数々の出会いをもたらしてくれた相棒“エボX”は家族の一員
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2010年式三菱・ランサーエボリューションX GSRエボリューション(CZ4A)
「三角西港は自分のクルマ趣味生活の中で、たくさんの想い出を作ってきた場所。愛車広場の取材会がここで行なわれること知って、応募に当選した時からこの日をずっと楽しみにしていました!」
そう満面の笑顔で語りながら、取材当日は運営スタッフが到着するずっと前から、愛車の2010年式三菱・ランサーエボリューションX GSRエボリューション(CZ4A)とともに所定の集合場所でスタンバイしてくれていたオーナーの『まっつん』さん。
クルマ好きになったのは高校生の頃。同級生から勧められ、当時深夜にテレビ放送されていたF1を見始めたことがキッカケだった。迫力のエンジンサウンドや熾烈なハイスピードバトルを展開するマシンに魅了され、社会人デビューの後、自身にとって最初の1台にトヨタ・MR2(SW20型)を選択したという。
MR2を選んだのは『F1マシンはカッコ良いけど、普通の人は乗ることはできないので、せめて走りが楽しめるスポーツカーを!』という理由によるもので、当時周囲ではあまり見かけなかったフルエアロ仕様にカスタマイズを施し、街角ではかなり目を引く存在だったという。
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(写真提供:ご本人さま)
次に乗り換えたスープラ(JZA80型)には、1990年代に一世を風靡したヴェイルサイド製のボディキットを装着。こちらも大いに注目を集めたとのことだ。そんなスポーティな2ドアクーペ好きだったまっつんさんだが、結婚後、子供が生まれたことを機に選んだのがランサーエボリューションⅦ(CT9A型)であった。
「妻や子供のためにも4ドアの実用性が必要になったので、ダンデライオンイエローのランエボⅦに乗り換えました。メチャクチャ速くて見た目もイイし、4WDなので雨天時や路面状態が悪い道でも安心して走ることができて、とても気に入っていたのですが、子供たちの成長と共に、クルマにばかりお金を掛けるわけにも行かなくなりました」
それから数年、心の中ではクルマに対する情熱は変わらず持ち続けていたものの、何事もまずは家族ファーストということでファミリーカーを乗り継いでいた。
しかし、世の中はエコカーへの関心度が年々高まりを見せ、新車市場からはかつて栄華を極めた名だたるスポーツカーが次々に生産中止に。ランサーエボリューションもその例に漏れず、2015年に10代目のエボリューションⅩの最終モデル、ファイナルエディションをもって国内販売終了とのアナウンスが…。
「あれだけ気に入っていたランエボに、もう乗れなくなってしまうのかと、心にぽっかり穴か空いた気持ちになりました」と、当時の心境を振り返る。ところが、事態は思いがけない展開に。それからしばらく月日が経ったある日、何の気なしに中古車雑誌を眺めていると、地元の販売店で1台のクルマが目に止まる。
「それが今の愛車となった赤いエボXです。ミッションがSSTだったので、価格設定もマニュアルより割安でした。生産中止のショックもあったし、このままだと中古車市場からも状態の良いクルマはどんどん少なくなってしまうだろうと思うと、居ても立ってもいられなくなり、妻にも相談せず購入を決めてしまいました」
何とも大胆な行動に出たまっつんさんだが、事後報告ながら奥様には購入に至った動機を事細かに説明したところ、ランエボへの真摯な熱意が理解され、一件落着。
こうして再び、ランエボとの生活がスタートした直後、とある人物の出会いが、まっつんさんのカーライフの行動範囲をより一層広げることになった。
「とあるインプレッサ乗りの方で、キッカケはYouTubeでした。ある日、その方が生配信中の動画を見ていたところ、そこは私が知っている近くの大型ショッピングセンター駐車場だったので、思い切って会いに行ったんです。すでに夜の8時を過ぎていましたが、いきなりの押し掛けにも関わらずすっかり意気投合して、そのまま駐車場が閉鎖される10時頃まで、二人でずっとクルマの話をしていました。自分の人生でも初対面の人と2時間以上もお話しするなんて、初めての経験でした」
この日を境に、オフ会やイベント、ジムカーナ競技の見学など、機会を見つけてはインプレッサのオーナーさんと行動を共にするようになったまっつんさん。実は今回の取材会の情報も、その彼から知らされたという。
一昨年には熊本県大津町のサーキットコース、HSR九州での走行会にも参加。ブレーキパッドがフェードしてしまってコースアウトしたものの、パドックではプロショップの人々からスポーツ走行に向けたクルマ作りについて貴重なアドバイスを受ける機会が得られたようで、大きな収穫だったと語る。
「とにかく、これまで本当にいろんなところに連れて行ってくれました。そこから広がった人と人との繋がりの輪は、私にとってかけがえのないもの。あの時、思い切ってこのクルマを買っていなかったら、そして彼との出会いが無ければ、とてもじゃないけど今のような充実したカーライフの実現は不可能でした」
ちなみに文頭に記した三角西港での想い出の中にはもちろん、インプレッサのオーナーさんも含まれており、ここでも日が暮れるまでクルマに関する話題で盛り上がったとか。ランエボとインプレッサと言えば、側から見ればライバル関係だが、二人にとってはどちらも素晴らしいクルマで、デザインやコンセプトの違いも、また語らいのネタになっているとのことである。
「以前乗っていたランサーエボリューションⅦも同様、ランエボの外観はとにかくクルマとしての形が完成されていると思っています。ホイールは交換していますが、MR2やスープラの時みたいにエアロパーツを追加する必要性は感じられません。ミッションをSSTとしたのは価格面だけでなくメカ的にも興味があったし、年も年なので(笑)ゆっくり走りたいな、と。でも、サーキットではギヤがスコスコ入って気持ちが良いし、ステアリングやアクセルワークに集中できるので走っていても楽しいですよ」
「スタイル的なお気に入りのポイントですか? やっぱりフロント周りですかね。ボンネットのエアダクトも、いかにもターボ!って雰囲気があって、私は好きです。それから、隠れた自慢のポイントがラリーアートのマッドフラップ。これは既に絶版品なんですヨ」
いくら話しても話し切れないほどのランエボ愛に溢れたまっつんさん。取材の合間も2台のミラーレス一眼カメラを巧みに使い分けながら、様々な角度から愛車の写真をパシャパシャ。撮影用に『LANCER EVOLUTION-Ⅹ』のロゴが描かれた化粧プレートを自前で作った他、スチールカメラのみならず、エボ好きが高じてドローンでの動画も手掛けるようになったという。
「ちょっと気の早い話かも知れませんが、このエボⅩは私の中で“あがりのクルマ”。これからも修理や交換のための部品がある限り乗り続けます。もう、家族の一員ですよ。家族って、一回カタチができたら一生ずっとじゃないですか。それと同じで、長く乗り続けるって、とっても大事なことだと思います」
今回の取材の翌日には、八代市で行なわれる『おはくま(おはようくまもと=早朝に行なわれているクルマ愛好家のオフ会)』に、家族4人で出掛ける予定という。購入に至る経緯は少々強引(失敬!)だったものの、その言葉通り、今では頼れる家族の一員として大活躍してくれているようであった。
(文: 高橋陽介 / 撮影: 平野 陽)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:三角西港(浦島屋、旧三角簡易裁判所ほか)(熊本県宇城市三角町三角浦)
[GAZOO編集部]
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