40年間眠っていたスバルR-2。1年間かけて公道復帰させたその想いと楽しみ

  • スバル R-2とガレージ


360ccのクルマが大好きだという「千石峡さん」。理由は、小さくて可愛いことと、小排気量でも一所懸命走る姿が愛おしいからとのこと。

さまざまな小排気量な旧車のレストアの様子をYouTubeにアップしている千石峡さんですが、愛車歴はN360、ライフピックアップ……などさまざまで、現在は低床サンバーとR-2でカーライフを楽しんでいるそうです。

その中でも、今回は部品取りクルマとしてもらったはずだった、R-2についてお話をお伺いしました。

―――もともとは、部品取りをするためのクルマとしてもらったのですね

  • スバル・サンバー

いや……、部品取り車というか……。今乗っているサンバーのエンジンが壊れたので修理するためにエンジンを頼んだら、そのエンジンを載せたクルマごと届いちゃったという感じです(笑)。

―――えっ!?

  • スバル R-2のリヤ

ビックリするでしょ(笑)?動かないのはもちろんのこと、外装もボロボロで、これはどうしたものか……と思いましたよ(笑)。だけど、ふとフロントガラスに貼られた車検ステッカーを見ると、40年前に車検が切れていることが分かったから、これは走らせてあげないと!と。

―――いや、そうはならない人が多い気がします(笑)。むしろ、置くところはどうしようか?とか、廃車にするのにお金はかかるのだろうか?とかが多い気がします。

  • スバル R-2を修理している様子

えっ、そうですか? 逆に僕は「40年間も眠っていたなら、このクルマはそろそろ走りたいだろうな」と感じました。

だから、走らせてあげたくなっちゃってね。聞こえるわけはないんだけど、そう言っているように感じたというか。何かそんな気がしたというか。まぁ…そんな感じですね♪

―――なるほど。でも、写真を見る限り この状態からだとかなり大変だったのでは?

  • 40年ガレージに眠っていた状態のスバル R-2
  • レストアを開始したスバル R-2

大変でしたよ〜!でも、とにかく一刻も早く公道復帰をさせてあげたくて、エンジンのオーバーホール、窓ガラスを入れて、足周りを全てレストアしました。

そしたら、偶然なのか必然なのか? 途中で整備記録書が見つかって、R-2の経歴が色々分かったから1年くらいで何とかなったんです。

唯一触らなかったのは外装なんですけど、これはサビがクルマの歴史だと思っているからです。もう1台のサンバーの方はピッカピカにしているんですけど、このR2に関しては“何となく”このままで良いのかなと。

  • スバル R-2で参加したイベント

おかげさまで、有名にはなれましたよ(笑)!オフ会に行くと、すぐ見つけてもらえますから。旧車らしい丸目のライトや、バイクと同じサイズの小さいナンバープレートなど、個性的なスタイルをしていますからね。

―――確かに、どこをとってもインパクト大ですよね!走りの方はどうなのですか?

  • 2ストエンジンのスバル R-2

すっごく面白いし、可愛いです。2サイクルでオイルとガソリンを燃やしながら走るんですけど、エンジンオイルの焼ける匂いと白煙を吐くのを眺めていると、それはもう!それが愛らしいのなんのって!!

今じゃ考えられないかもしれないけど、僕が10歳の頃のクルマはそんなのばっかりだったんですよ。坂道は勢いをつけないと登ってくれないし、車体も揺れて乗り心地も硬いから運転にちょっとコツがいるんです。

でも、僕の中ではこれがクルマのイメージなんです。九州や四国、この前は大阪のイベントに高速に乗って行きました。

―――高速って……、スピードは出るのですか?

  • スバル R-2とオーナーさんとお孫さん

僕のR-2は点火系を中心に同時点火システム、オルタネーター化、電磁式燃料ポンプ化。シリンダーはボーリング、1mmオーバーサイズピストンをセラコートしてインストールしているので時速100km くらいなら余裕で出るんですよ。

孫娘が旧車の匂いが好きだと言うオタクだから、お陰様で色々付き合ってもらって楽しくいじっております。

―――“公道復帰させてあげたい”なんて言っていたクルマとは思えないくらい、バリバリ走っているんですね

あはは(笑)!そうですね。冒頭でも話しましたが、やっぱりクルマは走ってなんぼだと思うから、そういうカーライフが送れるように手を入れさせて頂きました。

R-2は、当時決して人気のあるクルマじゃなかったけど、僕にとっては1番楽しいクルマであることは間違いないから、これからも大事に乗っていきたいなと思っております。

  • スバル R-2

そのためにも、シートをベンチシートに交換したり、キーシリンダーに突っ込んだままの鍵を救出したいです。

―――それって、どういう状況なんですか?!

ガゾリンスタンドのお爺ちゃんが、1本しかない鍵を無理に回しちゃったのか?折れちゃったんですよ(笑)。だから、まずはそれを何とかしないと。

―――のっけから思いましたが、回答に意外性がありすぎてビックリしっぱなしです。

それは、ありがとうございます?でいいのかな?

―――もちろんです!

そういうのが好きなのかもしれません。古いクルマだからトラブルはつきものだけど、それすら楽しんで付き合っていく。楽しいじゃないですか。

  • スバル R-2とサンバー

終始驚きばかりの取材になりましたが、R-2を可愛がっている様子が千石峡さんの一点の曇りもない声からひしひしと感じられました。

そして、これからも360CCのクルマの魅力に取り憑かれながら楽しんでいきたいと話してくれました。

【YouTube】
千石峡秘密基地

(文:矢田部明子)