愛車冥利に尽きる ジムニーシエラ
ファッション好きのオーナーさんが乗るジムニーシエラ(JB74)は、各所にこだわりが満載! しかし、ジムニーに乗って良かったと思えたいちばんの理由はクルマ自体よりも、趣味が広がり、たくさんの一期一会があり、人生が豊かになったということだという。
「どんな素晴しいデザインでも、まわりとのバランスが悪ければ素敵にならない」
色の統一、デザインの統一、コンセプトの統一。それらの調和がとれてこそ、“素敵に見える"ようになるのだという。
そう教えてくれたshimoさんはファッションが大好きで、個性的で目を引くようなファッションをしている。バランスが重要となってくる組み合わせなのだろうと納得させられた。
「今日の洋服の主役はこの赤いニットで、それにどんなインナーを組み合わせようかな?とかって考えるのが楽しいんですよ。主役のニットを目立たせるためにインナーを暗めにしようとか、ここにこういうアクセサリーをつけたら、さりげないオシャレになるかなとか。そういう感じで、ジムニーもカスタムしています。」
shimoさんは福岡でアパレル関係の仕事をしていたが、4年前に地元である愛媛に戻ってきた。
「地元に帰ってきたら、愛媛はクルマがないと何処にも行けないからクルマを買うことにしたのです。家族がスズキ車に乗っていたのと、軽自動車でコストが安いということもあり、ハスラーを購入しました。その時にジムニーも気になっていたのですが、すぐにクルマが必要だったので、納車1年待ちのジムニーは断念しました。」
ハスラーが納車され、めでたくカーライフが始まると、『クルマは移動できればいい』くらいに思っていたはずが、好きなクルマに乗ると、クルマが想像以上に楽しいことに気付いたのだそうだ。
移動が楽ということはもちろんのこと、行動範囲が広がり世界が広がったことや、1番驚いたのは、自分がクルマに愛着が湧くタイプの人間だったと気付いたことだったという。
新たな自分の一面を垣間見たと同時に、ジムニーへの未練がどんどん膨らんでいったというshimoさん。
「通勤に買い物にドライブにと四六時中一緒にいると、もっと自分好みにしたいとこだわりたくなってしまったんです。服と一緒で、身につける時間が多いからこそ、お気に入りのものをまといたいのです。」
丸い形、四角い形、もしくは流線型、青赤白黒オレンジ…などなど、クルマには服と同じように、個性あふれるデザインがたくさんあることにあらためて気が付いたのだ。
ハスラーでカスタムを楽しまなかったのは、ハスラー に乗って1年の早い段階で、本当に欲しいクルマに乗り換えないと後悔すると思って乗り換えを決断したからだという。決断の早さに、周辺の人たちも驚いていたくらいだそうだ。
さぁ、自分の愛車となるジムニーシエラに何の服を選ぶか?どう魅せるか?
これを考え始めるとワクワクウズウズした、と嬉々として語るshimoさんの構想は
『街に映えるミニタリー系にコーディネートする』に決まった。
そうと決まれば早いもので、アメリカンでワイルドな印象を持つレイズのホイールと、ゴツゴツしていて悪路走行も難なくできそうなグッドリッチのタイヤを納車前に注文したと得意げに話してくれた。
その後「街乗りメインを目的としているので、オフロードをガンガン攻めるつもりはあまりない」と付け加えたのを聞いて、せっかく四駆に乗っているならオフロードを走りなよ、と勧められることが多いのだろうと察した。
それはそれとして、“オフロードを走ってそう"と思われることは、コーディネーター冥利に尽きると満足気にしていた。なぜなら、shimoさんはそう魅せたかったからだ。
「服の面白いところって、着ることで自分がイメージする自分になれることなんです。例えば、身長が低いのが悩みで、高く見せたいという人がいるとするでしょ?そういう時は、センタープレス入りのパンツを履いたり、トップスにボリュームを持せてタックインさせ、腰位置を高く見せるという工夫をすれば良いんです。」
ジムニーにはこれが合うと確信をもってカスタムパーツを選び、納車後すぐにパーツを取り付けてくれるショップに持っていったそうだが、自分の頭の中で組み立ていたものが実際に形なるまでの2週間は待ち遠しくてワクワクが止まらなかったという。
仕上がりはというと、ジムニーはshimoさんが選んだ靴を見事に履きこなしてくれたそうだ。ジャングルグリーンのボディに相まって、無骨な雰囲気が漂うその姿に大満足したと腕を組む。
1つ失敗をあげるとすれば、リフトアップを先にしなかったことだという。
「オシャレは足元からということで、最初にタイヤとホイールをカスタムしたのですが…今思えば、先にリフトアップをしておけば、バンパーに干渉せずにもう一回り大きいタイヤが履けたなって。カスタムする順番を間違えたかもと後悔しています」
そして、その後に前後バンパーをショートバンパーにし干渉しないようにすることで、タイヤをひとまわり大きいトーヨータイヤのオープンカントリーに交換したのだと教えてくれた。ホワイトレターを内側に履かせ、ステアリングを切った時に覗くさりげない白がポイントだという。
ちなみに、リアバンパーと同時にテールランプも交換、約1年後にはマフラーとグリルも装着したという。
「それと、ミニタリーっぽくなるかなと無線を付けたのもポイントです。たまたま自衛隊イベントが近くであって停まっている軍用車に『あっ!この手があったか!』とインスパイアを受けたんです。ちなみに、配線はしていないんですけどね(笑)」
そして、shimoさんは外装だけではなく内装にもこだわっている。外装のミニタリー感からは想像がつかない、ヴィンテージ風という意外なカスタムをしているのだ。
なかでも一番お気に入りなのは「握る度にニヤニヤしている」というステアリング。年輪の刻まれた木目が鼈甲色にツヤツヤしているナルディ・クラシックは年代物に見えて車内を昔へと連れて行ってくれるアイテムなのだという。
「外装、内装をコーディネートすることで、唯一無二のジムニーになったと思います。それもすごくいいことなんですけど、このクルマがきっかけで色々な人との出会いがあったことが、自分のいちばんの財産になりました」
せっかく色々なところに行くならと、写真で思い出を収めるということもしているという。それがいつしか趣味になり、一眼レフミラーレスカメラも購入したそうで、取材後は工場夜景を撮りに行くと意気込んでいた。もちろん、こだわり派のshimoさんがキャンプグッズやカメラ機材に関しても手を抜かないのは、いわずもがなだ。
ルーフラックに荷物を乗せて仲間とキャンプに行き、そこで他愛もない時間を過ごすだとか。
『移動できればいいや』くらいにしか思っていなかったクルマという存在が、自分の中でこんなにも変わるとは想定外だったことだろう。
「乗って良かったと本当に思います。今、ジムニーとのカーライフがこんなにも楽しいんです。それが楽しい理由は、もちろんカスタムや走行性能やクルマ自体の性能というのもありますが、ジムニーに乗らなくちゃ出会えなかった友達ができたことが大きかったですね。例えば、年齢、環境など色々な理由でジムニーに乗れなくなったとしても、人との繋がりは一生切れないんです。ジムニーの与えてくれるものって、そういうのもあると思うんです」
『クルマは単なる移動手段じゃない』
このフレーズはクルマに関する記事を見るとよく出てくるが、まさにその通りだ。shimoさんを見ていると、余計そう感じる。
取材協力:萬翠荘(愛媛県松山市1番町3丁目3-7)
(⽂:矢田部明子 / 撮影:平野 陽 / 編集:GAZOO編集部)
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