20年のブランクを経て手に入れたスバル・WRX STIが奏でるボクサーサウンドに包まれる幸せ
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スバル・WRX STI(VAB型)タイプS
昨今、クルマに関する音量規制が厳しくなってはきているが、スポーツカーにおいては、エンジンやマフラーから響くサウンドが、その魅力の一部を担っているのも事実。
そんな中でも、スバル愛好家であれば『ドロドロ…』と低く響く水平対向エンジン独特の“ボクサーサウンド”は、ただの音ではなく、乗り手の心を揺さぶるアイデンティティのひとつといえるのではないだろうか。
ここでご紹介させていただくオーナー『うーたん佐敷』さんは、若かりし頃に初代インプレッサWRX(GC8型)を所有し、ボクサーサウンドに魅了されたひとり。そして半年前、20年ぶりにボクサーエンジン車のオーナーへと返り咲き、その魅惑のサウンドに包まれながら愛車ライフを満喫している。
「子供の頃から動くものが大好きで、とりわけ自動車に夢中でした。中でもラリー競技に心を惹かれていて『いつかはターボのMT車に乗りたい』とずっと思っていました。それならば、四輪駆動車だろうということで、その条件でクルマを探すと『インプレッサWRX』が良いなと思っていたんです」
そして高校を卒業し、18歳で運転免許を取得したうーたん佐敷さん。当初は、実家にあったAT車のトヨタ・マークⅡで運転技術を磨き、その後は知り合いから『マニュアル車だから』と譲り受けたホンダ・CR-Xに乗っていたそうだ。
ただ、インプレッサWRXに乗りたいという思いは変わらず、中古車雑誌を眺めながら頑張って貯金に勤しんだという。そしてその目標を叶えたのは、19歳の時だった。
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(写真提供:ご本人さま)
「当時は沖縄の実家に住んでいて、中古車雑誌を眺めてみても“インプレッサ”のタマ数は少なめでしたね。けれど、当時のGC8はタマ数こそ少なかったですが、手の届く価格帯だったので、中古車雑誌を眺めてはいつか手に入れる日のことを想像していました。その後、条件に合うインプレッサWRX(GC8型)が見つかり、購入に至りました。実際に運転してみると、思っていた以上に走って楽しいし、4ドアなので使い勝手も良い。そして、他のクルマとは違う独特のエンジン音がめちゃくちゃカッコ良くて、もう最高でした!」
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(写真提供:ご本人さま)
このように、アッという間にインプレッサWRXにハマったうーたん佐敷さん。しかし、23歳の時、結婚とともに沖縄から京都へと移住。駐車場の確保が難しかったことから、涙を飲んで愛車と別れることになり、そこから約20年、専用の愛車を持たない生活を送っていたそうだ。
しかし、インプレッサWRXでのカーライフを通して、すっかりスバル好きになった彼の中には、スバルへの熱い想いがずっとくすぶっていたという。
クルマを所有していなくても、スバルディーラーを訪れては折り畳みボックスやタオルなどのグッズを購入していたというその姿は、まさに“スバリスト”だった。
そんな彼に転機が訪れたのは、2024年の10月。欲しかったアパレルをスバルディーラーに注文しにいった際のことだった。
「時間があったので、妻とディーラー内の中古車コーナーを覗いたら、そこにWRXが置いてあったんです。それを見つけた妻が『このクルマ、カッコいいね』と言ってくれたので、自分も『おぉ! 見る目があるね~!』といった感じで会話が弾みました」
「そうしたら妻が、冗談半分で『買ったら?』と言ってくれまして、まさか~! と思いながらも、自分は真に受けてしまい鼻の下が伸び伸び。正直、自分専用のクルマは欲しかったんですが、さすがに贅沢かと思い、その場では諦めていました。けれど、その日は家に帰ってからも諦めきれず『あのクルマに乗りたい』という想いが募って、真剣に妻に相談しました」
