車がいいなというのがあったのでその点でも良かったです」
こうしてタッペンペンさんは、ヨーロッパ向けにイギリスで生産され、2009年に日本に上陸した3ドアハッチバックスタイルの2011年式ホンダ・シビックタイプRユーロ(FN2)のミッション車を購入。
晴れて愛車を手に入れてからは、平日は社用車で動き、休日はこのシビックに乗って出掛けたり趣味のレース観戦に行くという充実したカーライフを送る日々を過ごしているという。となると気になるのは、クルマのコンディションを保つための洗車やメンテナンスについてだろう。
「メンテナンスはギリギリ認定中古車の補償もつく時期だったこともあって、クルマを購入したホンダディーラーでお願いしています。洗車は週1回くらいなのでまめにしている方かもしれません。ただ、エンジンルームを開けて洗車したりとかそこまではしていませんね」
と、ノーマルを維持しながら頻繁に乗っているだけあって、メンテナンスや洗車には気を遣っているようだ。
そんなタッペンペンさんに、愛車の1番のお気に入りポイントを伺った。
「やっぱり3ドアハッチバックならではの長いドアですね。スポーツカーに乗っているなっていう気分になるので。あとはスピードメーターとタコメーターが上下に分かれてデジタル表示されるところや、タイプRの文字が表示されるところがちょっと違うクルマに乗っているなっていう気にさせてくれるので、とても気に入っています。
そうそう、ボディやハンドルに付いているホンダの赤いエンブレムを見ると、ちょっと誇らしい気持ちになるんです」
とうれしそうに微笑んだ。ホンダファンのタッペンペンさんにとって赤いエンブレムはやはり特別な意味を持つのだろう。
そんな会話をしながらなにげなく車内を覗き込むと、オシャレなシートカバーとぬいぐるみの姿を発見。
「シートカバーは『新世紀エヴァンゲリオン」とのコラボレーション品で、“エヴァ”と“タイプR”で“エヴァR”と呼んでいます(笑)。デザインがすごいカッコよかったので、一目惚れして買ってしまいました。ぬいぐるみは運転中寂しくないようにいつも助手席に乗せています」
ぬいぐるみは…いつか素敵な相方さんに変わっているかもしれない。
ちなみに、クルマを一緒に見に行ったホンダ好きなお兄さんは、S660を所有しているが、すでに新型シビックを購入済みで来年2月の納車待ちなのだとか。
「兄貴はもともとS660が大好きで、それに乗っているうちにホンダが大好きになったみたいです。そんな時に自分がこのタイプRユーロを買ったもんで、余計に自分もなにか欲しくなって新型シビックを買うことにしたみたいです(笑)」
また、取材に同行してくださったタッペンペンさんのお父様は
「子供たちは小さい頃からよくツインリンクもてぎに連れてきたりしていたので、その影響でクルマ好きになったみたいで(苦笑)。正直子供の頃って、レースを見ていてもただクルマがぐるぐるコースを回っているだけじゃないですか。でも息子がそれを『すごくおもしろい』と思ったということは、本当に興味があったんでしょうね」と、嬉しそうに目を細めながら話してくれた。
ちょっと乗っただけで惚れ込んだ愛車を手に入れて早1年半。タッペンペンさんはまだまだこのシビックに乗り続ける気は満々なようだが……?
「今はこのクルマに乗ることがすごく楽しいので、なるべく長く乗っていければと考えています。もし買い替えるとしても、このクルマを買った時みたいなビビビっとくる出会いがくるまでは乗り続けていると思います。これからもクルマ選びは後悔のないように妥協しません。その結果このシビックにも出会えたので」
と笑顔で答えてくれた。
タッペンペンさんのように、直感的に「自分が欲しいのはこれだ!」と思えるクルマに偶然出会える事は、きっととても幸せな事だと思う。そうして出会えた愛車は日々を積み重ねていくうちに、気がつけばかけがえのない相棒となっているものだ。
これからも大事な相棒と、楽しい思い出を積み重ねていってほしいと思う。
(文:西本 尚恵 写真:中村レオ)
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