特徴的なボディカラーに一目惚れ!息子も大好きな『ママのMTスポーツカー』 スバル BRZ
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スバル・BRZ STI Sport クールグレーカーキEdition(ZC6型)
出会いは、家から3分のところにある中古車ショップだったという。
いつものように家族での用事を済ませ、その帰り道の途中で、珍しいボディカラーのスポーティカーが見えた気がしたそうだ。
「ねぇ今のスポーツカーのボディカラー見た? 水色みたいなグレーみたいな変わった色をしているの」
車内でそう問い掛けた時には、反射的に方向指示器をあげてハンドルを切り、ショップの敷地内へと入っていたという。
「例えるなら、暗い入り口があれば、どうしてもその中を覗き込まずにはいられない猫と同じような感じだった」と、思い出しながら話してくれた。そのクルマには、それくらいの牽引力があったということだ。
スバル・BRZ STI Sports(ZC6型)は、STIによって開発されたフレキシブルVバーやフレキシブルドロースティフナーフロントなどを装着し、専用チューニングが施されたSACHS製ダンパーとコイルスプリングなども採用された最上級モデル。
その中でも『Eri』さんの愛車である『STI SportクールグレーカーキEdition』は、100台限定で抽選販売された特別なボディカラーが最大の特徴だ。
「例えば、黒のボディカラーだったら、私はお店に入っていなかったです。そのくらいこの色が気に入っているんです。だから、内外装のデザインの好きなところは? と誰かに聞かれても、そこは本当に関係なくて…とにかく色合いを見て下さい! と答えているくらいなんですよ(笑)」
さて、こうしてクールグレーカーキにつられてショップに入ったわけだが、そのあと試乗もせずに10分足らずで購入することを決めたのは、闘争心を掻き立てられるようなエンジン音を聞いてしまったからだと、興奮気味に語ってくれた。
「買う気なんてまったくなかったんですけど、エンジンが掛かった瞬間に久しぶりにやる気にさせてくれるような音にビビッときてしまい、運転席を開けて『乗って帰るー!』と、その場にいた家族に伝えました。息子は、え〜!!と驚いていて、主人は大爆笑していたのを覚えています」
余談だが…大爆笑していたご主人様は、この日より遡ること8年前から『86に乗りたい』と毎日のように中古車サイトと睨めっこしていたそうだ。結局、Eriさんが兄弟車であるBRZを愛車として迎え入れることになってしまったため、自分には縁が無かったと86の購入を諦め、現在はロードスターに乗っているという。
Eriさん曰く「欲しいなら買ったら?」と何度も提案していたのに『もう少ししたら値落ちするかも』と、なかなか一歩を踏み出さないから一期一会を逃してしまうのだ、とのこと。それを聞くとご主人は『石橋を叩いて渡らないタイプ』という側面もあるのかもしれないが、それとはまた違った理由だったのではないかと筆者は推測した。
というのも、初めてBRZのエンジンを掛けた時のEriさんの様子をご主人が動画撮影をされていて、その動画を拝見したのだが…エンジンが掛かった瞬間にワチャワチャとぎこちなく運転席の窓を開けて少女のような屈託のない表情で「乗って帰るー!」と、嬉しさをギュッと詰め込んだような顔をしていたのだ。
あんな顔を見せられては、誰だって『我が家の86/BRZオーナー権』は、奥さんに譲ろうと思ってしまうだろう。
そして納車の日には息子さんを隣に乗せて自宅まで帰ったそうだが、ものの数分のことなのに、ワクワクして胸の鼓動が早くなり『これから毎日が楽しくなりそうだ』と思わず笑みが溢れたらしい。
そんな人生初のFR車は、期待を裏切らない走りをみせてくれたという。
「若い頃から山道を走るのが好きだったので、とにかく早く走りに行きたいと武者震いしました(笑)。そして翌週、峠道を走ってみると、カーブを曲がる時に今まで体感したことのないような動きをしたんです。後ろから押されるような余裕のある快適なコーナリングに感動して、これがFR車なのか! と、思わずステアリングとシフトノブを握る力が強くなりましたね」
乗り味とは少し違うが、その前に乗っていたカローラスポーツと比べると、ややクラッチが重く、左膝が痛むのが思わぬ誤算だったようだ。カローラスポーツの前の愛車だったミニ クラブマンも重かったそうだが、あの時は若さでなんとかなっていたのかもしれない…と、苦笑する。
