世界屈指のFFスーパースポーツマシン シビック タイプRを、ユル~く気軽に乗りこなす贅沢な時間

  • GAZOO愛車取材会の会場である世界遺産の万田坑で取材したホンダ・シビック タイプR(FL5型)

    ホンダ・シビック タイプR(FL5型)



シビックタイプR』と言えば、1992年発売のNSXタイプRから脈々と継承されてきたホンダのレーシングスピリッツが息づく名車『Rの血統』として、同社のファンはもとより、多くのスポーツカーフリークの間でも一目置かれる存在。そんな特別な一台を自身にとって初めての愛車として選んだのが、オーナーの『ソーダ』さんである。

「高校生の頃、アルバイト先のガソリンスタンドによく来られていた常連のお客さんのアウディA5がすごくカッコ良くて、付いているパーツのブランドやカスタム内容などを調べているうちにクルマ好きになりました。最初はヨーロッパ車に目が行って、BMWのM3やM4に乗りたいと思った時期もあったけど、やっぱり4ドアの方が便利だし、故障とか維持費面を考えると、初心者がいきなり輸入車を買うのはリスクが大きすぎると断念しました。その後も色々と候補車を考えながら、コツコツとクルマ貯金を続けていたところ、ネットで新しいシビックタイプR(FL5型)が発売されることを知りました。写真を見て、もう一目惚れ! 軍資金もある程度貯まっていたので、仕事の休みを調整して、受注開始となった当日にディーラーまで契約をしに行きました」

ご存知の通り、FL5型シビックタイプRは2022年9月に発売されるや、メーカー計画の月販台数400台を遥かに上回るオーダーが殺到。一時は受注停止となった他、中古車市場ではプレミア価格で取り引きされるなど、入手するだけでもひと苦労という状態が続いている。しかし、ソーダさんは決断と初動の早さが功を奏し、契約から10カ月ほどで無事、納車された。

洗練されたスタイリング、4ドアの実用性、そして最高出力330psを発生するターボチャージャー付きVTECエンジン。さらには、6速マニュアルミッションとの組み合わせがもたらす圧倒的な動力性能と、想像を遥かに超える完成度の高さに驚くとともに、至宝の時が刻まれ始めた。

当時は、まだほとんどの人が先の見えない納車待ちの状態にあったことから、高速道路のサービスエリアや洗車場などでは“新しいタイプRですね”、“スゴイ!“といったような声を掛けられることも多かったという。ところが、それから半年余りが経過した頃、ソーダさんの元に、会社から熊本県への1年間の長期出張の辞令が届く。

「今まで九州には一度も行ったことがなくて、正直、遠くて大変だなぁと思ったけど、仕事ですから(笑)。僕の出身地は長野県ですが、熊本県にも自然がたくさんあって同じような雰囲気が感じられたし、関東みたいにゴチャゴチャしてないから、行ってしまえば何とかなるだろうと気持ちを切り替えて、シビックに荷物を満載して引っ越して来ました。このクルマって、リヤシートを倒すとワゴン並みのラゲッジの広さになるから、とっても便利なんです。今はルーフに載せてあるロードバイクも、実は車内に積んで来たんですよ」

このように、最初は不安半分、期待半分という中で始まった熊本県での生活だったが、クルマ系SNSでのやり取りがキッカケとなって、数週間を待たずして状況は思いもよらない方向へ動き出すことになった。もちろん、それが好ましい方向への展開だったのは言うまでもない。

「九州に住むようになってまず驚いたのが、いろんなジャンルのクルマ好きのSNSコミュニティがあって、それぞれが活発に活動されていること。年齢層も僕と近い世代の方々も結構多く、すぐに仲間ができました。週末は定期的にみんなで集まってオフ会や早朝のミーティング、イベント見学などあちこちを走りまわり、今現在、九州では鹿児島県以外すべての県に行きましたね」

「ちなみに、今回の取材会の情報も、熊本に来てからできたクルマ仲間が教えてくれたんです。毎月の走行距離は、関東にいた頃は月平均700kmくらいだったけど、こっちに来てからは1200kmペースと、格段に伸びました。シビックは性能の割に意外と燃費が良いので、そういった面でも助かっていますね」

トリップメーターに刻まれる走行距離だけでなく、クルマの仕様そのものも大きく変化。当初は特にカスタマイズを行なう予定は無かったため、九州に来る以前はセイボン製のカーボンウイング(カリフォルニアの本社から直接取り寄せた、国内導入第1号とのこと)の装着程度に留められていたが、熊本在住で同型のシビックタイプRのオーナーと知り合いになったことを機に、物欲モードが発動。

車体周りには3ピース構造のM&M製リップスポイラーや、エイムゲイン製サイドスポイラー、メーカー不明のトランクスポイラーなど、カーボンパーツを次々に投入。サスペンションもスプーン製のプログレッシブスプリングによるローダウンが行なわれると共に、M&M製のワイドドレッドスペーサーでどっしりとした視覚的な踏ん張り感を演出した。

さらに強烈なインパクトを放っているのが、タイプRが持つ“レーシング” “スーパースポーツ”というイメージを覆すルーフキャリアとストレージボックスである。このスタイルで、オートポリスを会場として行なわれたカスタムカーのイベントに展示したところ、大いに注目を集めたとのことだ。

「ルーフキャリアはタイプRに対応した専用品です。敢えてアウトドア路線のノリを加えてみるのも面白いかなと思って試してみました。タイプRの“ツーリングエディション”といった感じでしょうか。ロードバイクのフレームカラーがタイプRのチャンピオンシップホワイト風に見えるのはたまたまの偶然で、これはシビックを買う前から所有していたもので、普段は通勤に使っています。その他、内装ではハイブリッドレーシング製のシフトレバーやアンビエントライトの追加など。ガチなスポーツ路線ではなく、適度にユルい感じのカスタマイズの方が自分らしいかなと(笑)」

クルマ仲間たちと交流の広がりに加え、様々な美味しい食べ物の影響から体重が3kg増えるなど、まったくの未開の地だったはずの九州・熊本は、ふと気付けばすっかり居心地の良い場所に。
しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎ去るもの。この取材が行なわれたのはソーダさんが1年の出張期間を終え、関東へと戻る日の2週間前。参加にあたっては“九州での最後の記念に”という思いが込められていた。

「良い記念になりました。九州はほんの1時間程度走るだけでも景色の良い“映えスポット”がたくさんあって、本当に住みやすい場所。食べ物の中では特に魚がサイコーでした。阿蘇方面には何度も出掛けたし、勤め先のお客様と佐賀まで釣りにも行きました(1匹しか釣れませんでしたが…)。長崎で軍艦島の観光ツアーに参加したことも忘れられない思い出ですね。正直、このまま定住したいくらいの気持ちになりました。もちろん、それもこれも、シビックが繋いでくれたクルマ仲間たちとの縁のおかげ。これから先も大事に乗り続けます!」

熊本で過ごした1年の間に、すっかり九州のファンになった様子のソーダさん。いつかまた、シビックタイプRと共にプライベートで九州を訪れる日が来るかも知れない。きっと“仲間たち”も、首を長くしてその日を待ってくれているはずだ。

(文: 高橋陽介 / 撮影: 西野キヨシ)

※許可を得て取材を行っています
取材場所:三池炭鉱 万田坑(熊本県荒尾市原万田200-2)

[GAZOO編集部]

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