80年代からのトムスファンが選んだ相棒は、3Sターボ搭載のカルディナ(ST215W)【取材地:鹿児島】

  • トヨタ カルディナ ST215W

トヨタのスポーツモデルに多く採用され、そのポテンシャルの高さから全日本GT選手権を代表とする数々のカテゴリで使われてきた3Sエンジン。トヨタ・カルディナ(ST215W)に乗る緒方光生さん(57才)にとって、3Sエンジンはモータースポーツファンとして過ごした青春時代において、最も憧れた名機なのだという。

「最初にクルマに興味を持ったのは小学生のころですね。初代のダルマセリカをポスターで見てカッコいいなと感じてから、様々なモータースポーツに興味を持ち始めました」と緒方さん。
CS放送などの有料チャンネルで気軽に好きなジャンルのモータースポーツを見られるような時代ではなかった当時、情報源はほとんど雑誌だけ。中学生になるとモータースポーツ誌を購読し始めた緒方さんが特に注目していたのは国内レースの様子。ラリーを中心に活躍するトヨタ車の姿を見て、さらにレースへの興味を増していったという。
「当時は熊本でも地上波でF2のレースを放送していて、そこで中嶋悟選手や長谷見昌弘選手が活躍していたのを覚えています。中嶋悟選手がF1に行ったのはそのあとなので、全国放送でF1が流行る前の時代でしたね」

F1で活躍してからの中嶋悟選手といえばホンダとのつながりが深いドライバーという印象だが、緒方さんにとって最も思い入れが強い時代は1980年代中盤。そのころの中嶋悟選手は、トヨタワークスチームとしてトムスが参戦していたグループCカテゴリでル・マン24時間に参加していたこともあり、そんな姿を見て緒方さんは生粋のトムスファンになっていったという。

いっぽうの愛車遍歴はというと、18才になった緒方さんが最初に選んだ愛車はトヨタ・カローラII。免許取りたてで就職したばかりという事情もあり、金銭的に手ごろなクルマかつ、叔父がカローラの販売店に勤務していたことから選んだ1台だった。
カローラIIに乗っていた5年のあいだは、次のクルマを買うために一生懸命働いたという緒方さん。貯めたお金で購入したのはツインターボの1G-GTEUエンジンが積まれたGZ20型のソアラ。そこから9年間乗るほど気に入っていた愛車で、熊本の家から1時間ほどの大分県のオートポリスで開催されるレースはもちろん、山口県の西日本サーキット(旧MINEサーキット)、遠くは富士スピードウェイにも、ソアラで自走して観戦に行った思い出が記憶に残っているという。
知り合いからすすめられて乗ったJ57型ジープとソアラの2台持ちだった期間もあったとか。

  • トヨタ カルディナ ST215W

そして、結婚を機にソアラを手放し、子供ができて家族と過ごす都合もあり、より室内が広く大人4名が乗れるクルマとして選択したのがトヨタ・カルディナだ。

「正直言って利便性は後付けで、とにかく3Sエンジンが載っているクルマがよかったんです。3Sはラリーでも活躍していたし、なによりもグループCでもトムス86Cからベースに使われるほどでしたから。そんなレーシングカーと同じエンジンが載ったクルマに乗りたいという気持ちが強かったですね」と緒方さん。

じつは、最初に買ったカルディナは初代のST195型で自然吸気の3S-GEが積まれたモデルだったそうだが、緒方さんが購入した翌年の1997年にモデルチェンジ。すると当時セリカやMR2に採用され憧れだったターボ付きの3S-GTEがラインナップされることとなり、それを知った緒方さんは迷うことなく買い替えを選択! 1998年にST215型のターボ付きカルディナを新車で購入し、20年以上も愛車として乗り続けている。

そんな緒方さんのカルディナの姿は、ホイールを交換する程度でエクステリアもインテリアも購入したスポーツグレード『GT-T』のノーマル状態をキープしている。スポーティな印象のスポイラーやマフラーも純正採用されていたパーツだ。

新車で購入してからの走行距離は30万キロ弱。ミッションはマニュアルを選び、当時の流行を想像させるような柄のシートも状態良く残っているが、ハンドルの革部分はボロボロになったため、昨年キットを購入してDIYで張り替えを行ったという。

手に持っていただいているのはリヤに置いていた樹脂製のフロアマット。年季が入っているように見えるのは当然で、いまから30年以上前に緒方さんが乗っていたカローラIIのころから使っているものだという。ソアラにも使ってきたため、センターの干渉部分にカットしたあとがうかがえるのも当時の名残だ。

ちなみに、今回の取材会には今年で22才という緒方さんの息子さんも同行。幼少期から緒方さんといっしょにモータースポーツ観戦の英才教育(!?)を受けて育つと、18才で免許を取得。緒方さんが四国出向時代に乗っていたスバル・R2を代わりに乗って運転を覚え、19才になると人生初のマイカーとして憧れのスポーツカーだったトヨタ・86の後期型を購入したという。

  • レイズ ボルクレーシングTE37

そんなふたりのクルマには、どちらもレイズのボルクレーシングTE37のホイールを履いているという共通点が。緒方さんのTE37は20年以上前のデビュー時に新品を購入した年季モノとのことで「レースの評判を聞いて購入したけど、当時はここまで長く続くシリーズになるとは思わなかった」と緒方さん。いっぽう息子さんのTE37は、その初代をベースに最新技術で正統進化したTE37サーガというモデルというのも、オーナー同士の関係との共通点を感じさせてくれる部分といえる。

「3Sは80年代に生まれて、2000年に入ってもレースに使われる息の長いエンジンだったので、自分のカルディナもまだまだ長い間乗り続けたいですね」と緒方さん。購入当初から信頼できるメンテナンスショップとの関係が続いているおかげで、これまでの23年間で大きなトラブルはなかったという緒方さんのカルディナ。これからも息子さんの86と2台が元気で揃っている姿が見られることを期待したいものである。

(⽂: 長谷川実路 写真: 平野 陽)

[ガズー編集部]

GAZOO取材会@鹿児島

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