父が育てた柚子がGS121クラウンとのご縁につながる。「オーナーになった今でも、クラウンは私の憧れ」
これまで、GX81チェイサーやJZX100チェイサー、GRS182クラウン2台などのトヨタ車に乗ってこられたというKenjiさんは今年で48歳。
現在はGS121クラウンとJZS130Gクラウンステーションワゴンの2台でカーライフを楽しんでいるそうです。
クラウンという車種を何台も乗られてきたKenjiさんが、今のクラウンと出会ったきっかけは、とあるイベントで見た「ディーラー設立40周年記念限定車のクラウン」だったのだとか。
その後ご縁があり、現在の1984年式のGS121クラウン ロイヤルサルーンツインカム24を譲っていただけることになったそう。
数々の偶然が積み重なって出会ったというが、一体どんな物語があったのでしょう。
今回は、GS121クラウン×Kenjiさんのお話です。
――早速ですが、GS121クラウンとの出会いをお聞きしても良いですか?
私がまだ2代目のGRS182クラウンに乗っていた時、旧車のイベントに見学に行ったことがあったんです。そこで、GS121クラウンのスーパーチャージャーに乗っていたオーナーさんが居て、スーパーチャージャーの中でも特別なモデルだったので、めちゃくちゃ憧れたんですよね。
それと、私が子供の頃、父の仕事関係の人がGS121クラウンを持っていて、乗せてもらったことがあったんです。その時、まだ小学生高学年だったのですが、見た目や乗り心地にとても感動したのを覚えています。
旧車イベントでそのクルマを見た時に、その小学生の時の思い出と重なり、クラウンへの熱が再燃しちゃったという感じです。
――そこからどのようにして、手に入れることが出来たんですか?
実は、元々私の住んでいる近所の人が乗っていたものだったんです。地元の旧車イベントで仲良くなった方から(以下、Dさん)から「あそこの家に、珍しいベージュ色のクラウンがある」と教えてもらったんですよ。しかも、ナンバーが新車の時から使用されている2桁ナンバーが付いていたんです。
オーナーさんはご高齢で、5年くらい放置された状態でした。それで、Dさんから「せっかくの希少な色とナンバーを腐らせたらもったいない。だったらオーナーさんと引き合わせてあげるから乗ってみないか?」とお声がけをしてくれたんです。
――お話をいただいた時は、どう思いましたか?
確かにDさんがおっしゃる通りだなと思いました。プラス、私の幼少期の思い出もあって、譲っていただけるのであれば、お話に乗っかりたいと思いましたよ。
――それで、前オーナーさんに実際にお会いしたんですね。
そうです。Dさんが連絡先を教えてくれて、私から前オーナーさんのところに会いに行きました。
――前オーナーさんは快く受け入れてくれたんですか?
実は、最初は先客がいると言われていたんです。前オーナーさんの身内の人が欲しいって言っていたみたいで、その人に確認を取ってからじゃないと、今すぐに返事は出来ないと言われました。それから、何度かお会いして、世間話をしているうちに、あることが判明して……。
――何があったんですか!?
私が住んでいる近所に、前オーナーさんの従兄弟も住んでいることが分かったんですよ。実はその従兄弟の方と関係があって、私の家に柚子があるんですけど、元は父が子供の頃に、その方の家から貰ってきて、育てていたものだったんです。
そんな話を前オーナーさんとしていたら話が盛り上がって「先に欲しいと言っていた人とは、結局連絡がつかなかったし、もう今じゃKenjiさんとは全く知らない関係じゃないので、譲ってやるわ」って言っていただけたんです。
――なんという素敵なお話。お父様が柚子をちゃんと育てていたおかげでもあるんですね。前オーナーさんのクラウンに対する思いは強かったんでしょうか?
クラウンは庭先に放置はしてあったんですけど、本当は自分自身でもう1度、車検に通して乗りたいっていう気持ちがあったみたいです。ただ、そうした気持ちの反面、いざ行動に移すところには至らなかったんだと思います。
――ベージュという色はKenjiさん的に気に入ったんでしょうか。
そうですね。どちらかというと暖色系の色が好きですし、ずっとメインで乗ってきたクルマたちがホワイト系ばっかりだったので、たまには少し変わった色のクルマに乗りたいっていう気持ちがありました。
あとは、出来ることなら保護したいっていう気持ちも強かったので、譲っていただけて本当に感謝しています。
――GS121クラウンの魅力は、外装や内装以外でも感じましたか?
