こだわり満載、発展途上のインテグラ。サンルーフのためにクルマごと買い替え!?
たまたま手に入れたホンダ・インテグラ タイプS(DC5)との出会いがキッカケで、クルマやカスタムにハマってしまったというオーナーさん。新しい知識が増えるごとに喜びを感じ、少しずつ自分好みに仕上げていく過程を楽しむカーライフを語っていただいた。
これまで3台のホンダ・インテグラ タイプSも乗り継いできたという内海聡太さん。
まだ20代にも関わらずこの愛車歴ということは、かなりのインテグラ好きなのだろうと想像してしまうが、内海さんとインテグラの出会いは数年前の学生時代に、お父様が仲良くしていたディーラーから「下取りに入ったクルマがあるけど見に来ないか?」と電話が入ったのがはじまりだという。
「ふ〜ん、これがインテグラっていうクルマなんだ〜って感じでしたよ。それまで僕はクルマを持っていなかったから、クルマがあれば移動が楽になるなぁくらいでした」
4代目インテグラ(DC5)は 2001年7月に登場し、2004年9月にマイナーチェンジが行われて2006年9月まで生産されたモデル。
220psを発揮するエンジンに6速MTを組み合わせることでサーキット走行などをターゲットとした『TYPE R』と、街乗りなどの日常使いの快適さにもこだわった『TYPE S』(前期モデルでは『iS』)の2つのグレードがある。
内海さんが現在乗っているインテグラは2005年式の後期モデルで、5速MTのタイプSだ。
「インテグラは1985年に販売された“クイント インテグラ”がルーツとなっているクルマなんです。ちなみに、アメリカではホンダのプレミアムブランドである『アキュラ』から『RSX』という名前で販売されていたんですよ。2007年に僕の乗っている4代目で生産を終了したんですけど、2022年にアキュラ ブランドで復活したということで、買えはしないんですけどワクワクしています(笑)」
インテグラに関して語る様子は「ふ〜ん、これがインテグラっていうクルマなんだ〜」と思っていたのと同一人物とは思えない程だが、それほど愛車について調べるようになった理由を伺うと「このクルマが良いクルマで、好きになってしまっていたから」というシンプルな答えが返ってきた。
内海さんが最初のインテグラを手に入れてまず心を打たれたのは、マニュアルミッションであるところだったという。操作が難しそう…という予想を良い意味で裏切り、操っている感がとても面白かったのだそうだ。
加えて“速すぎない”のも気に入っているポイントだという。サーキットなどの限界域で運転したことは1度もないものの、それほどスピードを出していなくても音や振動のおかげで疾走感を感じつつ気持ちよく走ることができるという。
ついついたくさん走りすぎてしまうため、走行距離が予想以上に伸びてしまうのが悩みの種なのだとか。
そんなインテグラの魅力にどっぷりハマってしまい、3台も乗っているのだと苦笑いした。
「1台目のインテグラが修理をするのが難しい状態になってしまったから、2台目を購入したんです。2台目から3台目に乗り換えたのはワイルドスピードの影響ですね」
2台目と3台目のインテグラはまったく同じグレードだが、1つだけ違う箇所があるという。それは、タイプSだけにオプション装備として設定されていたサンルーフだ。
映画『ワイルドスピード』で主人公たちがサンルーフやエアロトップを使うシーンを見て、自分もそういうクルマに乗ってみたいと思ったのをキッカケに、中古車サイトを検索していたら、サンルーフ付きのタイプSがヒットしてしまったという。
「見るだけ!絶対に買わない!買えない!」と何度も自分に言い聞かせたものの、その努力は虚しく、3年間乗った2台目のインテグラは今や車庫の中だという。
ほんとうに買うつもりはまったくなかった、不可抗力だったのだと必死にアピールする内海さんに、共感するひともきっと多いことだろう。
「え? 何で同じクルマに2台も乗ってるの?と言われることもありますよ。そして、自分でもそう思います(笑)。でも、しょうがなかったんですよね…」
そんな内海さんが次にしたことは、このクルマについてさらに深く調べることだったという。どんなひとたちが好んだクルマだったのか? オプションには何があったのか? 当時流行っていたカスタムは? と、いろいろ知識が増えていくことに密かな喜びを感じたそうだ。
