ただの移動手段だったはずなのに!? 横転から復活させたほど大切な相棒スイフトスポーツ(ZC32S)と楽しむサーキットライフ
クルマにまったく興味がなかった方がサーキット走行に興味を持つ場合、その世界に触れるキッカケがあるかどうかが大きく左右するのではないだろうか。
新潟県在住の『あさひうみ』さんも、もともとクルマに興味はなかったのに、ふとしたキッカケから今では愛車のスイフトスポーツでホームコースである間瀬サーキットのスポーツ走行を楽しむようになったという。
「走ることだけに集中できるので、普段のストレスを解消できるのが楽しい」と、自分の生活に上手にサーキットライフを取り入れている彼女は、なぜサーキットに興味を持つようになり、どんなカーライフを楽しんでいるのだろうか。
「私が免許を取ったのは広島で大学生だった20才の時です。実家のクルマがマニュアル車だったためマニュアル免許にしましたが、それからずっとクルマには乗らない生活を送っていたんですよね。
大学は原付か自転車で十分だったし、その後に島根の実家に戻った頃に親のインプレッサに少し乗ってみたところ、運転が下手すぎて親から『マニュアル車には乗るな』と言われまして(苦笑)。
12年前に仕事の関係で新潟に来たのをキッカケに、はじめて移動手段としてオートマの軽自動車に乗るようになりました」
クルマを必要としない生活から、移動手段として軽自動車に乗るようになったあさひうみさん。しかしまだ「クルマに興味はなくて、移動できればいいや」という段階だ。
ところが、仕事で知り合った人が新潟県新潟市の『間瀬サーキット』を走っていて、一緒にサーキット見学に行くようになったことから、彼女のスポーツ走行への興味は高まっていったという。
「新潟に来てサーキットに行くようになって『いいな、自分でも走ってみたいな』って思うようになりました。でも、その頃は『サーキットはライセンスを持っていないと走れないものだ』と思い込んでいたんです。
ライセンスを持っていなくても間瀬サーキットのスポーツ走行には参加できると知った頃には軽自動車からスイフトRSのオートマ車に乗り換えていました。
そして2014年9月にガズーレーシング主催のサーキットイベントに初心者クラスがあることを知って、ちょうどいい機会だと思って参加したんです」
持ち前の行動力でついにサーキットデビューを果たしたあさひうみさんは、この初走行のあとにJAF公認競技のレースなどに参加できる国内Aライセンスも取得。
さらに、その年の11月に間瀬サーキットで開催されたスイフトのイベントにも参加し、なんとその帰りにはクルマを乗り換えてしまったのだという。
「コーナーで負けたのが悔しくて、そのまま帰りにいつも行っているクルマ屋さんに『マニュアル車が欲しい!!』って言ったら、ちょうどこのクルマがあったので『これにします!』と即決で。RSのオートマは売ってしまいました(笑)」
こうしてクルマにまったく興味がなかった彼女がサーキット走行にハマった末に購入したのが2013年式のスイフトスポーツ(ZC32S)。手頃なコンパクトスポーツとして人気を博した1600ccエンジン&6速マニュアル搭載の3代目モデルだ。
街乗り用に別のクルマをもう1台用意し、このスイフトスポーツはサーキット走行メインの車両として7年の間にさまざまなチューニングを施してきたという。
しかし、あさひうみさんのサーキットライフは順調満帆だったわけではない。というのも、実はこの車両は驚いたことに一度横転しているのだという。
「2016年に鈴鹿ツインサーキットで横転してしまって…。前の年に違うひとが同じ場所で横転したのを見ていたのに、今年は自分だったとシュンとなりましたね(苦笑)。本来なら廃車なんでしょうけど、どうしても手放せなくて絶対に直そうって。
そして、お金をかけて直すのに修理前とおなじ色になるのはイヤだし、どうせなら目立つようにしようと、もともと黒だったボディカラーをこのポルシェのシグナルグリーンにしました。ポルシェを意識してボディサイドに黒いストライプと文字も入れてもらっています」
