シェアパーキング、スマートパーキングという駐車場の新しい潮流

多くのドライバーにとって、駐車場と言えば、目的地の近くに到着したので停めようと思ったけど、どこも満車で空いていない……そんな悲しい思い出をお持ちのことだろう。だが、そういった心配から開放される時代が来るかもしれない。これから登場する未来駐車場、シェアパーキングやスマートパーキングであれば、空車待ちや空車の駐車場を探して走り回る必要など不要になる。スマートフォンをさっと取り出して近くの駐車場を検索、キープすれば後は停めに行くだけだ。

民泊やライドシェアのような仕組みで、空いている駐車場を貸し出すシェアパーキング

シェアパーキングとはその名のとおり、駐車場をシェアする仕組みのことで、個人宅の使われていない駐車場や土地などを不特定多数のユーザーに有料で貸し出そうという仕組みだ。考え方は“民泊”や“ライドシェア”の考え方に近く、貸す側は使われていない土地、駐車場を使って稼ぐことができ、使う側はより多くの選択肢の中からより安価に駐車場を利用することができる。

自宅の駐車場を使わない時間だけ貸し出すシェアパーキング
自宅の駐車場を使わない時間だけ貸し出すシェアパーキング
空いている土地も駐車場として有効活用できる
空いている土地も駐車場として有効活用できる

利用者は自分のスマートフォンにアプリを入れておき、駐車場が必要になったときにアプリを起動して近隣の駐車場を指定し、利用時間を入力する。逆に駐車場を提供するオーナーも自分の駐車場のデータなどをあらかじめ登録しておき、提供する時間などを設定しておく。すると、これらの情報をコンピュータが自動でマッチングしてくれる仕組みになっている。決済はすべてネット上で可能で、利用者はアプリに登録しておいたクレジットカードなどで支払いができるので、面倒な現金での支払いも発生しないし、駐車場オーナーと直接やりとりする必要もない。

日本では「akippa」、「軒先パーキング」などのベンチャー企業が先駆けて取り組んでおり、コインパーキング事業で知られる三井のリパークなどの既存のコインパーキング事業者なども参入している。

akippaのシェアパーキングの仕組み
akippaのシェアパーキングの仕組み

日本のコインパーキングがスマートパーキングへと変わっていく

こうしたシェアパーキングは、世界中を見渡しても現状では日本が最も進んでいる。その最大の理由は、日本は国土が狭く、コインパーキングのようなシステムが独自に発展を遂げたからだ。コインパーキングは世界でもあまり例を見ない仕組みで、無人で車をロック板で発車できないようにすることでゲートの代わりにするという日本独特の駐車場だ。

コインパーキングには既にセンサーで入庫があったことを確認してロック板を跳ね上げるという仕組みが導入されている。つまり、センサーで駐車場に車が入っているのか入っていないのかを既に判別できるようになっている。このため、その機器をインターネットに接続できるようにするだけで、インターネットに空き状況を公開できるようになる。既に多くのパーキングは運営会社のコンピュータからリモートでそうしたことができるようになっており、あとはインターネットに公開するかどうかだけという状態だ。

既存のコインパーキングと組み合わせれば、事前に駐車枠を確保するといった使い方もできる
既存のコインパーキングと組み合わせれば、事前に駐車枠を確保するといった使い方もできる

また、現在コインパーキングの決済は文字通り「コイン」つまり現金で行なわれている。しかし、コインパーキングのセンサーやロック板がインターネットに接続されれば、決済はインターネットを経由してクレジットカードなどで行なうことが可能なる。そのように、インターネットを経由して空き状況を確認したり決済を行なったりできるパーキングのことをスマートパーキングと呼んでおり、既に日本にはそうしたスマートパーキングになり得る駐車場がそこかしこにあるという状況になっているのだ。

こうしたスマートパーキングのメリットは、何よりも駐車場を探して回らなくていいことだ。ドライバーの手元にあるスマートフォンを出して検索すればその周辺の駐車場が表示され、利用契約まですべてオンラインで済ますことができる。このため、空きがなくなってしまうかもしれないと慌てて運転していく必要も無くゆったりと駐車場に向かって止めるだけでよい。

スマートフォンやPCを使って今空いている駐車場を探したり、これから向かう先の駐車場を確保したりできる
スマートフォンやPCを使って今空いている駐車場を探したり、これから向かう先の駐車場を確保したりできる

世界でもスマートパーキングには大きな注目、将来は自動運転車と組み合わせた活用も

このため、今年に入り、コインパーキングに変わってそうしたスマートパーキングのサービスを開始する企業が増えてきており、そうした取り組みは日本だけでなく、世界中で始まっている。

例えば、スペインのバルセロナで行なわれているスマートパーキングの取り組みは、街中にある駐車場にセンサーを埋め込み、空き状況をリアルタイムに把握できるようにしている。このため、ドライバーは手元のスマートフォンを利用して空いている駐車場を探すことが可能になっており、バルセロナ市の駐車場収入が増え、渋滞解消にも一役買っているという。同じような取り組みはオーストラリアの首都キャンベラの近郊でも行なわれており、いずれも駐車場の利用率を引き上げるなどの一定の効果を出している。

こうしたスマートパーキングの延長線上にあるのは、自動運転車が自動で駐車場を発見しそこに停めに行くという未来だ。スマートパーキングでは常に空き状況をネットに対して公開しているので、自動運転車が自律的にネットから空き状況や料金などを参照しながら最適な駐車場を探し無人で駐車しにいく形となる。これにより、利用者は自動運転車から目的地の前で降りるだけでよい、そうした未来が実現することになる。

[ガズー編集部]

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