父と歩んだ“クルマ好き人生”の結晶。憧れの青いBRZ

  • GAZOO愛車取材会の会場である香川県の『道の駅 恋人の聖地 うたづ臨海公園』で取材したスバル・BRZ(ZC6型)

    スバル・BRZ(ZC6型)


スポーツカーの魅力を再び世に広めようと、スバルとトヨタが手を組み、2012年春に誕生したのがスバル・BRZとトヨタ・86。
水平対向エンジンを活かした低いフロントノーズの2ドアクーペスタイルは、ひと目で“スポーツカー”とわかるフォルム。走りの楽しさもきちんと備わっており、ベテランドライバーから若いビギナーまで、幅広い層の心をつかんだ。

そんな姉妹車であるBRZと86は、見た目や装備に細かな違いこそあるものの、基本骨格や性能は共通。実際、両車は『GAZOO Racing 86/BRZ Race(ZN6型/ZC6型)』や、フルモデルチェンジに伴って2022年からの『TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup(ZN8型/ZD8型)』などおなじ土俵で競い合っている。

しかしファン層には微妙な違いがある。BRZを選ぶオーナーには、「スバルというブランド」に惹かれて選ぶ人が多いのだ。
今回ご登場いただく2017年式スバルBRZのオーナーである『CAR PASTIME』さんも、そんなスバル愛を持つひとりである。

「両親がクルマ好きだったので、自分も自然とクルマに興味を持つようになっていました。子供の頃はよくミニカーを買ってもらっていましたね。父は当時、マフラー交換したクレスタに乗っていて、学校に迎えに来てもらう時とかに音が聞こえると、自分はもちろん友達もウチのクルマだってわかるので、そんなところに優越感を感じる子供でしたね(笑)」と、子供時代の思い出を話してくれた。

そんなクルマ好き少年が、中学生の時に出会ったのがスーパーGTだった。
「テレビでスーパーGTが放送されていて、それに興味を持ったんです。GT500だとレクサスSCやGT-R、NSXが走っている時代でしたが、僕はGT500よりも、いろんな車種が走っているGT300が好きだったんです」と、特に注目していたのは、RX-7やレガシィB4だったそうだ。

その興味を後押ししてくれたのもまた、父だった。
「高校に合格したら、スーパーGTを観に行こう」と父が約束してくれ、見事合格後には岡山国際サーキットで開幕戦を観戦。第1コーナーで見たレースの迫力に圧倒され、より深くモータースポーツの世界へとのめり込んでいったという。

ちなみに当時、クルマやレースの話をするお相手は誰だったのかを伺ってみると「学校の友達にはクルマに興味を持っている人がいなかったので、レース等の話をする相手は父でしたね」とのこと。CAR PASTIMEさんのクルマ好きは、お父様抜きでは語れないようである。

大学へと進学した頃には、スバルのスーパーGTマシンはB4から、デビューしたばかりのBRZにスイッチされ、ボディカラーはスバルのイメージカラーとなっていたブルーとなる。
「昔から好きな色がブルーだったんです。だからクルマもブルーの似合うモデルが好きで、インプレッサやスカイラインGT-R(BNR34型)が好きなクルマだったんです」
そんなブルーを身に纏ったGT300仕様のBRZを観て『いつか、自分もブルーのBRZに乗りたい』と思うようになったそうだ。

その夢を叶えるため、社会人になってからはBRZ購入を目指してコツコツと貯金を開始。免許はすでに取得しており、最初の愛車は父から譲り受けたスイフトスポーツ(ZC31S型)だった。
しかし、BRZに対する想いはずっと変わることはなく、BRZの購入資金を貯めていったそうだ。

そして2017年。購入資金の目処が立ち、いよいよBRZ(ZC6型)を購入することとなった。BRZは2016年にマイナーチェンジが行われた。エンジンやサスペンションなど、性能面での進化も大きかったが、CAR PASTIMEさんにとってはヘッドライトなどの灯火類のデザイン変更により、ヴィジュアル面がより魅力的に感じたという。

