20万km乗ったシビックタイプRからGR86に乗り換えたオーナーの充実カーライフ!

  • GAZOO愛車取材会の会場である山梨県庁噴水広場で取材したトヨタ・GR86(ZN8型)

    トヨタ・GR86(ZN8型)



走る楽しさやカスタムしやすいスタイリングなどが支持され、今では街中で目にする機会も非常に増えてきたトヨタ・GR86(ZN8型)。その中でも比較的レアなボディカラーとなる、色鮮やかなブライトブルー色が眩しい。

このカラーリングとGR86のスタイルに一目惚れし、10年半で20万km乗ったシビックタイプR(EK9型)から思い切ってこのGR86に乗り換えたというオーナーが、今回ご紹介する山梨県在住のNORIさんだ。

一目惚れとはいえ、自分が一番大好きだったシビックタイプRを手放してまで乗り換えるというのはとても大きな決断だったはずである。そんなNORIさんに、GR86購入に至った経緯や現在のカーライフなどを伺った。

「趣味としては鉄道が一番長いんですけど、学生の時にゲームセンターで『頭文字D』というカーゲームを知り、その漫画も読みはじめたんです。そこから『湾岸ミッドナイト』も読んでスポーツカーに興味を持つようになったんですが、僕はどちらかというと湾岸ミッドナイト派でしたね」

「大学ではクルマのメンテナンスが覚えられたらと、自動車部に所属したんですが、その時に母親との共有で好きなクルマを購入することになって、1300ccのシビック(EK2)のAT車を買ったのが最初ですね。その後はOBの方から購入したダートトライアル仕様のスターレット、そして憧れのシビックタイプR(EK9)と乗り継いだんですが、これは僅か2ヵ月後にサーキットで廃車にしてしまって…。失意のどん底にいた時に、ディーラーの方がご自身のCR-Xを安く売ってくれたんです。しばらくはCR-Xに乗っていたんですが、年式も古いので故障が多くなり父親に相談したところ『シビックタイプRが好きならそれを買えば?』と後押ししてくれたんです」

こうして購入することになったシビックタイプR(EK9)が、GR86に乗り換える前のNORIさんの愛車だったというわけだ。

「走行距離6万kmで購入して、その後10年半で26万km走行して手放したので、約20万km乗りましたね」と笑うNORIさんに転機が訪れたのは、約2年前の冬である。

「新しい86がカッコ良いなと思いつつ、インターネットで検索していたら、たまたまこのカラーのGR86を見つけて『うわー、カッコ良いな』って、一目惚れでした。シビックは30万km乗るつもりで色々イジっていたんですけど、もう26万kmだし、このカラーなら乗り換えても良いかな? って思い始めたんです。それでもやっぱり2週間以上悩んで、馴染みのガレージカフェの仲間にも相談しました。その上で決断をして、タイプRを売りに出して2022年の冬にGR86を新車で購入したんです」

NORIさんが購入したのは2022年式トヨタ・GR86のMT車。排気量は2400ccでグレードは最上級のRZだ。カラーはもちろんブライトブルー。

ちなみにNORIさん曰く「このブライトブルーカラーはマイナーチェンジで消えたり、途中で発売が打ち切りになったりで全体の1割ほどしか存在しないらしいんです」とのこと。それならば街で見かけることが少ないのも納得だ。

「僕にとっては、FR車も1600cc以上のクルマも初。だから納車待ちの間に行きつけの“ガレージカフェen”にあるグランツーリスモでGR86に乗る練習もしていたんですけど、とにかくおぼつかない運転で『えらいクルマを買っちゃったな~』って焦っていました。でも実物の方が全然乗りやすかったので安心しましたね(笑)」

そんなNORIさんは、購入して最初の3日間で慣らし運転を兼ねて白川郷や軽井沢などをドライブし1000kmを走行したそうで、GR86で出掛けた2年間のドライブの中でこれが一番思い出深いそうだ。

「慣らしをしていて一番驚いたのが、ちょっと休憩を挟んで走る度に、クルマが自分の走りに合わせてくれて、どんどん乗りやすくなるのが体感できることでした。正直今のクルマってそっけなくて無機質な感じなのかなと思っていたけど、全然そんなことはなかったです。走るほどに自分に合わせてセッティングされていく感覚に『おおっ!』て感動しました」

