自分を変えてくれた、一目惚れしたシビック タイプRとの出会い

  • GAZOO愛車取材会の会場である群馬県 つつじが岡公園で取材したホンダ・シビック タイプR(FK8)

    ホンダ・シビック タイプR(FK8)

昔からスポーツカーが大好きで、現在はホンダに勤めているというTakumiさん。まさに仕事にプライベートに“クルマに全捧げ”しているという彼の愛車は、3年前に中古で購入したホンダ・シビック タイプR(FK8)だ。

スポーツカー好きな人が見たら『お!』と、興味を惹かれるこのクルマを愛車としたことで、Takumiさんのプライベートは驚くほどに変化したのだという。

「昔からマニュアルのスポーカーが好きで、その中でも特に日産車が大好きでGT-Rに乗りたかったんですよ。でも高校を卒業してすぐにホンダに就職が決まり、通勤がホンダ車のみに限られてしまって。そこでまず買ったのがタイプRではないAT車のシビックでした」
しかし、このシビックに乗った期間はわずか1年だった。

「周りの友人がマニュアルで楽しそうに走っているのを見ると、すごく羨ましくて我慢できなくなってきたんです。いつかは一番上のグレード、タイプRに乗ってみたいと思っていました」という彼が、ある日オイル交換をするために行きつけのディーラーに行った時、運命的な出会いを果たしたのが、スポーティーな青色が目を引く2017年式のシビックタイプRであった。
「もう、ひと目惚れでしたね。『あーこれ、僕が買って乗るんだろうな』といったインスピレーションもありました。お店の方の話によると、前のオーナーはタイプRの後期型が出るタイミングでそれに乗り換えるため、このクルマを手放したそうでした」

そして社会人3年目の21歳で、Takumiさんは念願のマニュアルスポーツカーであるクルマに乗り換えることになった。
「タイプRを買ってから、とにかくドライブに行くのが楽しすぎて、尋常じゃないくらい乗る回数が増えました。休みになれば走りに出ていて、月のガソリン代が6〜7万円くらいの時もあって、ガソリンスタンドのおじいちゃんからは『また来たの?』みたいに驚かれていました(笑)。走行距離は買った時は3万kmだったのですが、3年経った今は10万kmに達しました」

「ドライブに行く時は基本下道で、行き当たりばったりです。1人で出掛ける時は寝袋を使ったり、友たちと行く時はネットカフェで泊まったりして自由に走っていますね。また何かあった時に対処できるよう、車内には牽引フックやバッテリーケーブル、工具などを一式積んでいるんですよ」

こうしてすっかりこのシビックタイプRに乗る楽しさにハマったTakumiさん。さらに精力的に走ったりSNSなどで交流を広げているうちに、ご自身の性格にも少しずつ変化が表れ始めたという。

「実は僕、もともとは人と話すのが苦手で…。話すこと自体は好きだったけれど、緊張しちゃって喋れなくなってしまっていたんです。しかも18歳で就職して周りは大人ばかりで、余計に気軽に話すことができませんでした。それがタイプRを買ったことをキッカケに、プライベートや仕事場でも、幅広い年代の人と喋れるようになったんです」

ちなみに取材時の印象は、人懐こい笑顔の爽やか好青年。とても内気だったというのが信じられないほどだ。

「SNSを通じで知り合った人が、知り合いと繋がっていた、みたいな感じでどんどん輪が広がっていったことで、今まででは考えられないくらいの人脈ができましたね。また、イベントやオフ会でも色々な人と話すようになったり、趣味の一眼レフカメラで撮ったクルマの画像を通して仲良くなったり。知り合いの中には一番離れているおじいちゃんと、下だと免許取ったばっかりくらいの人達もいるくらいです。それに自分でオフ会を開いたりする事もあるんですよ」

さらにはクルマ好きの心をくすぐるタイプRだけあって、出掛ける先々で声をかけられることも多いのだとか。
「僕が童顔だからかもしれませんが、地元の岡山に行くと『父親のクルマか?』って言われます。『いやいや、ちゃんと働いていますから』って(笑)。それと父親世代には『そのクルマ、ガンダムっぽいね』って、声をかけられることも結構ありますね。他にはコンビニなんかでリヤウイングやマフラーなどの値段を聞かれるんですけど『これはアフターパーツじゃなくて純正です』って説明したり。それに、ドライブ先でクルマ好きそうな外国人の方が僕のクルマをじっくりと見ていることなんかもありますね」

