『親の英才教育』でクルマ好きになった青年の愛車ライフ、スイスポからGR86へ

  • GAZOO愛車取材会の会場である群馬県群馬大学桐生キャンパスで取材したスズキ・スイフトスポーツ(ZC33S)

    スズキ・スイフトスポーツ(ZC33S)

子供の頃から父親に連れられて、サーキットに行ってレースを観戦したり、クルマが集まるイベントやミーティングに足を運んだりと“英才教育”を受けてきたという『けいちゃん』さん。

「父親がクルマ好きだったので、自分もあたりまえのようにクルマに関心を持つようになりましたね。特に速くてカッコいいスポーツ系のクルマや、それを走らせるプロドライバーに憧れを抱くようになりました。スカイラインとかカリーナとか、乗るなら絶対マニュアルのスポーツカーだって思っていました」

学生時代にバイト代を貯めてはじめて手に入れた愛車のスズキのアルト(HA24S)では、マニュアルミッション車で運転することの楽しさを覚え、友達とのドライブでたくさんの思い出も作ることができたという。
そして、社会人1年目に購入したのがこのスズキ・スイフトスポーツ(ZC33S)だ。

2017年に発売が開始された3代目スイフトスポーツは、それまでのNAエンジンからターボエンジンへと変更されたことをはじめ、6速マニュアルミッションやサスペンション、ブレーキなど、標準グレードとは異なるスポーティな性能を備えたホットモデル。しかも車両価格が200万円台前半とコストパフォーマンスの良さも魅力的な1台である。

「速くて手頃なハッチバックが欲しくて、アルバイトを頑張ってお金を貯めて新車で購入しました。試乗させて頂いた時には、車体が軽くエンジンのトルクもあって、まさに一目惚れという感じだったんです。スイスポは速くて乗り味も最高なのに、それでいて手がかからないところもとても気に入っています。見た目はノーマル風にしていますが、車高調を装着してホイールも軽量なものに交換しています」

普段乗りはもちろん、都内に住む友達に会いに行ったり、祖母の実家の長野県に行ったりと遠距離ドライブも満喫。さらにこのスイフトスポーツでサーキット走行デビューも果たしたそうで、現在も年に数回は福島県のエビスサーキットや、リンクサーキットでスポーツ走行を楽しんでいるそうだ。

「購入した頃は距離数を伸ばしたくなくて、あまり乗らないつもりでいたのに楽しくなって、いつの間にかどんどん走行距離は伸びちゃってますね」と、2020年に購入してから約4年で走行距離は10万キロを超えたという。

お気に入りのポイントは、ボディカラー以上に真っ白さが際立つエンケイスポーツ製ホイールRC-T5。このスイフトスポーツはラリーのターマック(舗装路)スタイルをコンセプトにカスタマイズしているそうで、純正17インチホイールに対して、あえてインチダウンとなる16インチを選択することで『このむっちり感が好きなんですよねぇ』と、思わず笑顔がこぼれてしまうほど理想のスタイルを確立させている。

「サーキット用のブレーキパッドを装着していると、ブレーキダストでホイールがすぐに汚れてしまうんですが、このボディカラーとの組み合わせがすごく気に入っているので、がんばって綺麗に保つようにしています。ボディ全体に関しても、購入してから1年半くらいたった頃にはじめてボディコーティングを施工してもらったんですが、びっくりするくらい綺麗になって。それ以降も半年に1度くらいの頻度でコーティングをおこないつつ、洗車もこまめにして常にクリーンな状態をキープできるように心掛けています」

ちなみに購入時にボディカラーを選ぶ際には『自分は性格が細かいので』と塗装の劣化や傷が気になりがちな色を避け、最終的にシルバーとホワイトの中からホワイトを選択したとのこと。新車のようにツルリと輝くボディからは、彼の愛車にかける愛情の深さが伝わってくる。

そして、インテリアに目を移すと、そこにも彼のこだわりが。
「スーパーGTなど現役で活躍中のレーシングドライバー、織戸学選手が大好きなんです。昔から両親が織戸選手のファンで、レースはもちろんビデオやDVDなどもたくさん見ていました。グリップもドリフトも上手いところに憧れています!」

ステアリングは『MAX ORIDO』の刺繍が入った、ナルディとのコラボモデルを装着していて、サーキット走行の際に使っているドライビンググローブもMAX ORIDOブランドのアイテムだという。

「実はシューズも織戸選手が履いていたものとおなじエアマックスを履いているんですが、サーキットで織戸選手とお会いした際に『いい靴履いてるねぇ』と声をかけてもらえたのは嬉しかったです!」と“推し”に対する愛を熱く語ってくれた。

極め付けは運転席の内装に書いてもらったという織戸選手の直筆サイン。内装に保護フィルムを貼っていることなどからもわかる几帳面な性格によって綺麗に保たれているインテリアの中で、ひときわ特別な部分と言えるだろう。

そんな思い出がたくさん詰まったスイフトスポーツだけに、これからも末長く乗り続けていくのだろう…と思ってお話を伺っていたのだが、「実はもうすぐ乗り換えることが決まっているんです。今回の取材会は『最後にこのスイフトスポーツとの思い出を記念に残しておきたい』と思って応募させていただいたんです。プロのカメラマンさんに撮ってもらったカッコ写真がずっと残すことができるので、とても嬉しいです」とのこと。

ちなみに次に購入したクルマはというと、「スイフトスポーツに不満はないけれど、もともとFRクーペに乗りたいという夢がありまして。水平対向エンジンに抵抗はあったんですけど、織戸さんが乗っているということも決め手になりました」ということでトヨタ・GR86(ZN8)を選択したそうだ。

乗ってみたいと思えるFRスポーツカーがちょうど発売されたことに加え、青空駐車ながら日頃のメンテナンスの甲斐もあって、傷や凹みもなく下取り価格が予想以上についたこと、街中でもまだあまり見かけないので所有欲も満たせるのでは? と感じたことなど、様々な要因が重なったこのタイミングで乗り換えることを決意したのだと教えてくれた。
その口調は、こうして改めて話すことで自分自身を納得させているようにも感じられた。

クルマ好きな父親の影響で自らもクルマ好きとなり、仕事もクルマに関わる会社を選び、クルマやバイク好きの同僚が多いという職場では休憩中に愛車の話で盛り上がっているという『けいちゃん』さん。
スイフトスポーツとの愛車ライフはまもなくエンディングを迎えるが、新たに愛車となるGR86では、きっと憧れの織戸選手のようにレースもドリフトも、さらにはラリーも!? と、これまで以上にさまざまなクルマ遊びにチャレンジしていくに違いない。そして、機会を見てサーキットやイベントに持ち込んで、また織戸さんに直筆サインを書いてもらうのだ。

「この機会を逃したら、一生このスイフトスポーツに乗っていたのではないかと思うくらい大好きなクルマです。でも、GR86に乗り換えたらFFからFRになるのでサーキット走行などでの違いは今から楽しみです。他にも、スイフトスポーツでは交換できなかったシートもバケットシートに交換したいなぁとか、今からいろいろ考えていますよ」

スイフトスポーツとの日々が良き想い出となり、これからもまだまだ続いていくカーライフが充実したものになりますように。

(文: 西本尚恵 / 撮影: 平野 陽)

許可を得て取材を行っています
取材場所:群馬大学 桐生キャンパス(群馬県桐生市天神町1-5-1)

[GAZOO編集部]