カラーリングにこだわるのがなによりの醍醐味! レースは走るだけが楽しさじゃない!

  • N-ONEトリコロール

今回取材した「kfuku1975さん」は、ホンダN-ONEによるワンメイクレース“N-ONE OWNER'S CUP”に参戦し続けています。

公道では体験できない速度域で走れるというのもレースの醍醐味だと話してくれましたが、参戦する一番の理由は“自分の好きなカラーリングのクルマをサーキットで走らせられる”からだそうです。

今回は、kfuku1975さん×N-ONEのお話をお届けします。

―――レースに出る一番の理由は「自分の好きなカラーリングのクルマを走らせる」なんですか?

そうです! 僕はN-ONE OWNER'S CUPに2014年の第1回から参戦していて、最初からレースカーにはオリジナルのカラーリング(ラッピングデザイン)をしているんです。2014年から2018年まで乗ったN-ONEは黄色だったんですが、この期間で3回ほどデザインチェンジしています。

  • N-ONEイエロー

上の写真は、モビリティリゾートもてぎで開催された“世界ツーリングカー選手権”の前座レースで走行した時のもので、アイルトン・セナのヘルメットっぽい仕上がりにしてみました。これが、黄色のN-ONEに施した最後のデザインですね。

このまま他のレース参加者に売却したところ、その方の娘さんがえらく気に入ったようで、このカラーリングのまま初心者マークを付けて乗られているそうですよ。いやぁ、うれしい限りです! がんばって作ってよかったです!

―――3回も!? カーラッピングって、一度貼ったら3年くらいは持つと聞いたことがあったような……。

持つかもしれないけど、飽きちゃうじゃないですか! このデザインにしたら速そうかな〜とか、マーキングフィルムを貼ってクルマが変わっていくのを見るのが好きなんです。

それに、自分で作ると“世界に一台だけのデザイン”になるから、愛着が湧きますしね。恥ずかしながら……最近は走るよりも、ラッピングデザインの方に情熱を注いでいます(笑)。

―――自分で考えて、マーキングフィルムを貼るということは……もしかして、全て自作ですか?

  • ラジコンと一緒に
  • カッティングマシン

はい。もともとカッティングマシンを持っていたんです。趣味でラジコンをやっていたので、ボディのラッピングを作成するときに駆使していました。

工程的には、マーキングフィルムを貼る、細部を塗装するなど、実車もラジコンも変わりませんからね。自分でやれば、予算も1万円くらいに抑えられるし楽しいしで、いいことだらけですよ!

―――それはそうですが……ラジコンと実車だと、大きさがかなり違うと思います。

  • フィルム積層の様子

大丈夫大丈夫! 大体10倍の大きさなわけだから、ラジコンだと1枚貼ればよかったところが、実車だと10枚になるというだけなんですよ。

僕は、16センチ幅のシートを細かく切って、ペタペタ貼っています。素人製作なので曲線部分はツギハギだらけになっちゃうけど、走行中は遠目だからわからないし、これがアマチュアならではの味だと思えばいいんです!

それよりも、乗ってみたかったデザインのクルマに自分が乗れるということで、そんな苦労も満足感で何十倍も満たされますよ♪

―――今までやったラッピングデザインでは、どれが一番気に入っていますか?

  • トリコロール仕様俯瞰

現在のカラーリングですね。このデザインを再現するにあたって一番こだわったのが“ボンネットのインテークダクトを、いかにステッカーで穴が開いているように見せるか”でした。

ラインの太さを微妙に変えたり、グラデーション効果で立体的に見えるようにしてみたんですけど……どうでしょうか? 開いているように見えますか?

―――おお!見えます見えます! サーキットを走っていると、特にそう見えます!

  • N-ONEとシティのラジコンと一緒に

おお!よかった! 実はこれ、40年前に販売された、タミヤのラジコンカーのカラーリングをN-ONEに落とし込んでみたんです。このラジコンも、1983年のホンダ・シティターボのレースカーをデフォルメして製品化したものなので、間にラジコンを挟んでシティターボをオマージュした感じです。

  • N-ONEのネイビー×イエロー仕様

あと……大変だったのは、ボディの上半分を色変えした2台目の紺色のN-ONEかな。モチーフは、1980年代に活躍したホンダエンジン搭載のF1マシンなんですけど、非常におっさんホイホイなカラーで(笑)、おじさん達が寄ってきてくれるんです。

―――どれも個性的なカラーリングだから、ファンができそうですね。

はい。「今年はどんなカラーリングにしたの?」とか「楽しみにしていたよ〜」と言ってくれる方がいらっしゃるんですよ。

  • N-ONEの白黒赤仕様

上の写真のラッピングデザインなんて、全く知らないポルトガルの方がレースゲームの「グランツーリスモ」でそのまま再現してくれたんです。日本のみならず、世界の誰かの目にも留まっていたなんて、やって良かったと思いました。

ただ、サーキット走行写真を撮ってくれるカメラマンさんは「毎年変わるからどこにいるか分からない……」と言われますけど(笑)。

―――(笑)確かに、カメラマンさん泣かせではありますね! もちろん、これからもレースに参戦し続けるんですよね。

はい! ただ僕の場合は、走りよりもカラーリングを楽しみたいと思っています。クルマの良いところは、色々な楽しみ方があるところなんです。脚周りなどの中身をガラッと変えるのも良し! 見た目をイメチェンするのも良し! 遊び方は無限大だから、これからもN-ONEで走りまくりますよ!

  • スタート前のグリッド上でN-ONEとガッツポーズするオーナー

なかなか車の買い替えができない方にとくにオススメしたい遊び方だと話してくれたkfuku1975さん。これからも、自分が楽しく、できれば見てくれた人が笑顔になるようなデザインでサーキットを走りたいということです。

来年のカラーリングはどんなデザインになるのか、首を長くして楽しみにしておきます!

(文:矢田部明子 撮影:鈴木京一 写真:kfuku1975さん提供)