トヨタ旧車好きオーナーが“自由に楽しみたい” と手に入れたカローラクーペ1400SL

  • GAZOO出張取材会、トヨタ東京自動車大学校で取材したカローラ2代目のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)

若い頃に乗り楽しんだ1970年代~80年代のクルマ、いわゆる旧車を現在も好んでコレクションしたり、愛車として大事に乗られている方がたくさんいる。「青春時代を思い出すから」「当時の個性あふれるスタイリングが好き」「旧車ならではの乗り味がたまらない」と、その理由はさまざまだ。
今回ご紹介する東京都在住の坂本さん(58才)もまた「クルマに乗せられるのではなく、自分の技量でそのクルマをコントロールできるこの時代のクルマが好き」で、さらに「基本はレースに出ていたトヨタ車が好き」とTE27を筆頭に、当時の時代のクルマを数台保有する大の旧車好きだ。

「生まれて初めて買ってもらったおもちゃがミニカーで、それ以来ずっとクルマが好きで小学校の頃に体験したスーパーカーブームでさらにのめり込んだというか。16才でバイクの免許を取ってからは解体屋でバイクを買って直すなどメカいじりの趣味も始まって…」
そんな坂本さんが大学に所属していたのが自動車部。そこでダートラやジムカーナなどの競技を楽しむ中で買ったのがTE71型のスプリンターセダンだ。これが彼の最初の愛車となる。
「TE71の次に買ったのはTE27のスプリンタートレノでした。その後、就職してトレノを持っているという話をしたら、TE27のワンメイククラブに入っている会社の先輩から誘われて、そのクラブに入ったんです。僕はデザイン的にはカローラレビンの方が好きだったこともあり、その後クラブの関係者からカローラレビンを買い足しました。でもそれも手放してしまって、今はまた違うレビンがあります。最終的にTE27は、1台目の初期型のスプリンタートレノと、4台目のカローラレビンの2台を所有しています」

坂本さんはこの2台の他にも1600GT(RT55)やパブリカスターレット(KP45)、カローラバン(KE26V)、さらにはAE86も2台と、トヨタの旧車を数台所有している。
「基本的にはトヨタがレースに参戦させていたクルマが好きなんです。1600GTなんてまさしくレースのためにできたクルマですし、パブリカスターレットも僕からするとものすごい化け物みたいなチューニング済みのエンジンに載せ替えてあります。カローラバンはクラブの繋がりで所有することになったクルマですね」

ちなみにこの数々の愛車の中でも、坂本さんにとって“趣味車の一丁目一番地"は『やっぱりニーナナレビン』だという。
「TE27から派生してK型エンジンもいいなとか、レビンでなくても素のグレードでもいいなと思うようになってきたりしました。僕がレースカーを好きな根本には、山道やダートを速く走るために足まわりの具合がもうちょっとよくならないかなとか、エンジンのツキがもっとよくならないかなとか考えるようになったことが大きいかなと思っています」

  • GAZOO出張取材会、トヨタ東京自動車大学校で取材したカローラ2代目のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)

そしてそんなトヨタ旧車好きの坂本さんが4年前に購入したコレクションの1台で、取材の数週間前に修理を終えて車検を取得したばかりというのが、1973年式のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)だ。
ちなみにSLは「スポーツ&ラグジュアリー」の略で、クーペ1400にはSRという「スポーツ&ラリー」のスポーティグレードも存在するが、坂本さんがあえてこの個体を選んだ理由はなぜだったのか?

  • GAZOO出張取材会、トヨタ東京自動車大学校で取材したカローラ2代目のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)

「このクルマは、通りがかりの整備工場の店頭で見かけて一目惚れしたんです。全然ボディが腐っていなかったから。ぱっと見でサビはちょっと見えたり樹脂パーツが煤けていたりはするんだけど、どこも腐っていない。スタイルというよりはそういう基準で見ていいなっていう一目惚れだったんです」
そう、坂本さんは見た目ではなく、そのボディコンディションの状態の良さに一目惚れしたのだ。なかなか状態のいい旧車が出てこない今の時代だからこそ、これまでにいろいろな旧車を保有し、クラブなどを通してたくさんの旧車を見てきた坂本さんの目の留まったのだろう。

  • GAZOO出張取材会、トヨタ東京自動車大学校で取材したカローラ2代目のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)

「そうそう、ボディの状態の良さに惹かれたのが1番ですけれど、可愛いクーペの後ろ姿も気に入っています。この世代のカローラって、このクーペと2ドアセダンと4ドアセダンとバンがあるんだけど、その中でもクーペが1番可愛いんですよ」
どうやら、クーペというスタイリングも坂本さんの好みにマッチしたことも購入の決めてのひとつだったようだ。

  • GAZOO出張取材会、トヨタ東京自動車大学校で取材したカローラ2代目のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)

「一目惚れして買ったものの、しばらくは何もせず保管している状態になっていました。というのも所有するクルマの中で車検を取って起こしたい候補がほかにもあって。でもこのクルマは箱の状態がとてもよくてこのままにしておくのはもったいないなかったし、エンジンもノーマルだから街中での普段乗りもできそうだなと思ったんです。それでいろいろ直してようやくこの5月の連休中に車検を取りました」