「エアロって何?ってくらいの知識からスタートしましたから、インテグラどうこう以前の問題になっちゃうんですけど(笑)。そして『モデューロ』や『無限』というエアロパーツがあることを知って、装着したいと思ったんです」
現在装着しているモデューロのエアロパーツは、派手すぎず大人しすぎないデザインに一目惚れしたのと、原型を留めながら自分好みに仕上げていきたいと考えていた内海さんにとって、自分のコンセプトにあったカスタムパーツだと感じたという。
「ひと目見てカスタムをしていると分かる無限のパーツも良かったんですけどね。エアロを付けたらこんなに変わるんだー! みたいなのって、やり甲斐があるじゃないですか。一方でモデューロはせいぜい1cm下がったくらいだし、近くでジーッと見ないと分からないくらい馴染んでしまうかんじなんですが、そこが好きなんです」
モデューロのエアロは、当時から何十年も経った現在になって再び需要が高まり価格が高騰しているという。幸いなことに、フロントとサイドのエアロはインテグラを降りるという人から譲り受け、リアはカスタムパーツを販売するショップから破格で手に入れたとのこと。少し時間はかかってしまったものの、5年でフロント、サイド、リアのパーツすべてを揃えることができたと誇らし気に語ってくれた。
ホイールもエンケイNT03の限定カラーとして発売されたスパッタリングを選択することで、落ち着いた印象の足もとを演出している。
さて、次は内装の話をしよう。モデューロ仕様にしたいのは外装だけではなく、内装もノーマルとモデューロを見比べると、ドアノブ周りやセンターコンソール、助手席側のエアコン吹き出し口など、1部にチタンカラーがあしらわれるなどしていて、微妙にデザインが違っているのだそうだ。
初めて乗ったインテグラには、このモデューロアイテムが装着してあったそうで、スポーティーな雰囲気の車内が気に入っていたのだと教えてくれた。
「人によっては、どこが違うの?くらいの差かもしれないんですけどね(笑)。友達を乗せたときに、間違い探し並によく見ないと分からないねって言われたこともあります。センターコンソール部分が木目になっているのは見つけてくれるんですけど、エアコンパネルに横のラインが入っているのは、なかなか気付きにくいかな。でも外装同様に、さり気なさすぎて気付かれないのが良いんです(笑)」
現在乗っているインテグラの内装はノーマルだが、今後はモデューロパーツに交換していくつもりだという。また、アメリカ仕様のパーツなどを使ってカスタムする『USDM』にも挑戦してみたいということだ。まだまだ未知の領域ではあるけれど、手はじめに アキュラRSXのリアシートやトランクマットに変えてみたいと話してくれた。
「USDMではないんですけど、海外でも人気になっているというカスタムをマネしてみたりしています。EP3型のシビックのハザードスイッチは赤いんですけど、割と簡単に流量できるということで交換してみました。真っ黒の内装に、赤がワンポイントになってカッコいいかなと」
そんな内海さんが1番やってみたいと考えているのは、リヤとクォーターのプライバシーガラスをクリアな標準ガラスに変更することだという。
というのも、国内で販売されたインテグラの場合、タイプSのAT車とタイプRではプライベートガラスがオプション設定だったものの、タイプSのMT車はプライバシーガラスが標準装備となっていたため『タイプSのMT車で標準ガラス』という組み合わせは存在しないのだとか。いっぽうで海外仕様ではこの組み合わせが選択可能だったため“さり気ないUSDM”としてガラス交換をおこないたいのだという。
「でも、そういうカスタムをやっている方に話を聞くと、こだわり出したらキリがないと仰っていたので、ほどほどに楽しみたいです。絶対に沼にハマらないように、適度に楽しみます!これが大事!」
こう自分に言い聞かせるように話していた内海さんだが、きっと次に会う時にはガラス交換をはじめとしたUSDMカスタムや、モデューロパーツ装着によって変化した姿を見ることができるに違いない。そしてきっとまた、不可抗力だったと腕を組んで嬉しそうに話始めるはずだ。そんなインテグラと内海さんに再会する日が実に楽しみである。
- 取材協力:
- カンセキスタジアムとちぎ 栃木県宇都宮市西川田二丁目1-1
栃木県フィルムコミッション
(⽂:矢田部明子 / 撮影:土屋勇人 / 編集:GAZOO編集部)
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