「ハコスカとの出会いは突発的だった」前オーナーの思いを節々に感じる日産 スカイライン(KGC10)に今では夢中
旧車をこよなく愛する石橋さんの愛車は『ハコスカ』の愛称で親しまれた、日産 スカイライン(KGC10)GT-X。
42歳の頃、新たな愛車を探していたが、ときめくクルマにはなかなか巡り会えず、モヤモヤしていたそう。そんな時、中古車店に置いてあったハコスカに付いていた“あるモノ”に感動し、購入を決めたのだとか。
今回は、石橋さん×ハコスカのお話です。
――ハコスカと出会ったのはいつ頃なんですか?
2014年に出会い、購入しましたが、最初はハコスカを探していたわけではなく、すごく突発的な出会いだったんです。
ある日の夜、仕事終わりに、たまたま中古車店の前を通ったんです。店内に視線を移すと、このハコスカが置いてありました。
旧車を取り扱うようなお店ではなかったので、気になったんですよ。それで、次の日に電話で値段を確認して、朝一番で行ってすぐに購入を決めました。
実は、幼少期からフェアレディZにずっと憧れていて、ハコスカよりもそっちが欲しかったんです。なかなか理想のクルマが見つからなかったタイミングで、このハコスカに出会ってしまって、即買いでした(笑)。
――即買いした理由を聞くのは一旦置いておいて、どうして急に、その中古車店に並んだのでしょうかね?
後からお聞きした話なんですが…。
このクルマは2オーナーだったみたいで、最初のオーナーさんが約2年、その後のオーナーさんは、約40年くらい愛用されていたみたいです。40年間乗られていたオーナーさんは、高齢になってから乗れなくなり、息子さんが買取に出したとのことでした。
その日が正に、私がお店の前を通ったあの日だったんです。
――なんという偶然!じゃあ、本当に売り出してすぐだったんですね
カーセンサーにも出していたみたいですが、私がすぐに購入を決めたので、半日くらいで掲載が終わったらしいです。その後、買いたいという電話もあったみたいですが、どうやら私の方が先だったようで……。
――旧車って本当に“タイミング”なんですね…。では、元々違う車種に憧れていたところ、ハコスカを即決した理由は何だったんですか?
ナンバープレートですね!
――ナンバープレートですか!?
仕事の帰り道でチラッと見た時、プレートに「神戸55」と書いてあったんです。それを見て「うおっ!!」と思ってね。
ナンバープレートって面白いんですよ……。
今はナンバーが3桁になりましたが、最初の1桁ナンバー(シングルナンバー)は昭和42年頃以前に登録したクルマ。高度経済成長期あたりからは、2桁ナンバーになったと思うんです。
その時点で1桁ナンバーはかなり入手困難で希少価値があるんですよね。それと、例えば、昔はナンバーを見ただけで、中古車で買ったか新車で買ったかを、安易に予想できたんですよ。
そういうのも含めて、私はナンバープレートに思い入れやこだわりがあり、当時の2桁ナンバーが書かれたプレート、これがハコスカに付いていたので「買います!」って即決したんです。
――そんなに奥が深かったとは…。石橋さんのこだわり、すごいですね。
いやいや、正直言うと見栄っ張りなところもあるかもしれませんね。18歳の時、中古車で買ったとバレるのが嫌で、ナンバープレートが必ず付いているやつを探していたりしたんですよ(笑)
――そうなんですね。失礼ですが、このハコスカもそう言う見栄だけで…?
いいえ、そういうわけでもなくて、このハコスカのナンバーは、当時のプレートそのままの状態だったというのが、私的にとても魅力的に映ったんです。ハコスカで当時のナンバーが付いているものなんて、今後もう一生出会えないかもしれないじゃないですか。
私が憧れていたS30Zや240Zは、当時400万円くらいで買えたんですけど、それってお金を出せば買えるなと思って……。一方、ナンバープレートって買えないじゃないですか。神戸ナンバー、且つ2桁ナンバーって今まで生で見た事がなかったんですよね。
まあでも、ハコスカ自体の状態も最高の状態だったんですよ。今思うと、このナンバープレートが無くても買っていたかもしれません。そのくらい、久しぶりにときめいていました。
――ハコスカもナンバーも、とても納得のいくものだったんですね。買った当時はオール純正仕様だったんですか?
ほぼ純正でしたね。当時付いていた社外パーツは、フルオリジナルに見えるようにしています。例えばホイールキャップは付け替えて「何も触ってませんよ」と言わんばかりのエクステリアにするようにこだわっています。
見た目は純正だけど「走ったら実は速いんです!」みたいなクルマが好きなので、ポート研磨などはしてます。
――純正に寄せたのは、当時感を残したかったから、という気持ちがあったりしたんですか?
というよりも、ハコスカの状態がとっても良くて、前のオーナーさんがものすごい大切にされていたのが伝わってきたんですよ。だから派手な改造はしたくないと最初から思っていました。
――前のオーナーさんとは会ったことがあるんですか?
会ったことは無いですが、前オーナーさんのご了承をいただき、定期点検整備記録簿をいただいたんですよ。そこには20年分の記録がしっかり記してあったんです。
それを見て、とにかく管理をきっちりされていた方なんだなと思いました。内装も完全純正で綺麗に保たれています。そういう大切にされていた思いを、このハコスカの節々に感じて、私がしっかり受け継いで大切に乗らないといけないなと思いました。
――お話を聞いているだけでもきちんとされていたことが分かります。ちなみに、ハコスカを運転した感じも気に入りましたか?
セカンド、サードと、加速している時が最高に楽しいですね。エンジンのサウンドもたまらないですし、トンネルを走っている時なんかも、ハコスカの良さを噛み締めて走っています。
そういえば、購入当初はマフラーがうるさくて、私の好みではあったものの、純正に近づけたかったので買い換えたんですよ。サビもちょこちょこあったので、外装は塗装し直して、エンジンもチューニングしてもらいました。
今は、ほぼ通勤メインで乗っていますが、旧車イベントやツーリングなど、今後も行きたいところがいっぱいです。
――ハコスカライフを楽しんでいますね!今まで乗ってきて、石橋さんが気に入っているポイントはどこですか?
やっぱりレザートップですかね。当時のオプションだと思うんですけど、一体いくらしたんだろう?と気になります(笑)。
あとは、フェンダーモールです。これは相当珍しいと思っていて、同じハコスカにフェンダーモールがついているクルマを、これ以外で見た事がないんです。
他にもいっぱいお気に入りポイントはありますが……というかもう全部好きですね(笑)。
――10年間、ハコスカに魅了され続けている様子が目に浮かびます(笑)。今後も乗り続けたいですか?
最初は正直、ハコスカが好きでたまらなくて買ったというわけではなかったんですが、乗れば乗るほど好きになっていく「噛めば噛むほど味が出てくる“スルメ”」みたいな感じでしょうか(笑)。
もはや、憧れだった240 Zに、今出会ったとしても買わないと思います。それくらいずっとハコスカに夢中です。
「どんなにお金を積まれても手放す気はないです。」
石橋さんは、自分が運転できなくなるまでハコスカに乗り続けたいと、ハコスカへの愛を一生懸命話してくれました。
前オーナーさんの“大切にハコスカに乗る精神”をしっかり受け継ぎながら走ってきたカーライフは、きっとこの先のオーナーさんにもつながるのではないでしょうか!
【Instagram】
https://www.instagram.com/kazunao14/
(文:秦 悠陽)
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