お気付きの方もいらっしゃるかもしれないが、Eriさんの愛車選びには『MT車であること』という基準がある。お子様が生まれてからは、居住性や維持費などが選択基準に加えられることもあったそうだが、MT車であることだけは譲れないポイントだと話してくれた。
「私がこう思うようになったのは、ミニ クーパーSを購入してからなんです。それまでクルマは“会社に行く時に使う乗り物”とくらいにしか思っていなかったけど、このクルマをキッカケに一人旅をするようになり、クルマを通じて沢山の友達ができました。とにかく、急激なスピードで自分の世界が広がっていったんです」
EriさんがAT限定免許を解除したのは、ちょうどこの頃だったという。同年代の子が、私が運転できないMT車に乗っていて、停車する際にブレーキペダルを踏まずにシフトダウンをして速度を落としていくのが、すごくカッコよく感じたのだそうだ。ふと運転している友人の横顔を見るとイキイキしていて、私もこんな風に乗ってみたいと、限定解除することを決めたのだとか。
そんなEriさんの初めてのMT車はコペンで、シフトチェンジをわざと引っ張ってエンジン音を楽しむのがマイブームだったと嬉しそうに話してくれた。慣れてくると、シフトダウンした時にエンジン回転がちゃんと合っているかが気になったり、変速ショックなく停まれるようにしたり、何度も練習をしていたという。
「現在進行形でずっとクルマが好きだし、私の生き甲斐となっています。だから、ミニ クーパーSに乗ったことで、クルマが“移動手段”から“相棒”という認識に変わって、本当に良かったと思っているんです。あの時、もっとクルマのことを知りたいとSNSの『みんカラ』に登録して良かった。はじめてのオフ会に行って良かったと、今でも思っています」
それから時は過ぎ、結婚して母になったわけだが、最近はまた少し違ったカーライフの楽しみ方ができているという。
なんでも、BRZを購入してからというもの、小学校3年生の息子さんがスポーツカーとMT車に興味を持つようになり、一緒にドライブへ連れて行くとワクワクしながら外を眺めるようになったというのだ。
そんな後ろ姿を見ていると「買って良かった…もっともっと色々な所に連れて行ってあげたい」と感じ、ひとりで楽しむ運転から、誰かを喜ばせてあげたい運転へと変わっていったと優しく微笑んでいた。
ここ最近では、息子さんと3泊4日で、まずは岐阜県から富山県までBRZを走らせ、富山県でご飯を食べた後に、石川県にある千里浜の砂浜で写真撮影。その後、北陸カスタムカーショーに行って、日本自動車博物館でヒストリックカーを見て家路に着くという、まさにクルマ三昧の旅に行ったという。その道中も、すれ違うクルマの車名当てや、車名だけのしりとりで遊ぶなど大盛り上がり。最近では“ウニモグ”という、Eriさんが知らない車種で攻めてきたそうで、まったく勝てそうにないと頭を抱えていた。
「トンネルの中で排気音を楽しんだり、とにかく笑ってばかりの3泊4日でした」
息子さんは、ご両親がMT車に乗っているということが誇らしく、友達に自慢気に教えているそうだ。その姿が愛おしくて、すべての原動力になっているといっても過言ではないと、Eriさんもまた自慢気に教えてくれる。
最近になって息子さんは、自分も両親のようになりたいと、カーレースのeスポーツを始めたそうだ。学校から帰ってきて2時間みっちり練習することもあるそうで、心配になるくらいのめり込んでいるという。そして先週、ついにカートデビューも果たしたとのこと。
タイムがどうこうよりも、あんなに小さかった赤ちゃんが、自分でクルマのハンドルを握るようになったのかと思うと感動し、横を見るとご主人様は号泣していたという。
「あと10年もすれば、息子は免許を取れる年になります。その時に、このクルマに乗りたいと言ってくれるかは分からないけど、乗りたいと言った時のために、しっかりメンテナンスをしていこうと思います」
『このクルマは、お母さんの愛で溢れているぞ!』と伝えると、照れたような息子さんの大きな瞳が潤んだ。
(文:矢田部明子 / 撮影: 平野 陽)
※許可を得て取材を行っています。通常は園内へ車両を乗り入れることはできません。
取材場所:国営木曽三川公園 アクアワールド水郷パークセンター(岐阜県海津市海津町福江566)
[GAZOO編集部]
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