  • GAZOO出張取材会、トヨタ東京自動車大学校で取材したカローラ2代目のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)
  • GAZOO出張取材会、トヨタ東京自動車大学校で取材したカローラ2代目のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)

車検を取得するにあたっては、サイドブレーキしか効かない状態からブレーキマスターシリンダーを復刻版に交換するなどして修復。オルタネーターやヒーターホース、ウォーターポンプなども交換し、キャブ調整もおこなったという。
「あとはこれまでの経験からノーマルサスではもう絶対乗っていられないと思ったので、車高調はレビンにも装着しているビルズの全長調整式に交換しました。これで乗り心地がだいぶ変わったのではと思います。あとはホイールをフラルコという好みのアルミホイールに交換しました」

こうして復活したカローラクーペ1400SLは、車検を取得してから1ヶ月ほどのタイミングとなった取材日が4回目の走行なのだという。
「GWに車検を取って先週クラブのミーティングに参加するため名古屋のトヨタ博物館まで行って、一応全国デビューは済ませました。そうそう、イベントの前日に少し遠いガソリンスタンドまで『大丈夫かな…』と思いながら向かったら、やっぱりロードサービスのお世話になりました(苦笑)。ちなみに来週は山梨の道の駅でのイベントに参加予定です」

旧車ならではのトラブルや不安は常に付き纏うものだけに、常備している工具なども気になるところ。
「牽引フックにジャンプコード、トルクレンチ、水や携行缶は積むようにしています。あとは今後のためのパーツ類を積んでいる感じですね。それとフクピカ。ワックスを使わなくても今のところこれで十分なんで(笑)」

気になったのは後部座席にハンガーで吊るされていたTRDの前身であるトスコの上着だ。
「トスコは年代的にもこのクルマに合っているんですよね。そしてこれは、伝説のレーサー生沢徹さんがデザインしたというトスコのサーキットコートなんですが、ビールをやめて痩せないと着れないんですよ(笑)。だからこうしてファッション的な感じで飾っています。この窓から見えるのがおしゃれだなと思って」
そう笑いながら話してくださる坂本さんのTシャツもトスコ、そしてジャケットはオーナーズクラブのものだ。

「やっぱりレビンやトレノと一緒に走ると加速が遅いのでそれについていけるくらいの力をつけたいと思って、今、アメリカにピストンとカムの見積もりを出しています。あとはステアリングの遊びが大きくてトラックみたいな感じなので、レビンと同じラックアンドピニオンにしようかなと思っています。油圧やアンメーターなどの内装のメーター類の交換もしたくて、予備パーツもストックしていますよ。以前レースカーを作ろうと思ったときに集めたトヨタ自工ワークスの14インチマグホイールも今はまだ3本しかないんですけどもう1本揃えていずれ履かせたいです。あと本当はこれからの季節(梅雨から夏)を考えると、電動コンプレッサーを買ってエアコンをつけたりもしたいんですが、自分としては走る・曲がる・止まるのほうが大事なので、それは後回しかな」
オリジナルの純正状態を維持することに注力するのではなく、ご自身がプライベートで乗って楽しめる方向で仕上げていきたいという坂本さん。「正直この1400SLの標準装備なんて今やもう誰もわからないんで、自分の好きな仕様にしちゃいたいんですよね」という言葉からは 、“こうあるべき”という定番仕様が広く認知されたTE27などとはまた違った“自由な楽しみ方”を思い描いている様子も伺えた。
そして何よりも“これから”についてとめどなくあふれる思いやアイディアを語る坂本さんの楽しそうな口調からは、この1400SLに対する愛情が感じられるのだった。

  • GAZOO出張取材会、トヨタ東京自動車大学校で取材したカローラ2代目のトヨタ・カローラクーペ1400SL(TE25)

「今のクルマは、例えばエンジンかけること1つにしてもボタンをピっと押すだけとか、あとは何から何まですべてアシストがついてるとか、自動ブレーキやらABSやら…結局クルマに乗せられてしまう感じがしてしまうんです。だけどコイツは自分で操縦しないと動かないし、自分の技量でそのクルマの限界に近づける。雪が降ればケツが流れちゃったり、雨が降ればブレーキロックしてしまうかもしれないけれど、それを自分でコントロールできるわけですよ。そういうところが僕は好きなんです」
この時代のクルマが好きな理由を、坂本さんはこう話してくれた。

旧車を保管して良好な状態を維持していくには、お金と時間がかかる上に他のオーナーさんとの繋がりも大切だ。そして何よりも絶対的に必要なのは、やはり愛車への深い愛情だろう。トヨタカローラという歴史ある旧車達と20代から変わらずカーライフを楽しむ坂本さんのお話からは、そんな旧車たちに対する愛情が溢れていた。

取材協力:トヨタ東京自動車大学校(東京都八王子市館町2193)
(⽂: 西本尚恵 撮影: 中村レオ)
[GAZOO編集部]