配車アプリがタクシーの乗り方の常識を変える!
タクシーに乗ろうとした時、幹線道路横で大きく手を振って「タクシー!」と叫んで止める。そんな光景はそろそろ見ることがなくなってしまうかも知れない。スマホを使ってタクシーを呼ぶいわゆる「配車アプリ」は、単にタクシーを呼ぶだけにとどまらず、さらにタクシーの利便性を向上させる可能性を秘めている。
- スマホのアプリを使ってタクシーを呼ぶ配車アプリは、タクシーの利便性を向上する
タクシーの配車アプリを使ったことがあるだろうか? 従来であればタクシー会社に電話をして、住所を伝えて配車してもらっていたところを、スマホアプリを使う。単に電話の手間が減るだけではなく、たとえば出先で正確な住所がわからなくても、スマホのGPS情報を使って、今いるこの場所にタクシーを呼ぶことができる。
さらにスマホに決済方法を登録しておけば、降りる際に直接支払いをする必要もない。スマホで呼んで、配車されたタクシーに乗って降りるだけ。さらに最新のサービスでは、アプリで事前に入力した目的地が自動でタクシーのカーナビに登録されるため、ドライバーに目的地を伝える必要さえもない。これほど今のテクノロジーを使ったタクシー利用は便利になってしまっているのだ。
ここ最近多くの配車アプリが登場しているが、中でも全国に展開していて、アプリダウンロード数、利用者数もNo.1の「JapanTaxi(ジャパンタクシー)」アプリを開発したJapanTaxi株式会社で最新のタクシー活用方法やその背景について詳しくうかがってきた。
全国47都道府県でタクシーが呼べる配車アプリ
タクシー配車アプリの「JapanTaxi」。最近はTV CMなどでもおなじみなので、名前を聞いたことがある人も多いだろう。「JapanTaxi」という名前を使い始めたのは2018年9月からだが、実はその以前から「全国タクシー」という名前でアプリを展開していた。その名のとおり全国のタクシー会社と提携していて、全国47都道府県で使うことができるが、さらなる機能アップとともにブランド力を高めるために、「JapanTaxi」という新たなアプリ名でリスタートを切っている。
- ダウンロード数、利用者数ともにNo.1の配車アプリ「JapanTaxi」
このアプリを制作運営しているのは、アプリと同じ名前のJapanTaxi株式会社。この会社、もともとはタクシー会社である日本交通株式会社のシステム開発などを請け負う子会社として始まったとのこと。2011年1月、最初は日本交通専用の配車アプリとしてアプリを開発したが、他のタクシー会社からもそのシステムを使いたいと言う声が上がったため、2011年12月には全国のタクシー会社と提携した「全国タクシー」をリリースした。
○「JapanTaxi」アプリ
URL:https://japantaxi.jp/
ちなみに「全国タクシー」から「JapanTaxi」に生まれ変わったのは、2020年の東京オリンピックなども踏まえ、日本人だけでなく訪日外国人にとっても使い勝手のいいユーザビリティを持ったアプリを目指したからだと言う。
- JapanTaxi株式会社 取締役 常務執行役員/CMO 金 高恩氏
「日本初となった配車アプリ「日本交通タクシー配車」はタクシー会社にとっての使い勝手のいいアプリとしてスタートしました。その後、配車アプリを徐々に進化させていくなかで、「JapanTaxi」アプリは利用者の観点に立った、使いやすさにこだわったアプリへと進化しています。弊社の目標は“移動で人を幸せに。”することです。タクシーを呼び出してから支払いを済ませるまで、ストレス無く利用できる形を目指しています。「JapanTaxi」というネーミングは社名と同じですが、日本のタクシーを呼べるアプリという分かりやすさにもなっていると思います」とはJapanTaxiの金氏。
ちなみに「ジャパンタクシー」という読みでのネーミングは、トヨタ自動車のユニバーサルデザインタクシー車両「JPN TAXI」と同じになるが、特に関連性はない。都内で「JapanTaxi」アプリを使って呼び出すと、トヨタ自動車のジャパンタクシー車両が来たりすることがあって、ちょっと混乱するが、必ずこの車両で迎車されるアプリということではないので勘違いしないようにしたい。どちらも日本を代表するタクシー関連のネーミングということで選ばれている。
