初めての愛車「シルビア」が人間関係を豊かにしてくれた

  • 日産 シルビア

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初めてのクルマは「ライトウェイトスポーツにしよう!」と、S15シルビア オーテックバージョンを購入したという「楓さん」。

知り合いのクルマ屋さんで、スペックSをベースにオーテックジャパンがチューンナップした希少グレードがたまたま見つかり、今しかない!と免許取得前に愛車として迎え入れたそうです。

それから12年が経った、2024年の楓さんとS15の今とは……?

今回は、楓さん×S15シルビア(オーテックバージョン)のお話をお届けします。

―――ライトウェイトスポーツに、S15シルビアを選んだのは何故ですか?

小学生の時に母が、初めての愛車と撮った写真を見せてくれたことがあったんです。

そのクルマというのが、ボンネットがグッと低く、未来的なデザインがスタイリッシュでカッコいい“S13シルビア”でした。

そこで、シルビアというクルマが頭にインプットされちゃったんでしょうね(笑)。それで無意識のうちに自分の愛車にもシルビアを選んでいました。

  • 日産 シルビア

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―――お母様と同じ、S13にはしなかったのですか?

S13も好きだったんですけど、S15の方が僕好みだったんです。流れるようなボディラインがスタイリッシュで美しいし、20年以上前に登場したクルマなのに、古さを感じさせない、ハッと目を引くデザインが良いなと思いました。

―――オーテックバージョンで、ちょっと人とは違うスタイルですしね♪とってもかっこいいです!

ありがとうございます♪父の知り合いのクルマ屋さんに、“S15シルビア スペックS 5MT (NA 165馬力)”という条件で探してもらったら、たまたまこの個体が出てきたんですよ。

実はこの時、オーテックバージョンというのがあることすら知らなかったんですけどね(笑)。スペックSとスペックRの2つだと思っていたから、最初に聞いた時は「え?」って感じでした。

―――じゃあ、未知のグレードを買ったと……!

そうなんです(笑)。ただ、調べていくと、ものすごく魅力的なグレードでしてね。NAで200馬力を発生する6MT、スペックSよりパワーはあるんだけど、スペックRほど荒くれ者(褒めてます)じゃない。まさに、両グレードの良いところ取りしたのが、オーテックバージョンだったんです。

それで、高校卒業前、しかも、本免試験前に購入しちゃいました(笑)。就職前だったから、お金は親に肩代わりしてもらって毎月コツコツ返すという約束で。

―――協力的なお父様というのも、またいいですね。

父もクルマ好きなんですよ。Y32グロリア、Y33シーマと日産を代表したセダン系が好きで、今もY33シーマに乗っているくらいですから。血は争えないって言っていました(笑)。

―――なるほどです。実際に乗ってみてどうでしたか?

当初の計画では、2〜3年乗ってスカイラインのR34に乗り換える予定だったんですよ。ところが、シルビアの楽しさに気付いてしまって、今年で12年目を迎えることになりました(笑)。

何が楽しいって、アフターパーツが豊富だから、まるでオーダーメイドのスーツのように、自分のやりたいようにクルマを変えていけるところです。

見た目だけじゃないですよ?ドリフトからグリップまで、色んなステージパーツの豊富さも手伝って、様々な性格に化けることも出来るんです。

―――では、まずデザイン的に気に入っている箇所を教えて下さい。

R32スカイラインオーテックバージョン専用色の“イエロイッシュグリーンパールメタリック”というボディーカラーです。

もともとは、“スパークリングシルバー”でしたが、全塗装をするにあたり、思い切って自分が大好きな緑にしちゃったんです。色々なメーカーの緑をリストアップして、直感でビビッときたのを選んだんですけど……。なんと!たまたまオーテック繋がりの緑だったから、運命的な何かを感じました(笑)。

―――走りはどうですか?

S15シルビアって純正だと、ドライバーが快適に運転できる味付けにしてあるから、いい意味で動きがだるいんです。だけど、僕はサーキット走行をするから、“走る、曲がる、止まる”の基本性能をワンランク上にするようなカスタムをしています。

購入時は、タワーバー以外がノーマルだったのですが、今はもう面影は残っていませんね(笑)。エンジンはオーバーホールして、コンロッドとピストンも社外に変えました。あっ、ミッションもデフもオーバーホールしたなぁ。

―――今も走っているのですか?

数年前はちょくちょく走っていましたが、エンジンのオーバーホールや車体レストアを経て、長く乗ろうという方にシフトチェンジしていきました。

海王丸や氷見の海を見に、休日に走らせるくらいですね。サイズが小さいから神経質にならず、ゆとりを持って走れるし、ワインディングロードをクルマに身に任せて走るのは最高ですよ。

そして、ロケーションが良ければ、カメラで写真を収める。その瞬間は、なんともいえない気持ちになります。

ネオクラの域に入ってきたので、部品の供給など頭を悩まされることも多いですが、知人との繋がりや親身になってくれるショップに恵まれたなと感じています。SNSでS15に興味を持ってくださった方が声をかけてくれて、そこから仲良くなり、お酒を交わす仲にもなりました。

今の僕の人間関係、人脈を豊かにしてくれたのは、間違いなくこのクルマです。だからね、僕はこのクルマを一生手放せないです。

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昨今の旧車ブームにより、降りたら二度と乗れない気がすると話してくれた楓さん。整備も欠かさず、適度に走りを楽しみつつ、墓場まで持っていくつもりだと笑っていました。

きっと、その通りになるでしょう!

(文:矢田部明子)

MORIZO on the Road