還暦を過ぎても続く20年来の相棒スカイラインGT-Rとの歩み
沖縄の海のようなベイサイドブルーの日産・BNR34型スカイラインGT-Rのオーナーさんは、910型ブルーバード、NAのS13型シルビア、ターボのS14型シルビアと、日産車をカスタムしながら乗り継いできた。BNR34型スカイラインGT-Rを譲っても良いと思う相手、そして最後のチューニングにとして考えていることとなどを伺った。
オーナーの吉田潤さん(61才)さんに、クルマ好きに育った原体験について伺ってみると、小学校に入る前の幼少期に遡るという。
「ウチの親父が電気工事屋をやっていて、幼稚園から帰るとその事務所に遊びに行っていました。事務所の前が国道だったもので、そこを通るクルマを見て名前を覚えるのが楽しみでしたね」
そんな経験から自然とクルマへの関心を深めていったという吉田さん。
「小学生の頃、父がプリンスのスカイラインS54Aに乗っていたんです。6気筒じゃなくて4気筒のやつね。それがマニュアルで、親父が楽しそうに運転しているのを横で見ていて、なんとなくですけど『いいなぁ』と思ったことを記憶しています」
そんな父親とおなじく電気工事業に携わるために、20才で高校を卒業後は東京都の専門学校へ入学。24才で卒業し、就職のために沖縄に戻ってきてすぐに、はじめての愛車を手に入れたという。
「中古車屋でたまたま見つけた6代目ブルーバードのターボSSS-Sでした」
吉田さんが初愛車を購入した1985年当時、ブルーバードはすでに7代目のエンジン横置きFFモデルU11型が発売されていたが、6代目の910型もターボブーム真っ只中だった日産がZ型ターボエンジンの集大成ともいえるZ18ETを搭載した快速マシンだった。
「速さはL型ターボのニューマン・スカイライン(R30型)とどっこいどっこいでしたよ」と話す吉田さんだが、実は購入の決め手となったのはエンジン性能ではなくサンルーフ。「その当時、いまの家内と付き合っていて『ああいうの(サンルーフ付き)がいい』と言ったものですから。不純な動機でしたね(笑)」
そして、ブルーバードに乗って4年ほど経ち、買い換えを考えていたころに新車でデビューしたのが日産・シルビア(S13型)だった。
「ブルーバードはタービンブローなどでお金がかかった苦い経験があり、しかも結婚の準備を進めていた時期だったので、買うなら安く済むNAが良いと思ったんです。でも、買ってから『NAとターボってこんなに違うのか』とびっくりしました(笑)」
元来から速いクルマが大好きで負けず嫌いな性格だった吉田さんは、この経験から、次に買うならターボモデルにしようと決心したという。
「S13に6年くらい乗り続けたころ、6才下の弟がクルマをダメにしたんですよ。そのころ我が家は子供が2人になっていたので、S13を弟に譲って、少し広いS14シルビアに乗り換えました。もちろん今度はターボモデルのK'sで、ブルーバードのようにサンルーフも付けました」
5ナンバーのS13型からボディサイズが拡張されて3ナンバーとなったS14型は、ワイド化されたボディや成熟が進んだSR20DETエンジンなど、吉田さんにとって走行性能の面でも魅力的なところが大きかったようだ。
「S14に乗り出してから3人目の子供が生まれて、しばらくして家庭も落ち着いたところでブーストアップをしようとコックピット沖縄というプロショップにS14を持ち込みました」
そうしてS14シルビアのカスタムを進めていき、ブーストアップがある程度のレベルに到達すると、それ以上は燃料ポンプやインジェクターといった様々なパーツの交換が必要となり、ECUセッティングもさらに専門性が増してくるようになったという。
「そこで、テクノスポーツというお店を紹介してもらいエンジンはそちらで、足まわりは引き続きコックピット沖縄で分担してやってもらうことになりました」と吉田さん。
その頃にはドラッグレースにチャレンジする機会もあったそうで、エンジン排気量アップやドグミッションへの換装など、カスタムはさらにエスカレートしていった、と当時を振り返る。
そんなS14を5年以上楽みつくした2002年、ついに現在の愛車であるBNR34型スカイラインGT-Rとの出会いがやってくる。
その最初のキッカケとなったのは、お世話になっていたテクノスポーツを通じて県外のプロショップから『フルカスタムされた吉田さんのS14シルビアを購入したい』という相談があったことだったという。
「私としては、買い手がつくならS14を手放して乗り換えるのもいいなと思い乗り気でした。そこでS14を売った金額にさらに費用をプラスしてこのR34 GT-Rを購入したんです」
本格的にドラッグレースなどで走る機会はすでになくなっていたものの、ホイールやサスペンション、タービンやカム交換といったメニューを納車前に施してから乗り始めたため、ノーマル状態のR34 GT-Rには乗ったことがないという吉田さん。S14シルビアで感じていた限界を軽く超えるポテンシャルを感じられた、と当時を振り返ってくれた。
そこから約20年、事故もなく乗らないタイミングは屋根付きの車庫保管をキープしているため、純正塗装のままのコンディションも良好。
サスペンションは一昨年に各部のピロボールを新品にリフレッシュしたばかりで、搭載するRB26DETTエンジンを純正2.6LからHKSの2.8Lストローカーキットによって排気量アップをする準備を進めている段階だという。
そして、これらのメンテナンスを依頼しているのが、かつてテクノスポーツのメカニックとして吉田さんのGT-Rに携わり、独立後はプロショップPS Racingで代表を務める新嘉喜さんだ。
信頼する主治医のもとで健康を保ち続けるお気に入りのR34 GT-Rを、ずっと手放せずに持ち続けてきたという吉田さん。
そんな吉田さんが唯一、このR34 GT-Rを譲ってもいいと考えているのが息子さんだ。
「8年ほど愛知に住んでいる息子がいて、しばらくS15シルビアに乗っていたこともあったんですよ。このあいだ転職を考えているようなことを話していたので、沖縄に帰ってくるようならこのクルマを引き継いでもらってもいいかなと思っています」
「ニッパチ(2.8L化)が最後のチューンかなと考えていますけど、こういうふうに速いクルマにしていきたいのは『年寄りがスポーツカーに乗ってる!』ってバカにされることがないように、という思いがありますね」
61才となった今も、そして今後も、現役スポーツカー乗りなのだという吉田さんの気持ちは変わることはなさそうだ。
取材協力:オリオンECO 美らSUNビーチ
(⽂:長谷川実路 / 撮影:平野 陽&長谷川実路 / 編集:GAZOO編集部)
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