「マイナーチェンジ以前の前期型の中古を買うか、後期型を新車で買うか、すごく迷いましたね。でも後期型のデザインが、自分の好みだったんです。特にヘッドライト。前期型の丸みのあるデザインより、角張った厳ついデザインになっていて、これがすごくカッコ良いんですよ。スバルと言えば中島飛行機がルーツじゃないですか? 後期型のヘッドライトは、飛行機をイメージさせるシャープな感じがして、そこが気に入りまして、ちょっと無理することになりましたけど、後期型を新車で買うことにしたんです」

姉妹車となる86にも、色味は違うが青系のボディカラーは存在する。スバルという要素を抜きにすれば、86も購入候補に加わることもあるはずだが、CAR PASTIMEさんは一貫してBRZにこだわって購入を決めたようだ。

手に入れたBRZはSグレードの6MT。STI製のエアロをまとい、リップスポイラーの赤色は、スーパーGTマシンをオマージュしたチョイスだ。
憧れのBRZに乗った感想を伺うと「期待を裏切る部分はありませんでしたね。FRならではのリヤからグッとくる加速感や、気持ちよく鼻が入っていくコーナリングが、とにかく最高でしたね」とベタ褒め。

また、奥様を乗せて九州のオートポリスまでスーパーGTを観に行ったり、富士スピードウェイが主催する『FUJI 86/BRZ STYLE』に参加したり、奥様がご懐妊された時には伊勢神宮にお参りに行ったりと、BRZとの思い出は数えきれない。
遠方へのドライブを楽しむだけでなく、購入当初は日常的にBRZで走り回ったことから、走行距離はどんどん伸びて現在は7万kmを超えた。
「乗り過ぎてしまったので、少し前からBRZは実家に置くようにして、無駄に距離を伸ばさないようにしています(笑)。とは言え、放っておくというわけではなく、週末になると洗車するために家族で実家に行っています。子供達も洗車を手伝ってくれて、頻繁には乗らなくても楽しい時間を過ごせています!」

そんな彼のカーライフにとって、カスタムもまた楽しみのひとつ。アルミホイールや足まわり、シートやマフラーなど、こだわりのパーツを組み合わせ楽しんでいらっしゃるという。数あるエピソードの中でも、特に印象に残ったのがマフラーについてお話されている時だった。
「昔からHKSに憧れがあって、BRZにも『POWRED BY HKS』のステッカーを貼りたいって思っていたんです。そんな願望を叶えるために、マフラーはHKS製のリーガマックスプレミアムを付けたんですよ。HKSのステッカーも貼れたし、良い音を奏でてくれるようにもなって、すごく気に入っているんです」
そんなBRZのカスタムの模様などを、CAR PASTIMEさんはYouTubeで発信しているそうだ。

このようにBRZとのカーライフを楽しんでいるCAR PASTIMEさんなのだが「子供達が大きくなってきて、2ドアのBRZだと何かと不便なので、このまま乗り続けていけるか悩んでいるんです」と、クルマ好きの多くが悩まされる問題に対峙しているようだ。
幸いにも奥様は現在のところBRZを所有していることを否定することはないそうだが、家族思いのCAR PASTIMEさんとしては、スポーツカーライフを一時中断することも考えていらっしゃるご様子だった。

そんな状況でも「今度、父の愛車と2台揃って、岡山国際サーキットに走りにいく予定なんです」と、BRZを楽しむことも忘れていない。今後BRZをどうするかは、クルマ好きの大先輩であるお父様を見て育ったCAR PASTIMEさんならば、ご自分にとって最適な答えを導き出せるはずだ。

(文: 坪内英樹 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:道の駅 恋人の聖地 うたづ臨海公園 (香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁4)

[GAZOO編集部]