クルマの楽しさを思い出させてくれたMR2とスバルR2、息子と共に満喫!
趣味の楽しみは共有できる仲間がいると大きく広がりをみせるもの。その仲間が家族であればなおさらだ。
親子で旧車ライフを楽しんでいる小松さんは、息子の翔さんがトヨタ・MR2、お父さんの高知さんがスバル・R-2のステアリングを握り『信州サンデーミーティング』が開催される長野県朝日村のあさひプライムスキー場にランデブー走行でやってきた。
聞けばMR2とR-2は、ほぼ同時期に愛車として迎え入れることになったものだという。
「運命的な不思議な縁を感じる」という2台の入手までの経緯とともに、小松親子の愛車への思い入れやクルマ好きになったキッカケなどを伺った。
2代目MR2のSW20が愛車となったのは6年前のことだった。
「友人が新車で購入してからずっと乗り続けていたワンオーナー車でしたが、プリウスを買うので処分したいと相談を受けたんです。ただ、当時は息子もまだ小さくて2シータースポーツに乗れる状況ではなく、ちょうどクルマが壊れて次を探していた親戚が乗ることになりました。その親戚が6年前に他界した際に、遺族からまた処分を依頼されたので、今後は自分で乗ろうということになりました」と説明してくれたのは高知さん。
愛車にしようと決めたのは、当時ならではのリトラクタブルヘッドライトがもたらす美しいスタイル。前期型ならではのシンプルなデザインのリヤコンビネーションランプもお気に入りのポイントだという。
SW20型MR2のデビューは1989年。先代AW10/11のカローラベースシャシーからセリカ系ベースとなって大型化されたボディは、曲線基調の美しいラインが特徴。搭載されるエンジンの排気量も2000ccへと拡大され、小松さんが乗るベースグレードのGには165ps(後期180ps) を発揮する自然吸気の3S-GEが搭載されている。
青空に映えるツヤのあるボディは、小松さんがオーナーになってからオールペイントしたもの。
「ソリッドレッドカラーの宿命ですが、手に入れた当時はクリアが飛んでしまっていたので純正色で塗り直しています。ターボ(GT)用のボンネットとリヤウイングは、前オーナーの叔父が装着したものです。じつはこのクルマ、友人が新車で買った直後に大きな事故に遭っていて、30年前にも私が勤めている修理工場で補修しているんですよね。そんなことも含めて、とにかくこのSW20にはただならぬ縁を感じるんですよ」とのこと。
ただならぬといえば、高知さんが現在の職に就くまでの経緯も波乱万丈だ。
高知さんがクルマに興味を持ったキッカケは、1980年代に少年ジャンプの連載やTVアニメ化で人気だった「よろしくメカドック」。『ああいう風に自分でもクルマをいじってみたい』とミニバイクのカスタマイズを実践しながらメカニックとなる将来を夢見ていたが、両親のたっての希望により高校卒業後に進学したのは経理の専門学校だったという。
そして卒業後はそのまましばらく会計事務所に勤めていたものの、やはり夢が捨てきれずに現在の整備工場に転職することになったという。
「しかしいざ仕事がクルマとなると趣味との両立は難しいんですよね。事務員だったときは110サニーやS30Z、510ブルなどで旧車を楽しんでいましたが、このSW20を手に入れるまでの約10年間は“クルマ=日常の足”という感じだったんです」と高知さんは笑顔で語る。
そんな高知さんのもとへ、もう1台の愛車スバル・R-2がやってきたのも6年前のことだった。
「こちらは地元のお寺の住職が長く所有していたものだったのですが『もう乗らないから持っていけ』と。じつはこの住職、私が結婚したときに仲人をしてくれた恩人だから断れませんよね。もちろんそのまま転売もできませんから、ありがたく乗らせてもらうことにしました」というからなんとも面白いエピソードだ。
間の抜けた顔が可愛いと高知さんが言うスバルR-2は、てんとう虫の愛称で知られるスバル360の後継モデルとして1969年にデビューした希少車。リヤに積まれているのはアルミ製ブロックやリードバルブの採用で改良された360cc空冷2気筒2サイクルエンジン(最高出力30ps)だ。
車体の寸法はスバル360とほぼ同様だが、ホイールベースの延長とボディデザインの見直しで車内は大人4人乗車が可能な広さとなったのもR-2の特徴のひとつ。シフトレバーはフロア式で、この4速マニュアルタイプのほかにクラッチ操作が不要のオートクラッチタイプも用意されていた。フロントフード内がトランクスペースになっているのも、スバル360からの大きな改良点となっている。
「私がオーナーになってから手を入れたのは、車検のためのヘッドライト交換と錆びていたフロアの補修くらいです。約35年前にウチの工場で大掛かりなレストアが行われていて、このレッドのボディカラーはその際にレックスの純正色でオールペンされたものなんです」とのこと。
そんなSW20とR-2、どちらも今では貴重な存在となったクルマをいずれ託されることになるのが現在大学3年生の翔さんだ。
「クルマが好きになったのは、小学校のときに夏休みの自由研究でバイクのレストアをしたのがキッカケです。いつか乗りたいと思って、迷わずマニュアル免許をとりました。今のところは練習を兼ねてイベント参加を中心にSW20を運転しています」と旧車のある生活を楽しんでいる様子。大学は工学部ということで、将来的にはクルマの設計やクルマの工作機関係の道へ進みたいと考えているそうだ。
最後になるが、SW20とR-2の数奇な関係は装着するナンバープレートにも現れていて、希望ナンバー制度なんてない時代なのにSW20とR-2のナンバーの下3桁が同じなんです。そういえば車名もMR2とR-2だし…超常現象やオカルトを信じているワケではないが、この2台はやはり何か運命的なものに導かれて小松さんのもとに集まったという気がしてならない。きっと2台は小松家に幸運をもたらす存在ですよ!
取材協力:信州サンデーミーティング
(⽂:川崎英俊 / 撮影:岩島浩樹)
[GAZOO編集部]
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