クルマ好き夫婦が選んだファミリーカーは『走るのが楽しい』スイフトスポーツ
クルマにはさまざまなカテゴリが存在するが『ファミリーカー』の定義を調べてみると“家族全員が快適に移動できること”が基本だという。当然ながら家族によって人数は異なるので乗車人数は限定されないし、ボディ形状なども特に細かいレギュレーションがあるわけではない。
一般的には真っ先に思い浮かぶのはミニバンだろうし、近年では買い物などの荷物を気軽に積み込んだり、アウトドアレジャーにも活用できるユーティリティスペースの広さからSUVも広く普及している。しかし、もちろんそれはあくまでも選択肢のひとつであり、人によってはクルマに求める価値観が異なるため『ファミリーカー』の選択基準が大きく異なることもあるだろう。
そんなファミリーカーに“走る楽しさ”を求め、2023年式スズキ・スイフトスポーツ(ZC33S)を手に入れたのがyukiさんファミリー。
スイフトスポーツといえば、コンパクトなボディに1400㏄ターボを搭載するスポーツモデル。特に現在の新車では希少とも言える6MTが選択できるため、軽量なボディと合わせることで思いのままに軽快な走りを楽しめる。実際にサーキットなどでスポーツ走行を楽しむユーザーも多く、コストパフォーマンスの良さも含めて、多くのファンに愛される現代版ホットハッチなのだ。
そんなちょっぴり尖ったスポーツモデルをファミリーカーとして選択したと聞くと「きっとクルマ好きな旦那さんが意見を押し付けてしまったんだろう」と思われるかもしれない。しかしyukiさんファミリーは、ご夫婦の意見が完全一致したうえで、家族5人が乗れるスイフトスポーツを選択したという。
「このスイスポを買う前に私が乗っていたのはランエボ(CT9A)で、旦那のクルマはスカイライン(ER34)だったんですよ。どっちも燃費が悪くて走行距離も伸びちゃっていて、普段から利用するのは気が引けていたんです。そんな時に3人目がお腹に授かったということもあり、ランエボとスカイラインを休眠させて燃費の良いファミリーカーを買おうってことになったんです。でも旦那も私もミニバンは嫌で、どうせなら走って楽しめるモデルが良いなってことで、最終的にスイスポで意見が一致しました」
ファミリーカー選定にあたって挙がった候補はGRヤリスとスイフトスポーツだったという。その基準を伺ってみると、今後は純ガソリン車がなくなってしまう可能性もあると考えてハイブリッドではなく純ガソリンエンジンモデルであること。さらに軽量コンパクトで、マニュアルミッションが選べて、楽しく走れる車種であること。これらの基準を満たすクルマとなると、この2台が該当したというわけだ。
「実際に試乗しに行ったんですが、子供の乗り降りを考えるとドアは多い方がいい。3ドアのGRヤリスでは上の子供たち(ユイトくん、タイガくん)なら問題ないのですが、赤ちゃんをチャイルドシートに乗せることを考えると大変だなって思ったんです。しかも、それ以前にGRヤリスは4名乗車だったため家族5人で乗ることができないので候補から外れてしまいました。その後はインターネットなどで情報を集めまくって、さらにスイスポは6回くらい試乗にも行ってフィーリングを確かめました。そんな経緯を踏まえた判断から、我が家のファミリーカーはスイスポに決まったんです」
もちろんクルマ好き夫婦なだけに愛車に対するこだわりも強く、事前の情報収集時から様々なスイフトスポーツ用のアフターパーツもチェックして、2人でカスタマイズプランを立てはじめたのだという。
そんな中で目に止まったのが巨大なリアウイング。このパーツは九州にある正規ディーラのスズキワークス東久留米で用意されているアイテムで、現在は部品としての取り扱いが終了しているもの。しかし車両購入時にオプションとしてなら選択できるということで、このウイングにひと目惚れしたyukiさんは地元ディーラーではなくスズキワークス久留米で車両をオーダーすることを決意。納車時は娘さんのアイナちゃんが生まれて1ヶ月だったことから、旦那さんが飛行機で引き取りに行って自走で持ち帰ってきたという。
ちなみに、自走で引き取りに行ったのには訳があり、納車日翌日には旦那さんがこのスイフトスポーツで大学のOB会が主催するジムカーナに出場しようと考えていたから。ちょうど持ち帰り950kmあれば慣らし運転を兼ねることができるため、自走での引き取りはむしろ好都合だったというわけだ。
そんなジムカーナなどの競技時はもちろん、yukiさんや子供たちのインプレッションを聴きながら、ベストな組み合わせを模索しているというのが足まわりのセッティングだという。
大学の自動車部出身という旦那さんにとって、スプリングの交換は手慣れたもの。そのため自宅ガレージには30セットのスプリングが並び、納車から半年の間に50回以上のスプリング交換を行ったという。