- 「JapanTaxi」アプリとトヨタの「JPN TAXI」は別もの。ただし「JapanTaxi」アプリで呼んだら「JPN TAXI」が来ることもある
タクシーを呼ぶだけじゃない、降りるまでをスマートにする配車アプリ
さて、まずはとにかくアプリを実際に使って、どのような手順なのかざっと見てみよう。アプリを起動するとシンプルに現在地周辺の空車タクシーが動きまわる様子が表示される。アプリ内の「ネット決済」に決済方法を登録し、マップに乗車位置を指定することから始める。後は画面に従っていけば、実際にタクシーが目の前に現れる。
アプリは以下のリンクからダウンロードしよう。呼び出してタクシーを利用すれば運賃や迎車料金は当然かかるが、アプリの登録も含め利用自体は、決済機能も含め無料で課金されることはない。
○Android
URL:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.nikko_data.japantaxi
○iOS
URL:https://itunes.apple.com/jp/app/id481647073?mt=8
アプリを起動するとシンプルに現在地周辺の空車タクシーが表示される。黒と黄色は、実際のタクシーの色と合致していて、リアルタイムに動いている
アプリ内の「ネット決済」から、クレジットカードもしくはモバイル決済サービスなどを選択して、決済方法を登録しておく。d払い、Yahoo! ウォレットなどの決済にも対応している
ネット決済はApple PayやGoogle Payにも対応する。支払い方法は複数の登録も可能だ
タクシーを呼ぶ位置にピンを立てる。基本的にはスマホのGPSに頼ればよいが、ビルの合間などで位置がずれることもあるのでそこは注意。日時を指定した「予約」配車もできる。アプリからの予約なら予約料金がかからない。
降車する位置を指定する。こちらは乗車後に口頭で変更もできるので、おおよそでも構わない。また、降車場所は入力しなくても先に進めるが、設定しておけば、後の画面でおよその運賃が表示される
タクシー会社を選択する。ネット決済対応かどうかが判別できるので、アプリのネット決済を使うつもりなら表記がある会社を選ぶ
好みに応じて車種の選択ができる。黒タク限定で選びたい時に重宝する
ここで予想ルートとおおよその運賃が表示される。加えてタクシー会社によって異なるが迎車料金が加わる。また、車内での支払いやりとりを省くには、この画面でネット決済方法を選択しておく必要がある。
近くの空車タクシーを検索中
混んでいてタクシーが捕まりにくい場合には、別料金の「ビジーチケット」を使うことで、検索エリアを広げることもできる。待ってもいいから絶対に呼びたい時に使う
向かっているタクシーの位置をアプリ上で確認できる。あくまでも目安だが、到着予定時刻が表示されているので安心できる
タクシーには無線番号が、車体横や社名表示灯に書かれているので、それで自分が呼んだタクシーなのか判別する。ドライバーからは名前で確認される
タクシー内には、乗客向けタブレット機器がある。機器によっては、タブレットを使ってクレジットカードや電子マネーをつかった決済もできる。ネット決済を使わなかった場合や、道や乗り場から乗車した際も手軽にキャッシュレスで支払いができる。
扉やリアウィンドウに対応可能な支払い方法のアイコンが並ぶ(現在は写真よりも多くの種類に対応している)
今回の場合、アプリでネット決済をしているので、乗車中のタブレットには「ネット決済済み」と表示されていて、支払いに関して特になにも操作する必要はない。到着時に金額の確認をしてレシートを受け取るだけだ。レシートを受け取らず、JapanTaxiのサイトから領収書をダウンロードすることも可能だ。
使ってみて分かるのは、とにかく安心感があってスムーズだということ。
タクシーを呼ぶ前におよその運賃(正確な運賃は実走行時に決定、迎車料金も追加される)が分かるので、タクシーに乗ってからメーターの動きにドキドキすることもないし、グループで割り勘するなんていうシーンでも、呼ぶ前にメンバー同士での理解が得やすいだろう。
