スタイルと直6エンジンのサウンドに心を奪われたZ31型フェアレディZで旧車ライフを満喫!
車両重量が1トンを切るグレードもあった初代フェアレディZ、そして基本的にはキープコンセプトだった2代目のS130は、軽さが武器となるライトウエイトスポーツ寄りとも言えるクルマであった。
しかし3代目へのモデルチェンジで、そのキャラクターは大きく変貌を遂げることになる。
1983年に3代目として登場したZ31型は、新開発されたV型6気筒エンジンにターボを組み合わせたVG30ET(SOHCシングルターボ)によって最高出力は230PSへ。不安なく高速走行することが可能なシャーシ性能や空力性能も併せ持っていたことから、それまで200km/hオーバーできるか否かだった国産GTカーの性能的指標を、一気に250km/h級へと引き上げたのだ。
そして、デビューから2年が経過した1985年、直列6気筒エンジン搭載を望む日本国内での需要に応えるかたちでRB20DETを搭載した『200ZR』も登場。足まわりも当時の日本人好みに寄せたハードな乗り味にチューニングされており、V 型モデルと並ぶ人気グレードとなった。
そんな“直6エンジンのZ"である200ZRの後期モデルに、2022年10月から乗り始めたというのが、ADVANオールフェアレディZミーティングに参加していた『みね』さんだ。
「高校生の時、地元でやっていたクルマのイベントを見に行ったんです。その時、すごくいい音がしたんで、その音のする方を見ると、リトラクタブルヘッドライトのクルマから奏でられる音だったんですよ。その時は何というクルマか判らなかったんですが、家に戻ってからインターネットで調べてZ31だと突き止め、あの音から直6の200ZRだと特定しました」
当時のみねさんは、漫画『頭文字D』に影響を受けてクルマに興味を持ち始めたばかりで、Zについてほとんど知識がなかったそうだ。しかしリトラクタブルヘッドライトを組み合わせたスポーツカーらしいスタイリングと、それが放つエンジンサウンドに、まさに一目惚れ(一聴惚れ!?)したという。
「免許を取って初めて手に入れた愛車は、MTのスポーツカーで手頃な価格ということで選んだホンダのCR-Zでした。楽しいクルマだったんですけど、もらい事故で廃車になってしまって、そのときに『どうせ乗り替えるなら憧れのZ31にしよう! 』と探し始めました」
社会人となり、地元だった関西から九州に移り住んでいたみねさん。まずは九州でZ31を探したが見つけられず、探す範囲を広げてみると埼玉県にある旧車ショップにZ31があるのを発見!! 住んでいる九州からは軽く1000km以上もあるにも関わらず、そのショップに行ってみることにしたという。
「現車を見に埼玉のお店まで行ったんですが、目当てのZ31は現車を見るとなんだかイメージが違ったんですよね。コンディションもあまりよくなかったし。でも、その店にはZ31がもう一台あったんです。そちらを見せてもらったら、自分のイメージどおりの状態だったんです。それがこのZ31で、その場で即決しました」
みねさんがZ31を探す際、RBを積む200ZRであるという以外にも、2シーター、MT、それからノーマルに近い状態という点が絶対条件だったそうで、即決した現在の愛車は、その条件にぴったり当てはまっていたという。さらに言えば、改造歴のないフルオリジナルで、しかもワンオーナーの車両だった。
晴れてZ31を手に入れ、オーナーとして乗ってみた印象を伺うと「ブースト圧がかかる4000回転ぐらいからのグッとくる感じと、エンジンからの音が最高です! いわゆるドッカンターボですから、ブースト圧がかかっている時とかかってない時の差がはっきりしていて、そんなエンジンの特性も気に入っています。それから、リトラがやっぱりカッコいいですね。走るのも楽しいですが、眺めても楽しめるんですよ」
しかし、楽しいばかりではいられないのが旧車に乗るオーナーの定め。乗りはじめて2年弱の間に、多くのトラブルに見舞われているそうだ。
「メーター類がちゃんと機能しなくなったり、エアコンが壊れたり、燃料ポンプから異音が出たりと、いろいろと壊れていますね」
その中でも最大のトラブルが、ラジエーターに付く電動ファンのセンサースイッチが壊れてオーバーヒートさせてしまい、エンジンをオーバーホールすることになったというもの。しかも、そのトラブルが発生したのが、昨年のADVANオールフェアレディZミーティングへの参加時だったという。
「入場する際の待機中に、電動ファンが回ってなくて、オーバーヒートしちゃったんです。リザーブタンクの冷却水が泡立っていたんで、その時点ですでにヘッドガスケットが抜けちゃっていたんだと思います」
イベント後に地元の九州でZ31を診てもらっている整備工場に持ち込み、エンジンオーバーホールとなったそうだ。
「オーバーヒートでシリンダーヘッドが歪んでいるとのことだったので、どうせならとヘッドの面研だけでなく、フルオーバーホールしてもらうことにしました。ピストンやピストンリングは新品が出なかったので再使用していますが、今では絶好調ですよ!」
昨年のトラブルからちょうど1年。今年も富士スピードウェイで開催されたADVANオールフェアレディZミーティングに再び参加することができたというわけだ。
「昨年のリベンジですね! 今年はもちろん、待機中にオーバーヒートすることもなく、会場入りすることができました」
今年も、はるばる九州から参加されたということで、そのルートが興味深いので記しておくと、九州からご実家のある関西までフェリーを利用し、そこからADVANオールフェアレディZミーティングの会場となる富士スピードウェイまで自走してきたという。ちなみに昨年も同じルートで、さらに言えば、ご実家に帰省する際も九州から関西間はフェリーを使うのが常だそうだ。
『Z31を運転するのが楽しい』とのことなので、フェリーではなく高速道路で移動するルートもあるのでは? と伺うと「時間は掛かりますけど、費用がほぼ同じぐらいなんです。それならZに無駄な負荷がかからないフェリーの方がいいので(笑)」と、旧車ゆえの、そして愛車愛を感じさせる理由を話してくださった。
ちなみに今年は、同じZ31に乗るオーナー仲間と共に会場入りしたそうだ。
「昨年、滋賀で開催されたZ31のミーティングで知り合った仲間が、今年は自分のZがレストア中で参加できないというので、富士スピードウェイに向かう道中で拾って、一緒に参加したんです」
Z31オーナーの他にも「昨年、九州で僕のクルマを見かけて声を掛けてくれたZ33オーナーとも再会したんですよ。九州に旅行にきていたそうです。このイベントの話になって『来年は富士スピードウェイで会いましょう』なんて話をしていたんですが、お互い名前も連絡先も知らないのに、本当に再会できました!!」
Z31を手に入れてまだ2年弱ながら、イベントを通じて着々とZオーナーとの輪を広げているみねさん。憧れのクルマを所有するという楽しみの他に、Zという日本を代表するスポーツカーを通じた人との繋がりをも楽しんでいらっしゃるようだ。
(⽂:坪内英樹 / 撮影:堤 晋一)
取材協力:ADVAN オールフェアレディZミーティング2024
[GAZOO編集部]
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