「わかる人にはわかるこだわりの1台」デミオ15MBにハマった大学生の初愛車ライフ
マツダを代表するコンパクトカーとして1996年に登場し、2019年に『MAZDA2』へと名称変更されるまで販売されていたデミオ。
その4代目となるDJ型には、1.3リッターのレギュラーガソリンモデルをはじめ、1.5リッターのディーゼルエンジン、さらにATやマニュアル、そしてフルタイム4WD仕様まで幅広いモデルが用意されていたのだが、その中でも異彩を放っていたグレードが『15MB』だ。
15MBは、ぱっと見は普通のデミオと変わらない。しかし、その中身はハイオク指定燃料の1.5リッター4気筒ガソリンエンジン(P5-VPS型)を搭載した6速MT車。ジムカーナやラリーなどのモータースポーツベース車両としての位置付けでラインアップされたモデルだけあり、軽量ボディに加え、よく良く回るエンジンや、キビキビとストレスなく動く足まわり、さらにシッカリとした制動力と、乗って楽しいと思わせるポテンシャルを秘めたグレードなのである。
そしてそんな15MBの魅力にすっかりハマったオーナーが、今回の取材会場となった群馬大学 桐生キャンパスで現役大学生活を送るカネゴンさん(20歳)だ。
「昔からスポーツカーが大好きでした。ただ、せっかくならば他の人と被りにくいメジャーではないクルマで、クルマ好きが見れば“拘って乗っているクルマなんだな”とわかる。そんなステルス性のあるクルマに乗りたかったんです」と、カネゴンさん。
元々父親がマツダ車に乗っていて『マツダのクルマはハンドリングがいい』と聞いていたことや、2010年代からのマツダ車のデザインが気に入っていたこと、さらにマニュアル設定が多いこともあって、初めての愛車選びの時はマツダ車を中心に探したという。
「マツダのマニュアル車で、維持していけそうなクルマ。その中で、ロードスターは実家にあって被ってしまうのと、RX-8は中古車相場が値上がりしていたこと、マツダ2も当時はまだ高かったということもあって、デミオにしようと思ったんです。そんな時に知ったのが、この15MBでした。見た目はただのデミオなのに、唯一ハイオク指定燃料のモータースポーツベースグレード。そんなステルス性が自分の好みにピッタリで、まさにコレしかないって思いましたね」
そして15MBに狙いを定めて探し始めたところ、最も気に入っていたボディカラーで走行距離は4万3千km、しかも相場よりも安価という1台のデミオ15MBを発見した。
「最初はディーラーで取り寄せてもらえないかな? って思っていたんですけど、そのお店の住所を見たら群馬県で、もっとよく見たら『大学の隣のマツダディーラーじゃん!行くしかないでしょ!』って。その後はもう、はよぅ行きたくて行きたくて、授業の内容が全然耳に入ってきませんでした(笑)」
そんな運命の出会いを経てカネゴンさんの初めての愛車となったのが、2017年式の4代目となるデミオ・15MBであった。ボディ色は『陽に当たるとシルバーみたいに光り輝いて、暗いところだと黒に近い色になって夜に映えるんですよ!』と、彼が一番欲しかった“マシーングレープレミアムメタリック”のボディカラーも誇らしげだ。
「買ったばかりの時は、乗り味がどうとかいう以前に、とにかく自分のクルマを手に入れたという感動が大きかったです。2年間乗ってきたので操作はだいぶ慣れましたが、今でも乗れば乗るほど楽しいですよ。特に自分で色々とイジリながら、パーツを付けて乗って、その変化を楽しみ、また違うパーツを付けて乗って。と、繰り返していくのも本当に楽しいです!」
ちなみに、カネゴンさんは群馬大学の『自動車部』と『フォーミュラチーム』の両方に所属している。だからこそ、クルマ好きな部の仲間たちと試行錯誤しながら、少しずつカスタムをすることが何より楽しいのだという。
そんなカネゴンさんのデミオ15MBは、ホイールに車高調、エアロといった外装メインのカスタムで、シンプルながらもスポーティに纏め上げられている。