ちなみに『asahiumi』とは、2匹のペットの名前をつなげたもので、サーキットを走る際のエントリー名などにも使用しているという。
「基本的にチューニングはクルマ屋さんに相談して『こうした方がいいよ』と言われたところをちょっとずつやっています。その中でマフラーは『4本出しマフラーにしたい!』と最初に作ってもらったパーツなのでお気に入りです」
「今履いているホイールはサーキット走行用で、知人から譲ってもらった愛用のエンケイのNT03です。車高調は、その当時お金がなかったのでインターネット上で一番安かった製品を使っています。とりあえず減衰力の調整はできるので問題ないかな(笑)」
また内装は、彼女が走行に必要なパーツをしっかりセレクトしている印象だ。
「フルバケットシートはブリッドから100脚限定で発売された女性用のモデルで、すごく良いです。実はたまたま装着したタイミングが鈴鹿で横転したイベントの直前だったので『本当にフルバケ入れていてよかった!』と思いましたね。横転した時に死ぬなーと思ったので、そのあとにリヤのロールバーも装着しました (苦笑)。
水温、油温、油圧をチェックするための3連メーターはデフィのアドバンスRSで、ライトをつけると緑色に光るのが気に入ってコレにしました。ステアリングはオートクルーズがあると移動が楽なので、純正のまま使っています」
またこの日は普段サーキットで愛用しているヘルメットとグローブ、レーシングシューズもご持参いただいた。どれも白黒のモノトーン系のデザインで統一されていて、スポーティな車両のイメージとマッチしている。
そして撮影に駆けつけてくれた彼女の走行会仲間でデミオオーナーの松田さんも、一緒にパチリ。
「彼は私が間瀬サーキットで参加している『廣江塾』の良い先輩なんです。『廣江塾』っていうのは、追加メーターでおなじみのデフィの広報マンである廣江さんが主催している初心者向けの走行会なんですよ。ちゃんと廣江塾ステッカーも貼っています!」
あさひうみさんが、とても楽しく嬉しそうに語ってくれることからも、廣江塾の居心地の良さが伝わってくる。きっとそういった走行会や仲間に出会えたことも、彼女が楽しいサーキットライフを続けていられる理由のひとつなのだろう。
「サーキットは走ることに集中できて普段のストレスを解消できるのが楽しいので、今でも時々走っています。ただ、鈴鹿ツインで横転してしまって、さらにそのあとスポーツランド菅生でも突っ込んでしまい…。それからちょっとビビってしまってタイムが伸び悩んでいます。とりあえずは仕事をしながら楽しく走るのが当面の目標ですね!」
スイフトスポーツでの今後の目標をそのように話してくれたあさひうみさんは、今年の4月に仕事を辞めて鍼師の資格を取り、独立して自営業になったばかりだそう。
「自営業になったばかりなので今はあまり贅沢はできませんが、しばらく真面目に働いてお金を貯めて45才でポルシェを買います! これがやりたいっていう具体的な目標や未来があると頑張れるじゃないですか。あ、でもそれはオシャレ用の増車予定なので、このスイフトスポーツは引き続き走り用として乗り続けたいと思っています(笑)」
仕事の都合で暮らしはじめた新潟で、間瀬サーキットやクルマ好きの仲間に出会い、モータースポーツの世界に飛び込んだあさひうみさん。横転という大事故を共に乗り越えた大切な愛車と共に、これからも最高のストレス発散の場としてサーキット走行を楽しんでいくことだろう。
そして、思い切りがよく夢を実現するために計画性を持って具体的な努力を惜しまない彼女は、4年後にはきっとスイフトスポーツの隣にポルシェを並べているに違いない。
取材協力:多宝温泉 だいろの湯
(⽂: 西本尚恵 / 撮影: 金子信敏)
[GAZOO編集部]
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