yukiさんにとっても乗り心地の変化を体感できるこの工程は楽しみのひとつで、ファミリーカーとしての役割と走りを楽しめるジャストなセッティングが完成した現在は、ドライブする楽しさもさらに増したという。
ファミリーカー仕様とジムカーナ仕様で交換するというタイヤ&ホイールもこだわりのポイント。ファミリーカー仕様ではダートラやラリーのイメージが強いスイフトスポーツに合わせて、OZレーシング・スーパーツーリズモをセット。しかも最初は17インチを装着していたが、オフセット値やインチアップなどサイズを見直しながら現在装着している18インチは3セット目だというから、そのこだわりには感嘆するばかりだ。
あくまでもファミリーカーでありつつ、ジムカーナなどにも参加することもあるため、シートは使いやすさとホールド性を兼ね備えたリクライニングタイプのバケットシートをセット。運転席だけでなく助手席もブランドを合わせてセミバケットシートに変更されているのは「車内を見た時に左右で違うシートではカッコ悪い」というyukiさんのこだわり。
後部座席はいつも2人のお兄ちゃんがアイナちゃんの隣を争うため、チャイルドシートはシートベルト固定式をセンターに装着し、ジュニアシートを左右に配置。このレイアウトも車両購入前にしっかりと検討し、ファミリーカーとしての使い勝手を確認できたのもスイフトを選んだ理由というわけだ。
コンパクトながらも深さがあるラゲッジには、アイナちゃんのベビーカーや外出用の荷物などを積み込むことができる。5人家族でもランエボ同様に十分なキャパシティがあるため、3〜4時間くらいのドライブなどでも不便さは一切なし。むしろ運転するのが楽しいため、長時間の家族ドライブも楽しめるスイフトスポーツを選択したのは大正解だったという。
旦那さんがジムカーナなどに持ち込んだりしてはいるものの、基本は「これはわたしのクルマ」とyukiさんが所有権を主張するファミリーカー。そのためエンジンなどはノーマル状態をキープするのは現段階での絶対条件だという。しかし、すでに旦那さんの手によってファイバー製ボンネットに交換され、今後は排熱のためのダクト加工を施す予定とのこと。もちろんスポーツカー好きのyukiさんだけに、こういったカスタマイズに対しても理解があるのは、旦那さんにとっては喜ばしいことなのだとか。
ちなみに今でこそスポーツカー好きのyukiさんだが、もともとはクルマに一切興味がなかったという。しかし20歳の頃にバイト先で出会ったという現在の旦那さんに、夜遅くなった時には自宅まで送ってもらったりするようになり、その時に運転している姿が楽しそうに見えたことから自分でもMT免許を取得し、結婚後には旦那さんが2台所有していたトヨタ・カローラレビン(AE111)からMT車に乗るようになったのだという。
最初の子供ができたタイミングでミニバンも頭をよぎったのだが、結果的にはファミリーカーとしてランエボを購入。そのランエボは事故で乗り換えることになってしまい、何台か他のクルマを乗り継いでみたものの、やっぱりランエボが欲しくなり2台目を購入したという経緯があるそうだ。
その2台目のラインエボは、2022年3月に行われた『GAZOO愛車広場出張撮影会in千葉市』にも参加していただくなど、ファミリーカーとして大活躍。そんなスポーツカー好きのDNAを受け継いだ子供たちも、大きくなったらスポーツカー好きとして育ってくれることに期待しながら子育てを楽しんでいるという。
ちなみに自宅と実家には休眠中のランエボと旦那さんの愛車であるワイルドスピード仕様のスカイラインのほか、ロードスター(NA6とNA8)や友人から譲ってもらったスカイライン(ER34)などを保有しているため、子供たちが受け継ぎたいといった時もいろんな選択肢が用意されているというから羨ましい!
ミニバンなど大型のファミリーカーを保有しているオーナーから見ると、コンパクトなスイフトスポーツを5人家族のファミリーカーとして利用しているのは不便では?と言われることもあるという。しかしクルマに対して求める価値観が違い、その価値観にマッチしているのであれば、クルマのサイズなど大きな問題ではないのだ。
スイフトスポーツで仲良くドライブするyukiさんファミリーを見れば、ファミリーカーに対する固定観念も変わってくるのではないだろうか。何よりも家族みんなが笑顔になれることこそファミリーカーの大前提なのだ、と。
取材協力:しいのき迎賓館(石川県金沢市広坂2丁目1-1)
(⽂: 渡辺大輔 / 撮影: 土屋勇人)
[GAZOO編集部]
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