運命の出会いは中学生の通学途中!今年で所有歴30年を迎えた1989年式 トヨタ MR2 SUPER EDITION 2改
ホンの一瞬の出会いがその人の人生を大きく変えてしまうことがあります。今回のオーナーさんもそんなおひとり。一生モノの存在と出会い、ともに歩んでいけるシアワセと充足感。これぞ究極のカーライフと呼べるのかもしれません。
―― まずは、たってぃさんの愛車について教えてください
愛車は「1989年式 トヨタ MR2 SUPER EDITION 2」です。手に入れてから今年で30年、現在の走行距離は約18万km、私が手に入れてからは約12万km走りました。
―― 30年ともに歩んだ愛車ですね。クルマが好きになったきっかけを教えてください
初めての出会いは中学生でした。通学の途中に通りがかったのがこの型のMR2だったんです。女性の方が運転していて、めちゃくちゃカッコイイと思いました。このとき「あのクルマはなんだ!?MR2っていうのか!大人になったら私もMR2を買う!」と心に決めました。
―― まさに運命の出会い!ちなみに、それまでクルマに対してのご興味は?
それがまったくありませんでした(笑)。私、3人きょうだいの末っ子なんですが、7歳上の兄がプレリュードに乗っていたりしましたがクルマにはあまり興味がなかったみたいで、この頃から家族のなかで私だけがクルマに興味のある異端児でしたね。
とはいえ当時はまだ中学生だったので、MR2のカタログが欲しいので親にディーラーに連れて行って欲しいと頼んでも、用がないといわれて行ってもらえず…。そこで担任の先生に頼み込んでディーラーに行ってもらい、AW11型の最終モデルのカタログを手に入れていただいたんです。
―― 担任の先生、優しいですね。もしかしてクルマ好きの先生だったんですか?
多少はクルマ好きだったように思いますが、たしか先生がカローラ2に乗っていたんですね。それでトヨタディーラーに行きやすかったのはあるかもしれません。
―― 先生がわざわざディーラーまで行って手に入れてくださったMR2のカタログ、それはもう…(笑)
読み込みました。ページをめくるたび、これかっこいいな。やっぱりかっこいいな。これ乗りたいなって(笑)。でも気がついたら、AW11型は生産終了になっていて、後継モデルのSW20型がテレビCMで流れるようになっていたんです・・・。
―― ちょうどフルモデルチェンジの時期でしたか…。ちなみに、ご自宅でMR2のカタログを読んでいたときのお兄様たちの反応は?
中学生がMR2なんて買えるわけがないことは分かっていましたし、"我関せず"でした。
―― それでも初志貫徹して、後々MR2を手に入れることになるんですよね。
運転免許を取得して、周囲の友だちがクルマを買いはじめたんです。R32型スカイラインや、S13型シルビアあたりが人気でしたね。私もいろいろなクルマに乗せてもらったんですが、気持ちが揺らぐどころかますますMR2が欲しくなってしまって(笑)。
―― MR2愛がホンモノであることを再認識することになったわけですね。現在の愛車はどのようにして手に入れたのですか?
当時付き合っていた彼氏が見つけてきてくれたんです。「これなんてどう?」って。限定モデルであるSUPER EDITION 2であること、希望のボディカラーだったブルーマイカであることが決め手となりました。もうそこからはとんとん拍子に話が進んで、現車確認と試乗をして即決でしたね。
―― ついに念願のMR2を手に入れたわけですね。納車日のことを覚えていらっしゃいますか?
クルマを購入したお店が少し離れていたので、受け取り場所までは彼氏のS14型シルビアに乗って行きました。帰りは2台で連なって帰って来ました。
―― おめでとうございます。実際に憧れのMR2を手に入れてみてどうでした?
最初のうちはドキドキしながら走らせた記憶があります。ようやく手に入れた念願のMR2を壊したくない一心でしたから。そのうち慣れてきて、仕事が定時で終わったらヒマさえあれば走っていました。
―― 仕事が終わったら夜な夜なMR2で走り回っていたと(笑)。
そうです。夜な夜な走って、友だちとおしゃべりしていたら朝。帰宅してシャワーを浴びて着替えてほとんど寝ないで会社に行く…みたいな、そんな日々を送っていました。いま思うとどうしてできたんでしょうね(苦笑)。
―― まさに青春していますね。移動のお供は常にMR2だったんですか?