「一番こだわっているのはエアロですね! 僕が一番デミオに似合うと思っている、マツダスピード純正のリップスポイラーやサイドスカート、そしてリヤスポイラーをネットオークションで購入して装着しました。ホイールは割とメジャーなカスタムになりますが、ロードスターのモータースポーツベースグレードの純正を流用しています。元のホイールよりも1本あたり1.3kgくらい軽いので、トータルで約5kgは軽量化できるんですよ」
「足まわりは中古で状態の良いクスコのストリート用車高調を入れています。後ろに人を乗せることが多いので、あまりポヨンポヨンしていると酔っちゃうかなと考えて減衰力はちょっと硬めに調整していますね」
また、マツダスピード製が好みということもあって、基本は純正ベースの外装だが、フロントブレーキディスクとパッドはディクセル製に。フォグランプは『いかにもレンズとわかりやすい形が好きなんです』と、ネットオークションで購入した海外製にするなど、カネゴンさんが拘っている社外パーツも投入されている。
そしてほぼノーマル状態の内装で目を引いたのが、ヘッドレストに巻かれた赤いペイズリー柄のバンダナだ。
「これはクルマが納車された時に、両親がお守りと言ってつけてくれたものなんです。ちょっと色褪せてきちゃいましたけど(笑)」
ご両親が安全を祈って巻いてくれたバンダナ。それを大事にしているところにも、彼の優しさが感じられる。
「内装で唯一交換しているのは、シフトノブです。先輩から譲ってもらったロードスターの純正品で、球系だから操作しやすいんですよ。あとはシートベルトにマツダのロゴ入りのカバーが付いているんですが、これは伊香保にある『おもちゃと人形 自動車博物館』に遊びに行った時に売ってたので買っちゃいました。伊香保らしさは全然ないんですけどね。ハハハ…」
そう色々と説明してくれるカネゴンさんの表情は、本当に楽しそうだった。
ちなみにカネゴンさん、アルバイト先も自動車部の先輩と同じガソリンスタンドで、休みの日にはよくドライブにも出かけるなど、学業以外は大好きなクルマ一色の充実したカーライフを送っている。
「ドライブは長野や栃木方面に行くことが多いです。1人で行くこともあるし、自動車部以外の友達と出かけることもありますね。旅先で何かあっても大丈夫なように、普段はトランクに工具箱やブースターケーブル、パンク修理キットに三角表示板を積んでいるので安心!? です。洗車はアルバイト先でできるのも便利ですし、一番仲の良い自動車部の先輩と職場が一緒なのですごく楽しいですヨ!」
そんな彼に、改めてデミオ15MBという愛車の魅力を語ってもらった。
「15MBって、エンジンルームのスペースに余裕があって、整備性がすごく良いので、僕らみたいな整備初心者にも手が入れやすいんです。車高調の交換作業もしやすかったですし。でもやっぱり一番の魅力は、目に見えない部分にもこだわりの専用パーツが装備されているところじゃないですかね。ブレーキのディスクやドラムの径がアップグレードされていたり、加速寄りのギヤ比になっていたり。デミオの別グレードに乗っている先輩に『僕の方が専用のパーツが入っているから』ってちょっと優越感に浸れるところも気に入っています! あぁ、でもモデルチェンジした『MAZDA2』にも15MBがライナップされたので、その優位性も無くなってしまったのがちょっと残念かなぁ~(笑)」
外見こそほぼ同等だが、他のデミオとは一線を画すポテンシャルを持ち、さらに吟味したパーツを取り付け、その進化を楽しむことも味わえる。このデミオ15MBは、まさにカネゴンさんが理想としていたクルマであったのだ。
「デミオ15MBを手に入れてからは、一気に生活の幅が広がって楽しいことも増え、本当に良いことづくめなんです。唯一の欠点はガソリンがハイオク指定なので、その出費が痛いところですね。けれど、それ以外の不満は一切ないです。いつかマツダスピードのフルバケットシートを入れて“マツダスピードデミオ”にしたいです!」
大好きなクルマと共に過ごしているカネゴンさん。今後の大学生生活も、さらに充実したものになるに違いない。
(文: 西本尚恵 / 撮影: 平野 陽)
許可を得て取材を行っています
取材場所:群馬大学 桐生キャンパス(群馬県桐生市天神町1-5-1)
[GAZOO編集部]
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