知れば知るほど奥深いMR2の魅力にハマったリケジョのカーライフ

仕事で必要に迫られて運転免許を取得し、せっかくならと購入した2代目トヨタMR2(SW20)。実は父親も若い頃にMR2に乗っていたこと、年式によって違いがあること、ドライブの楽しさや仲間との出会いなど、愛車がさまざまなことを教えてくれたという。

1989年にデビューした2代目トヨタ・MR2(SW20)は、販売されていた10年の期間に5回のマイナーチェンジが行われた。基本的なスタイリングは大きな変更がないため一見すると違いは判別しにくいのだが、深く知るほどさまざまな違いがわかってくる。そんな奥深いMR2にひと目惚れし、ゼロからクルマを学んでいったのがオーナーのりらさんだ。

「免許を取るまでまったくクルマには興味がなかったんですよ。小さい頃も家族でドライブに行ったりすることもなかったし、クルマとの接点がなかったんですが、そんな私がMR2を手に入れてクルマに興味を持つなんて考えもしませんでしたね」
仕事で必要に迫られたことがキッカケで免許を取得したものの、必要に迫られなければ免許をとろうとも思っていなかったというほど、クルマには一切の興味がなかったのだ。そんな自分自身が現在MR2にこれほどハマってしまったことを不思議に感じているのだという。

「最初は『せっかく免許を取ったんだから何か買おうかな』くらいの感覚だったんです。そして、インターネットでいろんなクルマを見ていた時に、当時のMR2の宣伝カーの写真を見かけたんです。トラックの横に描かれているMR2を見たら、そのスタイリングにひと目惚れしちゃいました。その瞬間、コレに乗りたいって思ったんですよ」

購入した4年前は、免許こそ持っていてもクルマの知識は限りなくゼロ。しかも20年以上昔のクルマをはじめての愛車として選ぶのは、なかなかハードルが高いはず。しかし工学系の学校に通い仕事も電気技術者ということで、機械類への抵抗感がまったくなかったのは、思い切ってMR2沼に飛び込めた理由のひとつといえるのではないだろうか。

「購入を考えた時、最初に相談したのはお父さんだったんですが、MR2がデビューした時にお父さんもひと目惚れして購入していたそうなんです。そんな話は一切聞いたことがなかったので驚いたんですが、実際に乗っていた時の写真も見せてもらったら、初期モデルの赤ボディだったんです。ちょうど私と同じくらいの年齢の時にMR2に乗っていたって聞いた時は、なんだかMR2に運命を感じちゃいました」
当然のように相談されたお父さんはMR2購入に大賛成。ついには納車時にクルマ屋さんについてきて「ちょっと乗らせて」のひと言から、自宅まで運転して帰ってきてしまったという。そんな父の楽しんでいる姿が見られたのは、MR2を購入して正解だと感じた理由のひとつだとか。

初代MR2のAW10/11に続きフルモデルチェンジで誕生したSW20。最大の特徴といえるミッドシップレイアウトはそのままに、先代と比べると大型化されたボディは角の取れた流麗なスタイリングに進化。さらに搭載するエンジンも4A-GEから世代交代したスポーツツインカムの3Sシリーズに変更され、NAモデル(3S-GE)とともにターボモデル(3S-GTE)もラインアップに加えられている。
そして、前述のようにSW20には大きく分けて5つのジェネレーションが存在している。フルモデルチェンジが行われた1989年モデルが1型と呼ばれ、1991年、1993年、1996年、1997年とマイナーチェンジを繰り返し、それぞれ2型〜5型の呼び名が与えられている。
このマイナーチェンジによってエンジン出力の増大や足回りのアップデートが行われ、初期モデルの1型と比べると最終モデルの5型では格段の進化を遂げている。

りらさんの愛車は完成の域に近づいた4型。1997年に登録されたGリミテッドなのだが、MR2に詳しい人は違和感を覚えたかもしれない。というのも、りらさんのMR2は外装パーツの要所要所が前期用に変更されているのだ。
「購入した時は4型のフルノーマルだったんですが、実車を見た時に何か違うなって感じて。そこから色々調べていったら、私が欲しかったモデルは前期だったんです。だから購入時に1型のテールランプや2型のガーニッシュなどを揃えて交換してもらったんですよ。あとボディカラーもお店に並んでいた時はちょっと赤が薄くなっていたんですが、納車前に同色のスーパーレッドで塗り直してもらいました。モールは1型が黒だったので、試しにテープを貼ってそれっぽくしています」

さらに、タイヤも純正サイズにこだわってチョイス。特にリアタイヤはジャストサイズがなかなか見つからず、いろいろ調べて探した結果、旧車向けにラインアップされるアドバン・HFタイプDを装着することに決めたという。
ちなみにホイールは5型用を組み合わせるなど、1型仕様にこだわるのではなく、好みのパーツでコーディネートして、自分好みの愛車を作り上げている。

エンジンルーム内は、しっかりと乗車前点検が行われていることを証明するように手入れが行き届いた状態。そんな甲斐もあってか、これまで起こったトラブルはオルタネーターが寿命を迎えた程度だそうで、25年経過しながらも大きな故障に見舞われることなく安心して楽しむことができているという。

着座位置が低く後方視界の悪いMR2を安全に運転するために、サイドミラーには湾曲率の高い追加ミラーを装着。また、運転しやすいスニーカーを常備しているのも、愛車を大切に乗り続けていきたいというりらさんのこだわりというわけだ。

「MR2に乗りはじめて行動範囲が広がりました。購入して2年くらい経った時に愛知のトヨタ博物館に行ってみました。そして、関東エリアのオーナーズミーティングにも参加するようになって、そこで出会ったひとたちと一緒にツーリングにも行くようになりました。そう考えるとMR2との出会いは私の人生を大きく変えてくれたと思いますね」

行動範囲が広がったと同時にオーナーズミーティングでMR2コミュニティが広がったことも、カーライフを豊かにしてくれるスパイスのひとつ。
そして、そんな仲間が作ってくれるオリジナルグッズなどは愛着のあるアイテムで、特にミニカーや羊毛フェルトはりらさんのMR2をモチーフに自作された一品モノで、愛車同様に世界にひとつしかない宝物だという。

「通勤などでは使用していないため、乗る頻度が少ないのは気になりますね。そのため動かす時は点検をしながら暖気運転もしっかりと行なっています。あとは青空駐車なので内外装の劣化が気になっちゃいますね。こまめにコーティングをかけていますが、できる限りこのコンディションをキープして長く乗り続けたいなって思っています」

「休日とかしか乗る時間が取れないんですが、本当はMR2でもっといろんな所に行きたいと思っているんです。だから春になったら休みを取って、九州までドライブしてみようかなって考えているんですよ」
クルマに興味がなかった頃には考えられないほどアクティブになったというりらさん。
愛車のオドメーターは現在9万キロ弱。年式からすると大切に扱われてきたことがわかる走行距離は、これからいろいろな思い出とともにどんどん増えていくに違いない。

取材協力:
『神栖1000人画廊』(茨城県神栖市南浜)
『日川浜海岸』(茨城県神栖市日川)
かみすフィルムコミッション

(⽂: 渡辺大輔 撮影:土屋勇人 編集:GAZOO編集部)