25才の青年がファミリーカーとしてレクサスGS430を選んだ理由
18才から25才までの間に4台のクルマを乗り継いだという吉川さんが、仕事をがんばってきた自分へのご褒美として購入したレクサス・GS430(UZS190)。現在ではそれまでの4台よりも長い時間を共にすることとなった愛車。少しずつ増していったというクルマへの興味、そのクルマ選びに影響を与えた父の存在、そして結婚や出産といった環境の変化に応じたカーライフの変遷について語っていただいた。
沖縄県在住の吉川さん(31才)が、愛車のレクサス・GS430(UZS190)を購入したのは25才のときのこと。それまでは比較的短い期間でクルマを乗り換えてきた吉川さんにとって、5台目の愛車となったGS430は、それまで所有してきたどのクルマよりも長く人生を共にする相棒となっている。
18才で運転免許を取得した吉川さんがはじめて手に入れたクルマは、スズキの軽自動車ワゴンRだったという。
「父がお世話になっている整備士の方から勧められたクルマでした。そのときは自分もこだわりを持てるほどの経済的な余裕もなかったし、安く手に入るうえに費用も父が出してくれるということで、ありがたいと思って乗り始めました」
実は、そのころ吉川さんが興味を持っていたのはジープのようなクロスカントリーモデル。予算的に自分で購入するならパジェロミニやジムニーなどを候補として考えていたものの、突然転がり込んできた“棚からぼた餅”のようなうれしい提案を選んだというわけだ。
ワゴンRに乗り始めてから2年後、その頃にはすでに結婚して家庭を持っていた吉川さんに、今度は知り合いを通じてホンダのモビリオスパイクを譲ってもらえる話が舞い込んできたため、ワゴンRを奥様用として残しつつ、2台目の愛車としてモビリオスパイクを手に入れたという。
そして、吉川さんが22才のときに奥様が出産。家族の一員が増えるという転機が訪れると同時に、サビや不具合が目立ってきていたモビリオスパイクからファミリーカーへの乗り換えを考えるようになる。
そこで選んだのはセフィーロやローレルなどの継承モデルとして発売された高級セダンの日産・ティアナ。吉川さんにとっても少し背伸びをした選択だったようだが、ミニバンやワゴンではなく『家族で乗れるセダンにしよう』という選択に至ったのは、自身が子供だったころの両親とクルマとの思い出が影響していたという。
「自分が子供の頃に父が選んで乗っていたクルマも、トヨタのカローラや、コロナ、カリーナといったセダンでした。子供ながらに当時の内装や走り心地にワクワクする気持ちを覚えたのが、クルマに興味を持つキッカケになったんです。それと、自分が小学生のころに父が乗っていたフォードのトーラスワゴンも印象に残っていますね。その当時、父も頑張って買ったらしいんですが(笑)。3列シートの3列目が進行方向の後ろを向いていることに驚いたし、オートクルーズ機能を使っている姿も印象的でした」
そうした原体験からファミリーカーとして選んだティアナは、車内が広くて快適なボディサイズや、6気筒のVQエンジンの走行性能にも大満足で、ティアナへの理解が深まっていくのと共に、クルマという乗り物自体への興味も増していったと話す吉川さん。
「自分のティアナは2.3LのVQ23DEを積んだモデルでしたが、これはフェアレディZやスカイラインのVQ35と同系統のエンジンなんだとか、トヨタの直列6気筒2JZはどんな乗り心地なんだろう、とかそういった部分にも興味が出てきたんです(笑)」
そして、この興味や知識は、次のクルマ選びにも影響を与えることになる。
ティアナを所有しはじめて2年が経ったころ、それまで奥様の愛車として活躍してきたワゴンRのヤレが目立ち通勤などにも支障が出るようになったのを機に、新たなクルマとして選択したのはトヨタの6気筒エンジンを搭載するプログレだった。
「エンジンに加えて、先代のアリストを彷彿とさせる丸目4灯のデザインや、ちょっとオジサンっぽい全体的な雰囲気がお気に入りでした」
このプログレを1年ほど所有し、ティアナとはひと味違うプレミアムセダンの感触をひとしきり味わったあと、乗り換えたのが現在の愛車であるレクサス・GS430だ。
「特にプログレに不満があったわけじゃないんですが、そのとき勤めていた家電量販店の仕事も慣れてきて、給料も増えて余裕ができたんです。それで自分へのご褒美を、と考えたときに『カッコいいクルマを買いたいな』と思うようになったのがキッカケでした」
まず候補にあがったのは、セダンでありながら、トランクにかけてなだらかにボディラインを落とし込むクーペボディのような形状が特徴的なメルセデス・ベンツCLS。「あのリヤクォーターの曲線的なデザインが良いなと思いました」と、その独特なスタイルに惹かれたという吉川さん。
「おなじくレクサスのGSもテールのデザインが自分好みだな、と思ったんです。そして、長く乗ることを考えた時に、修理やメンテナンスも考慮すると輸入車よりもレクサスのほうが心配ないだろうと思って、結果的にGS430を購入しました」
海外では1989年から展開していたレクサスが、日本での第一弾として2005年に発売したのがこの3代目GS。レクサスオーナーになるのは『冒険だった』という吉川さんが手に入れた2006年のGS430は、V型8気筒の3UZエンジンを搭載するフラッグシップモデル。
これまでの愛車たちにはあまりカスタムを加えてこなかったというが、GSに関しては自分のこだわりを反映し、なるべく純正らしさを大事に維持したうえで細かい部分のカスタムを楽しんできたという。
グリルとダクト部は純正のブラックからシルバーに塗装し、アクセントとしてフロントリップスポイラーをプラスすることでフロントフェイスをイメチェン。さらに市販キットでヘッドライトもカスタムしているという。
ホイールは「GSへの装着例をあまり見かけなかったから」という理由で、トムスからクラウンアスリート向けに販売されていたモデルを装着。キャリパーはオーバーホールの際にグリーンに再塗装した。
また、比較的硬めだと感じていたという純正サスペンションから、YouTubeのインプレッション動画で『硬すぎず、柔らかすぎずのネコ足』という評判だったトムス製のダンパーキットに変更したという。
そして最近は、エンジンやミッションなど各所のオーバーホールに加えて、これまで手をつけてこなかった新たなカスタムにも興味を持ち始めたという。
「例えばレクサス・RCからモニター付きのルームミラーが流用できると聞いたので、試してみたいなと思っています。あとは、子供も小学校にあがって大きくなってきたので、いままで乗り降りを考えて純正のままだったシートも交換してみたいですね」
これまでの愛車遍歴を振り返ると、18才から25才までのあいだに4台のクルマを乗り継いできた吉川さんだが、5台目の愛車となったレクサス・GSの所有歴は8年目を迎え、それまでの4台を合わせた期間を超えた。
「GSに乗り始めて数カ月後に、転職を決める出来事があったんです。そのときの緊張感や高揚感、いろんな思いをこのGSの車内で思いながら過ごして、大変な時期を乗り越えられたこともあって、このGSを手放そうという気にはなれないです(笑)」
苦楽を共にして手放せないほどの思い入れが詰まった愛車のレクサスGS。これからもさまざまな出来事を乗り越え、そのたびに愛情が増していくことだろう。
取材協力:オリオンECO 美らSUNビーチ
(⽂:長谷川実路 / 撮影:平野 陽 / 編集:GAZOO編集部)
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