MR2を手に入れたとき、軽自動車を所有していて2台持ちでした。クルマ通勤なので、大雪が降ったらMR2での通勤はあぶないということで。このMR2、1台だけのときもあったので、雪が降っても乗り回したこともありましたね。スタッドレスタイヤ履いていてもスピンしたり。今考えるとバカなことしていたなと思いますけど…。
―― 30年も所有していると、いろいろなことがあったと思うんですが…
片側2車線の道を走行中にMR2が止まってしまい、背後からダンプカーにクラクションを鳴らされまくりながら2車線をまたぎ、近くにあったauショップまで1人でMR2を押したこともありました。駐車場が少し傾斜していたので、押すのもひと苦労でした。
―― えー!誰も助けてくれなかったんですか!? 女性1人でクルマを押していたわけですし…
誰も助けてくれなかったです。それに私のせいで道が渋滞してしまったので。MR2を押しているあいだもダンプカーにクラクション鳴らされたことを今でも覚えています。
―― なんとも世知辛い…
あとは、以前通勤用に所有していた別のAW11型MR2で釣りに出掛けたとき、走行中にブラケットが折れてタイヤが外れてしまったんです。錆がひどくて、そろそろ交換しないとまずいと思っていた矢先のできごとでした。いちど通り過ぎていったアルトワークスの方が引き返して助けてくれました。
―― いろんなことがありましたね…。正直、もういいやと思ったことはありますか?
通勤用のMR2は何台か乗り替えていますが、このクルマに関してそれはないですね。30年間、1度もナンバーを切っていませんし(2ケタナンバー)。多いときで5台のAW11型を保有していました。知り合いの方が手放すとき、私なら大切にしてくれるだろうと声をかけてくださるんです
―― もはや里親状態ですね。このMR2を手に入れたからこそ実現できたことってありましたか?
このクルマに乗っているからこそ出会えた方もいらっしゃいますし、サーキット走行を楽しんだりもしています。「昔、MR2乗ってたよ」と声を掛けていただけることもありますね。
コンビニの駐車場に停めていたとき、警察官の方が近寄ってきて職質でもされるのかなと思いきや「珍しいクルマ乗ってますね」なんて話し掛けられたこともありましたね。
―― 周囲のクルマ仲間の方たちは、たってぃさんが困ったときに手を差し伸べてくれるのですか?
いつも助けてくれます。私が分からないことは調べて教えてくださいますし。10年、20年、それ以上のお付き合いの方もいらっしゃいますし、私の"ツレ"もMR2に対してとても理解してくれています。本当にいい方たちに囲まれていると実感します。
以前から、ランボルギーニ カウンタックLP500に乗ってみたいと公言してきたんですが、クルマつながりの方がオーナーさんを紹介してくださったんです。実際に運転席にも座らせていただいて"カウンタックリバース"をやってみました(笑)。
―― それはすごい!間違いなく、たってぃさんのお人柄です!
私、超ポジティブで、MR2が止まってダンプカーにクラクション鳴らされまくっても、それはそれでありがたく受け取ろうって思える方なんです。それに、同じことやっていてもマイナスのことばっかりずっといい続けても物ごとは良くはならないし、って思いますね。
―― まったく同感です。サーキット走行を楽しまれていらっしゃるそうですが、チューニングしてあるのですか?
購入時はノーマルでしたが、いまはエンジンを5AGに載せ換え、スーパーチャージャーを外してNAエンジンを楽しんでいます。あとは、マフラーを交換したり、ボディを補強してロールケージを組んだり、フルバケットシートを装着したり…。ホイールはBBSが好きなんですけど、タイヤの溝がちゃんとあるホイールにその都度履き替えている感じですね。
そうそう。助手席のシートはSUPER EDITION 2用のレカロシートを装着しています。友人を乗せたりするので、フルバケットシートだと「リクライニングしない!」ってクレームが出るので(笑)。
―― クルマに興味がない人にとってはリクライニングしないシートがあること自体、驚きかもしれないですね。最後に、たってぃさんにとって愛車とはどのような存在ですか?
「自分にとって大事な存在」。ただそれだけです。ほんとにいてくれてよかった。それに尽きますね。
AW11型の特別仕様車のなかでも最後に発売された「SUPER EDITION 2」。それはまさに初代MR2の最後を飾るにふさわしいモデルでした。
貴重な存在となりつつあるAW11型 MR2。その魅力を1人でも多くの方に伝えるべく「AW11型 MR2の伝道師」として、たってぃさんのさらなる充実したカーライフが送れるよう、心よりエールをお送りいたします!
<取材・編集 株式会社キズナノート>
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