オープンスタイルに一目惚れ! Z33型フェアレディZの「ロードスター」に魅了されたカーライフ
バブル真っ只中となる1989年に登場した4代目フェアレディZ(Z32型)は、11年目を迎えた2000年に生産が終了した。
その時点で5代目が登場するか否かは発表されず、30年以上に渡って『日本を代表するスポーツカー』として歴史を刻んできたフェアレディZが絶版車となってしまうのでは!? と、世界中のZファンが心配した…が、2002年にフェアレディZは見事に復活を果たした。
先代のZ32がキャビンフォワードなスタイリングで3代目以前とは異なるスタイリングを有していたのに対し、5代目としてデビューしたZ33型は『Zらしさ』の重要なキーワードのひとつとなる『ロングノーズショートデッキ』スタイルが復活。それに加えて、フェアレディZの原点となる初代S30型をリスペクトした造形も盛り込まれていた。
そんなZ33型にオープンモデルとなる『ロードスター』が追加されたのは、復活を果たした翌年となる2003年のことであった。
フェアレディZは、オープンのスポーツカーであるフェアレディ1600やフェアレディ2000(SP/SR)をルーツとしたモデルなので、初代のS30こそクローズドボディのみだったが、2代目からはTバールーフを選べるようになり、4代目Z32では、Tバールーフだけではなく、本格的なオープンを楽しめるコンバーチブルもラインナップされていた。
そしてZ33はデビュー時こそルーフを開けられるバリエーションが存在しなかったが、ロードスターの登場でオープンエアを楽しめるスポーツカーとなったのだ。
ちなみにZ32のオープンは『コンバーチブル』というグレード名となっていたが、Z33は完全なるフルオープンボディを採用したことから『ロードスター』というグレード名を採用。ちなみにZのルーツとなるSP/SRは、輸出名がダットサンロードスターであったので、その名称が復活したとも言える。
そんなZ33のロードスターは、2座のシートの後方それぞれにロールバーが備わり、その後方には電動開閉式ソフトトップを覆うトノカバーを装備する。ハードタイプのトノカバーはロールバーに合わせたデザインとなっていて、オープン時の見栄えを高め、Z33ロードスターの造形の特徴となっている。
そして、そんなスタイリングに一目惚れしたというのが、ここに登場する2005年式フェアレディZロードスターのオーナーであるKMさんだ。
「Z33ロードスターを、初めて雑誌か何かの写真で見た時から、ロールバーから続くラインの美しさに一目惚れでしたね」とおっしゃるKMさん。とは言え、いつか必ず乗りたいというほどの憧れではなかったようだ。
というのもKMさんには『いつか必ず乗りたい』的な憧れのクルマが別に存在していたからだ。そのクルマというのが同じくフェアレディZの3代目となるZ31であった。
「Z31はデビューした時から憧れのクルマでした。その憧れのZ31を10年前ぐらいに、ついに手に入れたんです」
手に入れたのはV型6気筒のVG型を搭載するのがデフォルトだったZ31に、当時のスカイラインのトップグレードに搭載された直列6気筒のRB20DETを搭載した後期型の200ZR。VG搭載モデルはラグジュアリー感をより強めた味付けであったが、RB搭載車はよりスポーツカーらしい走りを楽しめるのが特徴と言えよう。ちなみに輸出モデルには設定されず、日本国内だけに存在した組み合わせとなる。
「ガムシャラに走るというワケではありませんが、ワインディグを走るのが楽しいクルマですね。箱根などによく走りに行っています」と、語尾が現在進行形なのは、現在でも所有していらっしゃるからだ。
そんな憧れだった200ZRを晴れて愛車としたKMさんだったが、2年前にZ33ロードスターを衝動買いしたという。
「たまたまウェブサイトを見ていたら、近所でこのロードスターが売られているのを見つけたんです。近くだしと見に行ったら、年式や走行距離の割にとても程度が良かったんですよ。ウェブサイトで見つけるまでは、増車することなんてまったく考えていなかったんですけど、実車を見たらどうにも欲しくなってしまったんですよね(笑)」
さすがにその場で契約書に判をついてきた、とはならなかったようだが「妻に何度か相談して、買うことにしました」というその発言に、KMさんの奥様が「私、相談されたっけ? (笑)」なんてツッコミが入っていたので、実際にはどうだったのかは不明だが、それほど時間を経ずにKMさんはフェアレディZの2台持ちという生活をスタートさせることとなった。
増車したZ33ロードスター バージョンTは5速ATに本革のシートが組み合わされたもの。「マフラーが純正オプションで設定されていたNISMO製に変更されていたのも購入に踏み切るポイントでした」と、マフラーから発せられるサウンドもお気に入りのKMさん。V型6気筒3.5ℓの自然吸気エンジンは、スポーツカーであるZに相応しいパワーも有しているようだ。
「自分的にはスピードを楽しむクルマじゃないと思っていますが、結構速いですよ。トルクがあるのでATが合うだろうと、トランスミッションはATを選んだんですが、正解でしたね。Dレンジのままで流して走らせることがほとんどですが、アクセルを踏み込めば、十二分にパワフルなところも気に入っています。あとマニュアルモードもあるので、シフトチェンジを楽しみたくなるワインディングでも気持ち良く走れますね!」
メカニズム面やエクステリアの程度の良さと比較して、インテリアは年式なり、走行距離なりのヤレがあったそうだ。
「本革のシートは購入時から傷みがありましたね。運転席側だけじゃなく、助手席側もそこそこ傷んでました。でもシートヒーターはいいですね! 寒い時期には重宝しています」
シートだけではなく、センターパネルなどにも傷が多かったそうで、「カーボン風のカバーが売っているのを見つけたので、それを買って付けてもらいました。カスタマイズはほぼしていませんが、唯一そこだけは変更していて、結構気に入っています」
購入時のKMさんの見立てに間違いはなかったようで、愛車としてからの2年間、内装の手直しを兼ねたカスタマイズ以外、ほぼノントラブルだという。
「車検整備の時に予防整備をしてもらっていますが、特に大きなトラブルはないですね。強いて言えば電動のホロの動きが悪くなっていて、そこを調整してもらっています。残念ながら今でも解決はしていなくて、一発で開かないことも多いですけど、もう旧いですから仕方ないですよね」
ホロを開けた時にだけ見える、ロールバーとトノカバーの造形こそが、KMさんにとってのZ33ロードスターの魅力だけに、ホロの開閉は重要な要素のはずだが、多少不具合があってもそれほど気にしておられない様子。こういった大らかさも、旧いクルマを乗る心構えとしては重要なのかもしれない。
Zで走りに行く時には、助手席に乗って同行するという奥様にもお話を伺った。
「Z31でのドライブも楽しいですが、こちらのロードスターの方が乗り心地がよくて快適ですね(笑)。それから屋根を開けて自然の中を走るのはとても気持ちがいいです!」
KMさんご夫婦にとって、Zでのドライブは日常。ドライブに出かければ、Zでの走りも楽しまれているそうだが、それと共にZを眺めるのも楽しいそうだ。
「ワインディングの路肩というか、見晴らしのいい場所などにクルマを止めて、よくZを眺めています。Z33ロードスターの屋根を開けた斜め後ろからの姿。ロールバーからの丸みのあるラインは、何度見ても見飽きませんね」
ワインディングの途中の見晴らしのいい駐車スペースにZ33ロードスターが停まっていたら、その近くに満面の笑みを浮かべたKMさんがいらっしゃるかもしれない。
(⽂:坪内英樹 / 撮影:堤 晋一)
取材協力:ADVAN オールフェアレディZミーティング2024
[GAZOO編集部]
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