さらにその後は、ドラテクを磨くために氷上走行にチャレンジしたり、サーキット走行をしたりと、GR86と仲良くなるためのカーライフを存分に楽しんでいる。

「2023年の冬に、FR車の挙動や限界を色々知りたくて、女神湖の氷上走行に参加してみたんです。でも『どんだけ滑るんだー!』と、もう大変でした。ただ、その甲斐もあって大分このクルマの動きがわかってきましたし、やはりスバルの血が流れているからか、FR車なのにちょっと4駆っぽくてしっかり路面を喰っているなと思う時もありましたね。他にも、家から20分で行けるスポーツランド山梨で走ってみました。このクルマ、とにかくトラクションの化け物だなと感じましたね」

そんなNORIさんの愛車は、購入から2年経った現在、スタイリングや性能もカスタマイズによって、着々と自分好みに進化を遂げつつある。

「僕は青が好きなので、基本はこのボディカラーに合うパーツを追加するようにしています。まず外装ですが、フロントのトムス製のスポイラーは当時一番かっこいいと思い、納車時にオプションで追加してもらったものです。ルーフはアンテナを替える時にブラックカーボン調にラッピングしてもらいました。そして、マフラーはガナドール製で、この焼き色が一番青かったので選んだんですよ」

「ホイールは、懇意にしているショップの従業員さんがフォレスターに履かせていたものをタダで貰ってほしいと言われた、18インチのOZレーシングを履いています。そして、中でも一番のお気に入りが、今年の春先に装着したばかりのこのSクラフトさんのリヤウイングですね! BRZに乗る知り合いがこのウイングをつけているのをみて、もしGR86に載せるならこのウイング一択でした。発売すると聞いたタイミングですぐに予約したくらいです」

そんな中で目を引いたのが、車高の高さだ。スポーツカーに車高調整式サスペンションを装着する場合、通常ならば車高を下げて重心を低くして走りを安定させる方向へのカスタムが多い。しかしNORIさんの場合は逆で、20mmほど車高をアップさせているのだという。一体なぜなのか、その理由についても話して下さった。

「基本、クルマでどこか行けない場所があるというのが嫌なんです。どこにでも愛車と一緒に行きたいんですよね。それに山梨県と、実家のある三重県の長距離を往復することもあるので、実用性の高いタフなクルマに仕上げたかったんです。この車高の高さなら好きな山道を走っても、カーブを抜けたさきに小石が落ちていたりしても気にせず走れますから。それにラリー車っぽい雰囲気も好きなので!」

見た目だけでなくラリーで走るような山道でも安心して走り抜ける、そんな実用性もしっかり考えたカスタムだったというわけだ。また実用的装備として、イエローのフォグランプや、シビックから引き継いだマットガードも装着される。

また『青を挿し色にしたい』と、ブルーのカーボンパネルやシフトノブなど、NORIさんのこだわりが光る内装も見逃せない。そしてそのこだわりはエンジンルームにも活かされている。

「青くなりすぎない程度で、統一感を出すようにしています。交換したのはエアクリーナーなどの吸気系がメインです。吸気温度が上がりやすかったので、トラスト製のダイレクトエアインテークを装着して対策しています。そして、タワーバーは10万円くらいするダンパー入りのものを追加したんですが、これでさらに走りが良くなりましたね」

「社会に出てから2年後に、縁もゆかりもない山梨に引っ越してきて、最初はクルマの繋がりもまったくない環境でのスタートでした。“山梨は雪が降るから、シビック用のスタッドレスタイヤを買わないと”と思って、タイヤ館 韮崎店に行ったら、すごい笑顔で迎えてくれる人がおるぞって。その人はインプレッサに乗っていて、それ以来ずっとオイル交換などをお願いして10年来の付き合いになりました。また、重整備をお願いしているガレージレグの店主さんは、全日本ダートトライアルで、チャンピオンを獲ったことのある方なので、僕のクルマの方向性はその影響もあるかなと思っています。そして、僕が着ているパーカーのお店『ガレージカフェen』では、クルマの相談が何でもできる常連仲間ができました。この辺りは清里も近く走るところが多いので、毎週のように皆でキャッキャ言いながら楽しんでいます(笑)」

「今後のカスタマイズについては、バケットシートへの交換を検討しているんですが、純正シートが割と良いうえに、シートヒーター欲しさで無理してRZグレードを買ったので…、そこも悩みどころなんですヨ」と、なんだか楽しそうだ。

20万km乗った大好きなシビックタイプRを手放し、GR86という現行スポーツカーを相棒に迎えたことで、新たなクルマの楽しみ方を知ったNORIさん。これからもGR86と共に、ますます充実したカーライフを送っていくに違いない。

(文: 西本尚恵 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:山梨県庁 噴水広場(山梨県甲府市丸の内1丁目6-1)

[GAZOO編集部]

MORIZO on the Road