どうやらこの手のエピソードには事欠かなそうな様子。

「このクルマに乗ったことでいろんな人たちとお話する機会ができて、本来の自分を表へ出せるようになったので、本当に僕にとってこのクルマは運命の出会いだったと思います!」

そんなTakumiさんに、このシビックで特に気に入っているところを伺ってみた。

「やっぱりマニュアルでの運転が楽しいのはもちろんですが、5ドアハッチバックで荷物がたくさん入るところも魅力なんです。趣味の山登りや、トライアスロンで自転車を積んだりすることもありますから。それにドライブ中に寝袋で車中泊することありますが、それもできる広さがあるんですよ。見た目では、赤バッチが目を引くフロントフェイスの形状が気に入っています」

また、基本的にはカスタムよりドライブ優先ではあるものの、アルミホイールや足まわりをダウンサスにするなどライトカスタムも楽しんでいる。

「ホイールはアドバンレーシングのRG-4一択でした。スポーティーなクルマに似合っていたしカラーも好きでした。ただ、サイズは純正の20インチから18インチに落としています。純正の20インチだとタイヤの扁平もすごく薄いし、種類も少ないので…。あとはテールランプを無限にしているくらいですかね」

ちなみに、Takumiさんのドレスアップカスタムにはちょっとした理想があるようだ。
「今後は極力赤い色を抜いて、できるだけモノトーンで大人な雰囲気に仕上げたいと考えているんです。なのでボディに入っていた赤いラインも剥がしてしまいました。キャリパーや『タイプR』のエンブレムも赤色じゃなくていいかなと思っています。ただ、問題は内装なんですよね…」

『内装ね、どれどれ』と思い、早速車内を覗いたところ、純正シートやステアリングはもちろん、インパネには赤いライン、クロスにも赤いステッチが入るという赤いアクセントが随所に散りばめられた内装が…。

「見ての通り、内装は赤だらけなんです。シートベルトや赤ステッチくらいなら我慢しますが、できればシートとステアリングは変えたいですよね。でも運転席だけ黒いシートにしちゃうと左右で色が違ってしまうし、2脚とも変えるにはそれなりの予算が必要だし…。ステアリングもレザーの巻き直しで10万円くらい掛かるみたいなんです」

内装をシックな雰囲気に一変させるのは、一気には無理だとしても、モノトーン化はこれから彼が乗り続けていく楽しみのひとつと考えれば、むしろプラスかもしれない。ちなみにエンジンルームには赤を使ったブリッツ製のタワーバーが追加されていて、これについて突っ込んだところ「当時はこの商品しか知らなかったもので…」と苦笑い。

「このクルマはずっと持ち続けたいと思っていますし、ゆくゆくはガレージを建て、そこにずっと置いておけるようにできたらと思っています。洗車はマメにしていて、来週もボディコーディングを予定しているんです。その次の日には、大洗の海沿いを走る予定があって、それもが楽しみですね!」

そして今後、彼が愛車を維持していくために気を遣っているのが、走りとカスタムのバランスだという。
「カスタムは年をとってもできるので程々にして、今は色々なところに出掛けて、多くの人と出会いたいです。ただ走り過ぎちゃうと、今度はカスタムする時のお金をガソリン代に持っていかれてしまうので、その辺りのバランスを取りながら乗り続けていけたら良いなと思っています」

『たくさんの人と出会って繋がって、もっと交流を深めたい』そう楽しそうに語ってくれたTakumiさん。そこにはこのシビックタイプRを乗る前の話下手だったという面影はすでにない。このクルマに乗り続ける限けることで、これからさらにTakumiさんの世界は広がっていくに違いない。

(文: 西本尚恵 / 撮影: 中村レオ)

許可を得て取材を行っています
取材場所:つつじが岡公園(群馬県館林市花山町3278)

[GAZOO編集部]