どんな時も絶対に手放さなかったセリカ。40年間の付き合いを振り返る

  • セリカと山

40年間もの長きにわたってトヨタセリカに乗り続けている「lariosさん」がこのクルマを購入したのは22歳のとき。当時は学生だったのに、いつのまにか定年を迎え再雇用してもらっているほど時が過ぎていたと笑いながら話してくれました。

いついかなる時もそばにいて、支えてくれたのがセリカだったと嬉しそうに教えてくれました。

今回は、lariosさん×セリカ の お話をお届けします。

―――40年の間に、手放そうと思ったことは一度もなかったのですか?

  • lariosさんとセリカ

欲しいな〜と思ったクルマはありましたが、セリカを手放そうと思ったことは一度もありませんでした。それこそ、学生の頃から社会人になるまで乗っているから、その間には結構大変な時期もあって、車検を切って友人の車庫に眠らせたこともあったんです。だけど、“手放す”という発想は起こらなかったですね。それほど、セリカが好きなんでしょう!

―――lariosさんをそこまで虜にする、セリカの魅力ってどんなところですか?

  • セリカと高原

基本的に全部好きなんですけど(笑)、外装だと丸目4灯、5本テール、ショートノーズやボンネットのダクト。今のクルマには見られなくなった、奥に引っ込んだヘッドライトはとくに気に入っているポイントですね。内装は5連メーターが気に入っていて、車高が低いのも相まって、運転席に座った時にこのメーターが目に入ると「スポーツカーに乗っているぞ!」という感じがして、ついつい長距離ドライブしちゃうんです。

―――どこにドライブに行くことが多いですか?

  • セリカと紅葉

近場だと、千葉県富津市にある“もみじロード”によく行きます。紅葉や滝などの景色が綺麗だし、信号のないワインディングロードを走るのがとても楽しいです。あとは、南房総の海沿いにもよく行きますよ。潮風に吹かれると爽快感があるし、休日だと同じような旧車とすれ違うことも多いので、目の保養にもなりますね。

  • セリカと旧車

ちょっと遠出をする時は、横浜の中華街に行くこともあります。そのルート上の東関東道(東関東自動車道)を走るのも好きなので、走って楽しい!食べて美味しい!で2倍満喫できるから、いつの間にか定番のドライブコースになってます♪

―――走りこんでますねぇ〜

  • 当時のセリカ

いやいや全然ですよ! 20代の頃は、一度乗ったら2日くらい家に帰らないなんてザラでしたから(笑)。昔はお台場の周辺って何もなくて、土曜日の夜になると500台くらいクルマ好きが集まって、あーでもないこーでもないって朝までやってたんです。

乗り始めてすぐの頃はエンジンや外装をいじるのにハマっていたから『オプション』という雑誌に取材されて、掲載されたこともあったんですよ。次第にサーキットで走りたいと思うようになって、ライセンスを取ってレースに出るようになりました。

東京ディズニーランドで週5日でバイトして、給料はほぼクルマに消えていくという青春時代を送っていました。ちなみに、実は僕、ディズニーランドのオープニングスタッフだったんですよ。

―――えぇ!夢の国の!? すごいです!

なんか、セリカの時より反応がいい気が……。

―――い、いやいや!そんなことありませんよ!! と、ところで、走行性能はどんな感じですか?

  • セリカの内装

……。まぁ、話を戻して。このセリカは、1600GTといって、DOHCの2T-Gエンジンを搭載したモデルなんです。今はエンジンをノーマルに戻したこともあり最近のクルマに比べると遅いですが、MTだからエンジン回転を引っぱれるし、高回転でソレックスの吸気音、エンジンの振動など、セリカでしか味わえない魅力があるところも気に入っています。自分で操っている、という感じが強いんですよね。

―――運転すると、当時のことを思い出して、懐かしいと感じることはありますか?

  • セリカと湖

逆にずっと一緒にいるから、 懐かしいという気持ちはなくて、昔のエピソードなんかは友達に言われて「あぁ、そんなこともあったなぁ」と思い出すくらいです(笑)。

自分と同じように歳を取って、いつも一緒に走ってきたから、いるのが当たり前になっているんですよね。車検を切っていたこともあったけど、やっぱり乗りたくなってすぐ復活させたので、本当にずっと一緒にいるんです。

―――維持は大変ですか?

ボディ塗装が剥げてオールペンしたり、経年劣化はもろもろです。だけど運が良かったのは、仲間内で何とかしてくれたり、ホームセンターの商品で代用できたり、腕の良いショップに出合えたことです。おかげさまで、自分が乗れるうちはメンテナンスしながら乗り続けられそうです。

もしも乗れなくなってしまったら、大切にしてくださる方に譲るか、展示してくれる所でもあればそこに譲ろうかなとも考えています。

このクルマは自分にとって、なくてはならない存在なんです。ずっと一緒に走ってきたので、自分かセリカのどちらかが最期の時を迎えるまで、しっかりと見届けられればと思っています!

  • セリカのミーティング

これからも、こまめにメンテナンスをしながら乗り続けたいと話してくれたlariosさん。セリカは、lariosさんの生涯の伴侶といっても過言ではないでしょう。

(文:矢田部明子 写真:lariosさん提供)