貴重なクルマでも「楽しく走らせてナンボ」 TMI VM180ザガートとの日常(トヨタ MR-S)

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TMI VM180ザガートというクルマをご存じでしょうか。

トヨタMR-Sをベースとし、TMI(トヨタモデリスタインターナショナル)から2001年に発売されたコンプリートカーです。デザインをイタリアのカロッツェリア「ザガート(SZデザイン社)」のチーフデザイナー・原田則彦(Nori Harada)氏が手掛け、限定100台が生産されました。

今回は、この希少なモデルを相棒にカーライフを楽しむ、じおざがさんに話をお聞きしました。

――それにしても、めちゃくちゃキレイに乗られていますね

日本刀をモチーフにしたとされるデザインとシルバーのボディカラーを大事にしたく、頑張って屋内保管にしています。とはいえ、基本は「楽しく走らせてナンボ」と思っているので、できるだけ散歩させるようにしていますが。

――同じクルマとすれ違ったことはありますか?

ありません。ただ、SNSでなら同じザガートのフォロワーさんが2人。過去のオフ会では、私を含めて3人並んだことがあります。SNSやネットの情報を総合すると、日本国内に現存している個体は40台〜50台ほどかなと推測しています。

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――じおざがさんは、幼い頃からクルマ好きだったんですか?

そうですね。物心ついた時には両手にミニカーと超合金のロボットを握っていました。 「マジンガーZ」で目覚めたロボットアニメ世代です。ミニカーは「ポピニカ」という超合金みたいなシリーズが、特にお気に入りでした。

「サーキットの狼」にも影響を受けました。いわゆる 「スーパーカー世代」です。クルマは流線型がマストでしたね。 また、私の父親もクルマ好きで、いすゞ117クーペ、初代いすゞピアッツァなどに乗っていました。ピアッツァはのちに譲り受けて私の愛車になりました。

――そういえばピアッツァも、ステアリングの左右の「サテライトスイッチ」にスーパーロボット感がありますよね

初代ピアッツァのメーター周りは、操作性に優れています。まるで巨大ロボットに合体する、戦闘機のコックピットのようでもあります。今見ても「レトロフューチャー」といいますか、とても味のあるデザインだと思います。乗るたびにワクワクする景色でした。当時結婚したばかりの妻には不評でしたが(笑)。

ピアッツァは、父から受け継いだ初代と2代目の2台を乗り継ぎました。

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――他には、どんなクルマにお乗りだったんですか?

ホンダアスコット、ユーノス500、日産バサラに乗りました。ユーノス500は美しいエクステリアと、V6エンジンが印象深いですね。MTで操るのがとても楽しいセダンでした。

現在はトヨタマークXジオと、このザガートの2台体制です。だからハンドルネームが「じおざが」なんですけどね(笑)。

――あ、本当ですね!ハンドルネームに愛を感じます。このザガートのことは何を見て知りましたか?

2001年の自動車誌に載っていたんです。媒体名は忘れましたが、一面広告でした。アニメのメカが現実になったようなSF感に惹かれましたね。ザガートのデザインは、唯一無二だと思います。カタログも手に入れたんですが、SFをコンセプトにしたデザインらしく、ロボットアニメ好きの心を刺激しましたね。

ちなみに、私は数あるロボットアニメの中でも「超時空要塞マクロス」が大好きです。劇場版の「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」は、個人的にロボットアニメの最高傑作だと思っています。

  • TMI VM180ザガートのカタログ
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    TMI VM180ザガートのカタログ

――本当ですね。カタログもロボットアニメみたいな雰囲気を感じます

このクルマの存在を知った後で、ザガートをデザインした原田則彦さんが「超時空要塞マクロス」のメカデザイン、監督(劇場版)を務めた河森正治監督や、キャラクターデザインを手掛けた美樹本晴彦先生などのクリエイターとの親交が深いことを知りました。

そして原田さんがカーデザイナーになる前「愛・おぼえていますか」に、メカニックデザイン協力として参加していたということを知り、ザガートがますます欲しくなりました。

――わぁ、そんなつながりがあったんですね。いつ頃から乗ろうと思っていたんですか?

50歳を迎える少し前ですね。50歳になった記念に、趣味のクルマに乗りたいと考えていました。バイクも好きですが、家族に交通事故の心配をかけたくないと考えていたとき「そうだ、オープンカーに乗ろう」と思いました。そして瞬時に、カタログで見たザガートを思い出したんです。

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――ついに購入するわけですね!

中古車サイトで探して、候補の個体を見つけて遠方まで確認しに行きましたが、なかなか納得のいく個体が見つからなくて半分あきらめていたんですよね。

ところが、50歳になる数か月前に、運命的な出会いがありました。中古車サイトで走行距離1.5万キロ、価格もギリギリ予算内の出物を発見!クルマがある店は遠方でしたが、運命を感じて現車確認なしで即決してしまいました。

――誕生日前に理想の車が見つかってよかったですね。納車日の思い出をぜひ聞かせてください

納車は購入した中古車店から自宅近くの系列店へ輸送してもらったのですが、そのお店の皆さんに状態の良さや希少性を褒めていただき、安心したのを覚えています。初めてのドライブは神戸の六甲山へ行ったんですよ。そういえば、 奥さんとの初デートも六甲山でした。

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――とっても素敵です!オフ会にも参加していますか?

MR-Sのオフ会はもちろん、クルマ関連ではないミーティングにも積極的に参加するようになりました。ザガートのおかげで世界が広がりました。MR-Sのオーナーさんは「これか!」と感激されていました。でもこのクルマの存在を知らない方も結構多かったです。

――愛車を迎えてから、じおざがさんご自身が手を入れた部分はありますか?

MR-S前期型の弱点である車体を補強するため、ロアアームバーとタワーバーを入れたくらいです。

中身はトヨタなので、ディーラーで診てもらっていますね。維持費もそれほど掛からなくて助かっています。

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――乗り始めてから、最も印象に残っているエピソードは何でしょうか?

マクロスのトークイベントにザガートで行ったところ、メカデザインを手掛けている宮武一貴先生と天神英貴先生とお会いできたことです。

私のザガートを見つけてくださり、お話することができました。 お二人ともデザイナーの原田さんと親交が深いそうで、ザガートの成り立ちもよくご存じでした。SNSでもコメントをいただきうれしかったです。憧れのアニメ作品と愛車が繋がった、印象的な出来事でした。

――ザガードが繋いでくれた素敵なご縁ですね。じおざがさんにとってザガードはどのような存在ですか?

「超合金のミニカー」が、実物大で手に入ったような感覚がありますね。同世代の男性ならわかってもらえると思うんですけど、超合金はとにかく頑丈なので、気兼ねなく持って遊べるのが魅力なんです(笑)。ザガートもそんな存在ですかね。

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――これからも大事にしてくださいね!

現在4万5000キロ、まだまだこれからです。次のオーナーさんに引き継ぐまで…免許返納までは乗るつもりです。スポーツカーの醍醐味を味わいつつ、無理なく気持ち良く走っていたいですね。「うちに来てくれてありがとう」って感じですよ!

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「超合金のミニカー」のように憧れと遊び心のつまった、じおざがさんの大切なザガート。これからも素敵に歳月を重ねていくのだと思いました。

じおざがさんのSNSでは、愛車との記録のほか、ザガートに関連した情報も多く共有されています。このクルマが好き、乗りたいとお考えの方は覗いてみてくださいね。

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じおざがさん

(取材・野鶴美和)