「“スポーティタイプに乗るとしたら、歳を取ってからより今の方がいい。時代に見合ったクルマに乗るならこのWRXに乗りたい”といったような内容で、しっかりプレゼンをした結果、なんと購入OKのサインを貰えたんです! 妻が、自分がWRXを好きなことを知っていたのが大きかったのかもしれませんね。購入を承諾してくれて、とても感謝しています」
こうして奥様の後押しのもと迎え入れたのが、2019年式WRX STI(VAB型)タイプS。約20年ぶりに念願だったWRXオーナーとなったのだ。
ちなみにこのクルマを購入した中古車コーナーには、このブラックの個体と並んでスバル定番WRブルーのWRX STIがあり、その2台でどちらにするか迷いもあったのだとか。
しかし、決め手は全体的な見た目のバランスだったという。
「最初はブルーの車体がいいなと思ったんですけど、この黒い個体は純正オプションでマフラーやリヤウイング、ブレーキキャリパーなど欲しいものが全部装着されていて、全体のバランスが良かったんです。それに妻も黒が良いっていう意見でしたのでコレに決めました。もしもまったく同じ仕様で青があれば、そっちにしていたかもしれませんけどね(笑)」
お気に入りは、大きく存在感のあるリヤウイング。そして、リヤサイドガラスにはスモークを追加し、テールランプも車検対応のブラックアウト化された社外品へと交換するなど、よりクールでスタイリッシュな雰囲気を醸し出している。
彼はそんなWRX STIについて、20年前に乗っていた初代インプレッサWRXと比べ、どのように感じているのだろうか?
「まず乗り心地はこっちの方が良いですね。GC8に比べると車幅もだいぶ大きくなって安定していますし、馬力もあって楽しいです。走行モードを『I(インテリジェンス)』『S(スポーツ)』『S#(スポーツシャープ)』と3種類で切り替えて走れるのも良いですね。普段はエコ運転ですので『I』モードで楽しんでいます」
「この純正シートも高級感があって、ホールド性もしっかりしていますし、シートヒーターが付いているので冬の時期でもバッチリですね!」と快適さもお気に入りポイントのひとつ。
そして何より、愛車が奏でるボクサーサウンドは、彼にとって何ものにも代えがたいもの。
「マフラーが交換されているおかげで、大好きなボクサーサウンドも十分感じられています。本音を言えば、もうちょっとマフラーの音を大きくしたいという気持はありますが、車検に通る範囲内という規制もあるし仕方ないですね」と、満足げな笑みを浮かべます。
購入から半年以上たった現在は、通勤や買い物の足としてだけでなく、滋賀・琵琶湖沿いのドライブや冬の雪道ドライブなど、様々なシーンでWRXとの時間を楽しんでいるとのこと。
冬場にはどうしてもこのクルマと雪景色のコラボレーションを撮りたいと、四駆を駆使して大雪のフォトスポットに行って写真撮影をするなど、新たな相棒との思い出作りを楽しんでいるという。
「色々なところにドライブに行くようになった最近では、元気なエンジン特性ではなく、ゆったり乗りたいので、ECUをチューニングするなどして、乗り味をもっとマイルドにしたいなと思うようになりました。興味のあるカスタマイズは他にもいろいろとありますけど、とりあえずはここまで。あっ! フロントのリップスポイラーだけは、ピンクのSTIカラーに変えてみたいかな(笑)」
「これだ!」と思える一台に出会えた幸運。そして、それを受け入れてくれた家族の理解。そのすべてが幾重にも折り重なることで再び始まったWRXとの物語は、まだ序章。
これから先も、うーたん佐敷さんは愛車とともにいくつもの“忘れられない瞬間”を刻んでいくことでしょう。
(文: 西本尚恵 / 撮影: 平野 陽)
※許可を得て取材を行っています
取材場所:西京極総合運動公園 (京都府京都市右京区西京極新明町32)
[GAZOO編集部]
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