所有からシェアへと自動車所有の概念を大きく変える「カーシェアリング」
カーシェアリングとはその名のとおり、自動車をシェアする仕組みのことだが、現在行なわれているサービスは従来のレンタカーの延長線上にあるサービスになっており、ITを活用してレンタカーをより効率よく利用することが出来るようになる。それに加えて、個人が所有する自動車をシェアする取り組みも始まっており、自動車を所有するという概念を大きく変えていく可能性を秘めている。
レンタカーにITを応用してより便利に利用できるようにしたカーシェアリング
カーシェアリングとは、いわゆるレンタカーと呼ばれる自動車を時間で借りるサービスの進化形となる。レンタカーとの違いは、ITを活用して貸し出しや返却のプロセスをすべて無人化することで、効率を上げている点だ。
レンタカーの場合には、最近でこそ予約はインターネットで出来るなどITの利活用は進んでいるが、車を受け取るにはレンタカー会社の営業所に行って、対面での確認作業が必要になっており、それが終わってから車が利用者に引き渡される。返すときも同様で、利用者はレンタカー会社の営業所に車を持っていって返却して書類にサインするといった必要がある。
これに対してカーシェアリングでは、そうした作業をすべてITによりサービス化していることが大きな特徴になる。車を予約するときにはスマートフォンのアプリやPCから、自分の近くやあるいは希望の場所にある貸し出しステーションを見つけ、そのステーションにおいてある車の空き状況を確認して予約する。ステーションといっても、コインパーキングに設置されていることが多く、基本的には無人だ。
- 写真はタイムズカープラスのステーション、駐車場の一角などを使って提供され、営業所も受付スタッフもいない
予約した時間になってステーションにいくと、サービスによって異なるが、会員カードやスマートフォンで車を解錠することができる。解錠したらあとはエンジンをかけて乗っていく、その逆に返すときも、元あったステーションに持って行って駐車するだけと非常に手軽に利用できるのが最大の特徴だ。
- タイムズカープラス の場合、専用のICカードを車両に取り付けられたセンサーにタッチすることで解錠ができる。そのため、レンタカーのような対面での受付けは不要
カーシェリングによりレンタカーに比べて短時間でも真夜中でも利用できるようになる
カーシェアリングのメリットは、従来のレンタカーでは難しかった、より短時間のちょい乗りが可能になっていることだ。それを実現できている最大の理由は、すべてをITのサービスとして提供することで、従来は営業所で行っていた貸し出し、返却の手続きを省略できるためだ。
加えてもう1つのメリットとして、固定された営業所が必要ないため、24時間365日、途切れることなくサービスが提供できる。レンタカーで24時間365日サービスを提供するためには営業所を24時間営業にする必要がある。24時間離着陸ができる国際空港などではそうした例もないわけではないが、全体で見れば24時間の営業所の割合は多くはない。しかし、カーシェアリングでは、もともと無人なので24時間365日の営業が可能だ。
- タイムズカープラスの予約イメージ。手続きはすべてPCやスマホを使って行うため、24時間サービスが可能に
さらに進んだカーシェアでは、自家用車をシェアするという新たな取り組みも始まっている。DeNAが提供している「Anyca(エニカ)」などがそれにあたるが、個人が所有している自家用車を、オーナーが使っていないときに貸し出すという仕組みだ。企業が車のメンテナンスまで行なう通常のカーシェアリングに比べると、個人の車をシェアする場合にはより低コストで行なうことができるため、より低価格な料金でカーシェアリングサービスを提供できる可能性がでてくる。
自家用車を利用したカーシェアリングの普及で自動車の所有という概念が変わっていく
- Anycaの利用システム。車のオーナーと利用希望者をマッチングする。さらに決済から保険まで一括のサービスとすることで利便性と安全性を向上している
ホテル業界では個人宅をホテルとして提供する「民泊」という仕組みが注目されている。個人の車をシェアするカーシェアリングはその自動車版として考えることができるだろう。オーナーにしてみれば使わない間は停めているだけだった車を貸し出すことで、ちょっとしたお小遣いを稼ぐことができるというメリットがあり、ユーザーにしてみればカーシェアリングをより低価格で利用できるというメリットがあるため、現在大きく注目を集めており、カーシェアリングの進化形としての普及が期待されている。
今後はそうした個人が所有する自動車をシェアする形のカーシェアリングが普及していくと、自動車を投資として購入し運用する、そうした事例も増えていくだろう。実際、Airbnbなどにより提供されている民泊では、サービスイン当初は例えば長期間旅行に行く間だけ自宅を貸し出すといった事例が多かったが、現在では投資として物件を購入して民泊で収益を上げるなどの事例も増えている。個人によるカーシェアリングでも今後はそうした事例が増えていく可能性は高い。
- 個人間カーシェアなら、レンタカーには出回らないような希少な車をシェアするといった新しい市場が生まれる可能性も
このように、カーシェアリングは、自動車の所有という概念を大きく変えていく可能性を秘めている。
[ガズー編集部]
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