スバル・フォレスターでサーキットを巡るモタスポ女子。いつかは応援する側から支える立場に。

ダートトライアルで活躍する父の姿を見てクルマ好きになったというオーナーさん。2019年に購入した愛車のフォレスター アドバンス(SKE型)で、スーパーGT観戦を楽しんでいるという。そんな彼女が目指していることについて聞いた。

黒いライダースジャケットを身にまとい、ぱらりと額に落ちる髪を優雅な手つきでかきあげながら颯爽と取材会場に現れた『あすか』さん。精悍で逞しいフロントフェイスを持つフォレスターとの相乗効果で、そのカッコよさはさらに倍増して見える。

STIの純正エアロパーツを組み、フロントガラスにSTIベアとSTI帽子を飾っていたことから“モタスポ女子”なことが窺えたのでお話を伺ってみると、モータースポーツ観戦に行くようになったのは3年前。スーパーGTを見ておもいっきりハマってしまい、毎戦参加する勢いでフォレスターを走らせているのだそうだ。

スバルの関連会社に務めているんですけど、群馬支社配属になってから自分の務めている会社のモータースポーツ活動について興味を持つようになったんです。群馬支社だとクルマを作っている現場が近くにあるので、そういうのを見ることによってより身近に感じるようになったというのはあると思います」

そんなあすかさんの愛車であるフォレスター アドバンス(SKE型)は、2LのFB20にモーターを組み合わせた『e-BOXER』エンジンを搭載したモデル。
「私が“Advance"というグレードを選んだのは、オプションでブラウンのナッパレザーシートが選択できるからなんです。このシートのブラウン部分は本革になっているんですけど、独特の革の匂いもするし、使えば使うほど味わいが出てくる所が気に入っています。シート以外にもセンターコンソール部分の色がシャンパンゴールドだったりと、垢抜けた印象がありますね。あっ! あとは、この機能も購入の決め手だったんですけど…」

運転席のドアを開けると地面を照らす“SUBARU"の文字が最高にクールだということ。スタイリッシュでカッコよく見えるように、フロント、サイド、リアにワンポイントとしてメッキを装着していること。長めのネイルがボディを傷つけてしまわないように、ドアハンドルプロテクターは必須なこと。

あすかさんはシステムサポートをする部署に配属されているそうで、直接クルマの製造に関する仕事はしていないとのこと。それ故に、スバル車の専門的な機構や構造については、詳しくない部分も…ということだったが、愛車について生き生きと事細かく説明してくれた。

ちなみに、1番のお気に入りポイントであるサンルーフは、お父様と試乗に行った時に「絶対にオプションで選択した方がいい!」と勧められて決めたのだという。お父様曰く、この時期は暖房をガンガンにかけてサンルーフを開けて走るのが気持ちいいとのこと。そのため、親子揃ってドライブに行くこともしばしばあると話してくれた。
そんなお父様が初めてあすかさんの愛車に乗ったときに「目線が高くて遠くまで見渡せるし、車高があるのに安定して走ってくれるから良いね」と言ってくれたという。まるで自分のことのように嬉しく、お父様が太鼓判を押してくれたなら間違いないと感じたのだとか。

「あとは、家族を乗せて旅行やサーキットに行く機会が多いので、運転支援機能がたくさん搭載されているということも大きな決め手でしたね。安全性能については、スバル車のみならず他社もかなり調べたんです。それでも私がスバル車を選んだのは『SUBARUが目指すのは、2030年死亡交通事故ゼロということです』という一文が目に止まったから。それを見てフォレスターにしようと決めたし、同時にこの会社に就職して良かったと感じました」

そんなあすかさんが現在の就職先を選んだのは、お父様の影響が大きかったという。
おなじ会社の仲間とダートトライアルに挑戦し、砂埃の中を切り裂くように走っている姿を見て『クルマってカッコいい』と思うようになったのだそうだ。そしてそれが、自動車会社に就職したいと思うようになったキッカケだったと笑って見せた。
「私が小学生の頃、父がアマチュア部門で優勝したことがあったんです。そのレースを観た時に、勝った負けただけではなく、心の奥を揺さぶられるような感動や元気をもらえたんですよ。あれからしばらく経って、しかも、ちょっと観戦してみようかな〜という感じでスーパーGTを観戦したわけですが、やっぱりモータースポーツにはそういう力があるなと確信しました」

レース車両へと変貌を遂げたBRZ、会場に響き渡るマフラー音やエンジン音、スバルファンシートの声援やその熱量、レースクイーンのお姉さんたちの可愛さ。そして何より、そんなお祭り騒ぎの中で繰り広げられる真剣勝負に、自分の胸の高鳴りが聞こえるほどワクワクしていたのだそうだ。
「父のレースを観ていたときもそうだったんですけど、結果だけじゃなくて、人の心を動かす何かをモータースポーツは持っていると思うんです。明確に説明せよ!とか言われたら答えられないけど、でも、何かあるんですよ。だからこそ、あんなにもサーキットに人が集まってくるんじゃないのかなと思います」

そしてあすかさんは、自分のようにレースを楽しむ人のためや、スバル車についてもっと知って欲しいという思いから、観る側ではなくサポートする側になるために動き始めているのだそうだ。

「と言っても、なんのツテがあるわけじゃないんですよ(笑)。だけど、少しでもレースの現場に近づいてお手伝いさせて頂きたいし、私は誰かのために何かをするのが好きだから、絶対にやりたいんです! 今は会社の掲示板を毎日欠かさずにチェックして、そういった募集がないかと心待ちにしています(笑)」

あすかさんは昔から人とコミュニケーションを取るのが好きで、誰かの役に立てたということに喜びを感じることが多かったのだそうだ。それが上司に伝わったのかは定かではないが、前部署ではチームのみんなが円滑に仕事を進められるようにサポートするマネージャーという役職についていたのだという。
現在は新人育成を担当しているとのことで、日々奮闘中だと教えてくれた。社会に出たばかりの新人を指導するということに不安が無かったわけではないそうだが、これが意外とやり甲斐があるのだとか。

「結構…いや、かなり大変だなと感じることが多いです(笑)。私のやり方がすべて正解とも限らないから、どこまで自分の意見を伝えるだとか、相手の言うことを聞き入れるかのライン引きが難しいんですよ。ただ、私と関わってくれたことによって、これからのサラリーマン人生がちょっとだけでも過ごしやすくなってくれれば良いな♪って思いながら仕事をしています。私が誰かに与える影響力ってすごくちっぽけだし、全然役に立たないかもしれないけど、相手が笑顔で仕事できる日が1日でも増えれば嬉しいなって思うんです」

大空に広がる入道雲のような夢を描きながら、今日も誰かのために働く姿がありありと想像できるあすかさん。そんな彼女がレースの世界で活躍するのは、明日かもしれない。

取材協力:
カンセキスタジアムとちぎ 栃木県宇都宮市西川田二丁目1-1
栃木県フィルムコミッション

(⽂:矢田部明子 / 撮影:土屋勇人 / 編集:GAZOO編集部)