「スポーツカーは一生乗らない」と思っていたオーナーを突き動かしたスバル・BRZ
「走行に納得がいかなくて、自分でパーツを開発したんです」
そう語るのは、幼少期からずっとクルマとの関わりがあったという「いちがめさん」38歳。
現在までに計7台のクルマを乗り継いできたそうですが、スポーツカーは約2年前に購入したスバル・BRZ(STI Sport)が初めてだったそうです。
昔から「スポーツカーには一生乗らないだろう」という考えだったといういちがめさんですが、人生の中で、どんな心境の変化があったのか、お伺いしました。
今回は、いちがめさん×BRZのお話です。
――なぜ最初はスポーツカーには乗らないと思われていたんですか?
子供の頃、レーシングカートを運転するのが好きでレースに出たりしていたのですが、
大人になって運転免許を取得し、乗用車に乗った際に「こんなデカくて重たいものに乗って何が楽しいんだろう」って疑問に思っちゃいまして……。
なので、これまで乗ってきたクルマといったら、実用性優先な、スポーツカーとは縁遠い車種ばかり選んでいました。
その後クルマを乗り継いでいくうちに「スポーツカーって気持ちよく走れるのかな?」「気持ちよく走行してみたいな」っていう気持ちが強くなったんです。
――BRZを購入した理由は、スポーツカーが気になり出したからということですか?
BRZの購入のきっかけは、実はトヨタのGRカローラの抽選販売にハズれたからなんです(笑)。GRカローラの発表時、既にスポーツカーは気になり出していたので試しに抽選に申し込んでみたのですが、ハズれてしまいました。
ハズれてモヤモヤしていた時、改めて気が付いたんです。そういえば今まで何かしらの理由をつけて自分が気になっているクルマを買わず、後悔をしてきているなって。
そんなことを思っていた時、BRZや姉妹車の86に独特の魅力を感じて、とりあえず買わないより買って後悔した方がマシかなと思ったんです。それで一番買いやすかったBRZを購入しました。
――BRZ購入後、走行してみてどう感じましたか?
それが私にとっては、BRZってクラッチの癖がめちゃくちゃ強くて、せっかくマニュアルを買ったのに楽しめなかったのが正直なところでした。
これはさすがに辛いなって思っていた時、実家に帰る機会があったんです。実家には母親のマニュアルのシビックがあるのですが、乗ってみると、めちゃくちゃ楽しくて「マニュアル車はこうあってほしいな」って気付いたんです。
それで「このBRZのクラッチ、どうにかならないかな?」という気持ちから始まり、最終的に専用のパーツを自作して解決させたんです。
――自分でパーツを? それは凄いですね
気になったら止まらない、何でもやりすぎちゃうところがあるのですが、そのおかげなのか普段なかなか出会えない人とご縁をいただくことがあったり、お力添えをいただけたりして、本当に感謝の思いです。
あと、BRZを何回も整備したりしている内に、今まではあまり無かった『だんだんクルマに愛着が湧く感覚』を覚えたんですよね。手がかかる子ほど可愛いというか、私のBRZにクラッチの癖が無くて普通だったら、ここまで好きにはなっていないと思います。
――自作パーツを取り付けて走行してみた時はどうでしたか?
運転していてとても気持ち良くなりましたね。やっと私の思い通りのクルマになってくれたという感覚でしょうか。同時に、今の時代にこういう「マニュアル車で背が低いクルマを出してくれてありがとう」っていう感謝の気持ちも込み上げてきましたね。
BRZって噛めば噛むほど味が出てくるスルメのようで、乗るたびに楽しくなってくるんですよ。本当に、なんとも不思議な魅力があるクルマだと思います。
――パーツを開発する経験はかなり大変だったと思いますが、実際はどうでしたか?
開発最中は本当に苦痛が多かったですね。そもそも何が原因なのか?違和感の要因を探る必要がありますし終わりが見えない、完成するかも分からない出口の見えない戦いでしたから。
1つずつサンプルを試していってサンプル毎に『走行性が変わる』っていう事実が分かると、それが希望になって楽しさに変わっていくんですよ。もしサンプルを付けてみてノーマルの状態よりも悪くなるなら、逆のことをやれば良いんじゃないか、とかね。
実は、自動車整備士でもあるので自動車の構造についての知識は普通の人よりはあったんです。その知識を駆使して色んな仮説を立てたりして、最終的に納得できるものが完成した時は、言葉では言い表せない感動を覚えましたよ。
――ご自身の手で納得のいく走行性を手に入れるって、めちゃくちゃカッコ良いです。その後のカーライフはさぞ楽しくなったのではないですか?(笑)
めちゃくちゃ楽しいですし、とても満足していますね。
走行面で言うと、BRZってクルマの曲がり方がめちゃくちゃ気持ち良いんですよ。足周りは固くないのに、ロールせずにスッと曲がってくれるあの動き、最高ですよね。時速20km/hとか30km/hでも感じられて、交差点を曲がるだけでも気持ち良いんです。これは、BRZにして良かったと思う理由の1つですね。
――今後はBRZとどんなカーライフを送る予定ですか?
私って何でもやり過ぎちゃう性格で、一度手を出したら歯止めがきかないんです(笑)。なので、BRZをもっとイジりたいという願望はあるのですが、もうやりません(笑)。
安易にパーツを交換するのではなく、気持ち良く走るための維持に手間をかける方向で今後はやっていこうと思っています。
――BRZは今のいちがめさんにとってどんな存在なのでしょう?
行動範囲とコミュニティを広めてくれる架け橋ですね。
去年、走行会に参加したのですが、トヨタ・86やBRZ乗りの人たちと知り合うことができたんですよ。そこで知り合った人たちとは今でもかなり濃い関係を築けていて、その人たちと出会えなかったらこのパーツも完成してないと思います。クルマについて話が合う人と出会えたと思えたのも、その時が初めてでした。
それと、クルマに対して深く愛情を感じたのはこのBRZが初めてだったので“クルマに対する愛着”という概念を気付かせてくれた存在でもありますね。
自身のことを「やり過ぎちゃう性格」といういちがめさんですが、何事に対しても突き詰める精神があったからこそ、自動車整備士の知識を駆使し、自作パーツも完成出来たのだと、改めて感心させられました。
【みんカラ】
いちがめさん
(文:秦 悠陽 写真:いちがめさん提供)
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