オフロードも楽しむタフな相棒ランクルプラド。熊本地震で車中泊ソロキャンがより身近な存在に。
オフロード仕様のトヨタ・ランドクルーザープラド(TRJ150)で、鹿児島県立吉野公園で開催した取材会にご来場いただいた森千歳さん(57才)。週末はこのプラドでアウトドアを楽しみつつ様々なオフロードスポットを攻めることが楽しみだという森さんだが、現在のカーライフに至るまでには幾多の紆余曲折があったようだ。
「18才のころに最初に買ったのはGX61型のトヨタ・マークIIでした。当時ハイソカーブームが流行っていたので、その影響で選んだクルマです。そこから、ホンダのプレリュード(BA5型)に乗りましたが、新車で買ったのに半年しか乗らず、日産のシルビアに乗り換えました」
森さんが平成元年式のシルビア(S13型)を購入したのは23才のころ。ちょうど第一次ともいえるドリフトブーム流れが全国に広まっていった時代で、森さんも当初はシルビアに乗ってドリフトを楽しんでいたが、次第とゼロヨンのほうに興味が移っていったという。
「グレードはQ’sでCA18のノンターボがベースだったんですが、それに社外のタービンをボルトオンするところから始まって、付き合いのあるお店と友人の影響でどんどんエスカレートしていきました(笑)。。お金があればチューニングの費用にしているという感じで、最終的には1900ccにボアアップしてタービンを組むところまでいきましたね」
そんな森さんだったが、26才のころに大阪への転勤が決まると、現地ではクルマを必要としない環境だったということもありシルビアを手放すことに。その後、名古屋への転勤も経て、33才に地元の鹿児島へUターン。そこから再び森さんの愛車ライフがスタートする。
「S13を買った当時にも気になっていた日産・フェアレディZ(Z32)に乗り始めました。当時はもうゼロヨンの趣味はやめていたのでエンジンはそのままでしたが、車高調とかはイジって乗っていましたよ。これもパワーがあってゲームみたいに速くていいクルマだったという思い出があります」
そして、フェアレディZに5年間ほど乗ったという森さんが次に選んだのが、日産のテラノレグラス。現在のプラドにつながるSUVパッケージとの付き合いはここから始まったという。
「テラノはそのとき読んでいた雑誌にエアロが付いてカスタムした状態のクルマが乗っていて、カッコいいなと思ったのがキッカケでした。大きくて荷物もたくさんつめて便利そうだったのも惹かれましたね」
テラノに乗ると同時にアウトドアにも興味が出てきたという森さんは、車中泊のためのキャンプ道具を揃え始め、ソロキャンプも趣味としてスタートしていったという。
「ひとりでキャンプをするようになって、ランクルも気になっていたところで発売されたのが150系のプラドでした。ちょうど前期の黒いボディを見たときに欲しいと考えはじめて、中期にモデルチェンジしたタイミングで買ったのがこのプラドです。ただ、その1年後にディーゼルエンジンのモデルが出たので、あとから『もう1年待てばよかった』と後悔したんですけどね(笑)」
そうして2014年に念願だったプラドを購入した森さんが、現在のように趣味のアウトドアに入れ込むようになったのは、プラドに乗り始めて2年経ったとある出来事がキッカケとなった。
「2016年に熊本地震があったとき、熊本に住んでいて自宅の部屋が半壊するほどの被害を受けたんです。キャンプ用の装備もあったので1ヶ月半ほどプラドのなかで車中泊をして過ごす経験をしたことが大きかったですね」
その経験をもとに、もともと用意していたソロキャンプの装備をより拡充していくと同時に、キャンプへ行く回数も自然と増加。全国に拠点を持つランドクルーザープラドオーナーが集まるプラド会のメンバーにも所属して、愛車に乗ってキャンプへ行く仲間もできていった。
「3年前にキャンプ仲間から誘われてオフロードにチャレンジする機会があったんです。ものは試しと挑戦してみたらとても面白くて、それからはキャンプよりもオフロードを走るのが楽しみでプラドをイジっていくようになりました」
写真:本人提供
ランドクルーザーやジムニーといった4WD車を用いて、舗装されていない岩場や荒れ地、沢を制覇していくオフロードの世界にどっぷりつかった結果、現在の森さんのプラドにはオフロードコースを走るためのさまざまなカスタムが施されている。
自然吸気だった2.7L直4の2TRエンジンには、1年前にアフターパーツのボルトオンスーパーチャージャーを追加。最近は4輪の接地性の悪い険しいコースでの走破性をより高めるため、機械式LSDも投入したという。
サイドステップの左右には障害物からボディを防ぐロックスライダーが溶接して備えられ、下まわりを覗くとこれまでオフロードコースを走ってできたと思われる歴戦のキズあとが伺える。撮影用に装備していただいたオフロード走行用の大型グリルガードも迫力満点だ。
そんな森さんにオフロードの楽しみを聞くと「同じコースを走っても、走行するラインの取り方でそこを越えられるかどうかが変わってくる。前回クリアできなかったコースも、帰ってからルートを練り直してもう一度チャレンジして成功したときの達成感がたまらないんです」とのこと。
じつは今回の撮影も、もともとあった予定していた仲間とのオフロードキャンプの日程をキャンセルしてお越しいただいたという森さん。
九州のオフロードキャンパーにとっては聖地ともいえる熊本県阿蘇山でのプラド会九州ミーティングの企画をはじめ、本州で開催されるプラド会の全国ミーティングに再び参加できる日を楽しみにしながら、あらたなコースを制覇するためのテクニック磨きやプラドのカスタムを続けていくということだ。
取材協力:鹿児島県立吉野公園
(⽂: 長谷川実路 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]
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