1G-GEUというエンジンに対しても憧れがありましてね。ツインカム24っていう響きからイメージするエンジンっていうか、そこに憧れがあったんですよ。実は、過去に同じエンジンが搭載されているクルマに乗っていたことがあったんですが、2年で手放すことになってしまったので、もう1度、1G-GEUのエンジンのクルマに乗りたいっていう気持ちも強かったんです。
――初めて1G-GEUのクルマに乗った時のことは覚えていますか?
1番最初に乗ったのは、さっき言った、手放してしまった81チェイサーでした。高回転までエンジンが回る時のフィーリングの気持ちよさにハマってしまったんですよね。
エンジン音も、特に3,000〜5,000回転あたりの音が、運転していて気持ちが良いんですよ。
――4年間乗られてきた今、クラウンの1番気に入っているポイントってどこですか?
内装で言えば毛足の長いフカフカしたファブリックのシート。あとはGRS182クラウンに乗っていた時には味わえなかった、ソフトな乗り味ですね。
小学生の時に既に、自分の好みにドンピシャに合っていた、カクカクしたデザインはずっと気に入っています。実は、今乗っているクラウンはのフォグランプの位置や、ドアのサイドモールが細いタイプで高い位置に付いていることとか、最初はあまり好みではなかったんですよ。
でも、こういう前期の5ナンバー車をオリジナルで乗ってる人ってなかなか居ないんですよ。なので、好みではなかったんですが、オリジナルの部分として、大事に残していってあげたいっていう気持ちが湧いてきたんです。それが今では私の中で、このクラウンのチャームポイントになっています。
――GS121クラウンに乗られてきた中で、Kenjiさん自身の変化はありましたか?
今のクラウンになって、遠方の旧車ミーティングに参加するようになったことですかね。元々、自分から人に声がけをするのが苦手だったんですけど、それも出来るようになりました。
とある旧車イベントに行った時「一緒に並べませんか」ってお声をかけてくれた人がいて、その人たちと打ち上げ会をすることが出来たのも嬉しかったですね。今のクラウンをきっかけに、より行動範囲が広がって、旧車友達の輪も、より一層広がったっていうことが、とっても嬉しいです。
――Kenjiさんの性格にまで変化があったんですね!クラウンの力、すごいです……。
今後クラウンでやりたい事などはあるんですか?
出来うる限り、自分が免許を持っていられる限りは、維持していきたいなっていう気持ちがあります。いずれはフルレストアしてあげたいんですけどね……。
現状では、今ある傷やサビは歩んできた歴史として残して、この状態であっても、乗り続けられるのであれば、もう私はそれで満足ですね。
――KenjiさんにとってGS121クラウンは、現在どんな存在になりましたか?
友達や相棒っていう感覚では無いかな。自分をワクワクさせてくれる存在というか……。
私の中で昔から変わらず、クラウンっていうクルマは憧れのポジションなんですよね。それは、GS121クラウンに4年間乗っていても変わらないんですよ。いざ自分がオーナーになって乗ってみても、エンジンの魅力もイメージ通りだったし、魅了されっぱなしというかね。
きっとこれからも、私の中のクラウンという存在は、変わらないのだろうなと思っています。
余談ですが、某フリー百科事典サイトにて、自身のクラウンの画像が使用されているのを知ったというKenjiさん。発見した当時、なんだか少し嬉しかったそう。
それはおそらく、クラウンを譲り受けた理由の中に、クラウンの魅力を多くの人に見てもらいたいという願いがあったからなのではないかと、筆者は勝手ながら予想しています。
Kenjiさんが、GS121クラウンのオーナーになるまでに繰り広げられた出来事は、もはや偶然とは思えない、必然的な出会いだったのではないでしょうか。
お父様が育てた柚子の木は、枯れてしまったそうですが、その木から種がこぼれて2代目が育ち、今は再び実をつけるようになったといいます。お父様が大切に育てた柚子のように、きっとKenjiさんもクラウンを大切に乗り、次の世代に伝承するのだろうなと、お話をお聞きしている中で、密かに思う取材となりました。
【Instagram】 https://www.instagram.com/gs121_royal_g/
(文:秦 悠陽)
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