電話で呼ぶと実際に向かっているのか、いつ到着するのかヤキモキしながら待たなければならないが、予定時間が表示されて向かってくるタクシー位置もマップで分かるので、気持ちに余裕ができる。また、タクシー会社によっては、スマホで入力した目的地がナビに登録されているので、乗車してから道を細かく説明したり、住所を伝えてナビを設定したりする必要がないのも便利だ。
降車時にも、最初にアプリでの決済にしておけば、到着後に財布を出す必要もなく、レシートをもらうだけで降車できる。すべての流れがスムーズだ。
アプリで配車した時以外でも利便性を上げる
ただし、こうした利便性が味わえるのは「JapanTaxi」アプリを使って配車した場合。例えば駅前にいた空車のタクシーに乗車したり、道でタクシーを捕まえたりした場合は、降車の際に現金やクレジットカードでの支払いが必要になる。
そこでJapanTaxiでは、「JapanTaxi Wallet(ジャパンタクシー ウォレット)」と呼ばれる決済機能を開発した。車載の広告タブレットを搭載したタクシーの場合、乗車中にタブレットに表示されたQRコードをアプリで読み込むことで、「JapanTaxi」アプリを使った配車じゃなくても、ネット決済の機能が利用できる。現在タブレットは、東京では日本交通車両・帝都自動車交通車両の全台に対応しており、全国8都市で展開中だ。
- 「JapanTaxi Wallet」を使えばQRコードを読み取るだけでその乗車の支払いを移動している最中に決済できる
この決済機能を使うと、移動している最中に決済を済ませてしまうことができるので、アプリで配車した場合と同様、到着してからの支払い手続きの必要がない。
到着前に決済すると言う部分に違和感を覚える人もいるかもしれないが、これはネット通販などでは普通に行われていること。例えばメーカー取り寄せ品をネット通販で購入した場合、決済手続きはネット画面の購入時に行っているが、実際に支払いが行われるのは、商品がメーカーから納入され、発送されるタイミングだ。
なお、到着前に決済できるのは「JapanTaxi Wallet」のみだが、ほかにもクレジットカードや交通系IC、電子マネー、Origami PayやLINE Pay、海外のWeChatPay、AlipayといったQRコード決済も利用できる「決済機付きタブレット」を順次拡大中だ。「JapanTaxi」アプリを使っていない人も含めて、タクシーの利便性を向上するのがJapanTaxiの課題なのだ。
- タクシーに積まれているタブレットの種類にもよるが、「JapanTaxi Wallet」以外にも、クレジットカード、交通系ICカード、電子マネー、QRコード決済などに対応する
- 「決済機付きタブレット」は、タブレット自体がリーダーになっていて、利用者がクレジットカードを挿したり交通系ICカードなどをタッチしたりして決済を済ませることができる
また、世の中には他にも多くの配車アプリがあるが、「JapanTaxi」アプリならではの特徴として、予約や「空港定額」というサービスがある。「空港定額」は空港と対象のエリア間を定額料金で予約利用できる。アプリ内から空港と便名から指定できるのも、間違いがなく分かりやすい。空港発の場合は、便名指定しておけば、万が一飛行機が遅延した際も自動的に予約をずらしてくれる。1ヶ月前から1時間前までの間で予約が可能。荷物の多い空港移動にはありがたいサービスだ。
- 「空港定額」という、エリア内と空港を定額運賃で移動できるサービスをアプリから予約できるのも「JapanTaxi」アプリの特徴だ
混んでいるエリアや時間帯にタクシーを呼んだ際になかなか来ないとか、そもそも配車されないという経験もあるはずだ。こういった混雑時、東京の場合は、手順画面でも紹介したように、オプション料金の「ビジーチケット」を使って検索エリアを広げるという対応ができる。このチケットは今スグ来るというよりも、確実に乗りたいというニーズに対応している。また、そもそも「JapanTaxi」アプリは多数のタクシー会社を検索できるので、単独のタクシー会社に電話をかけるよりも配車できる車両数も多く混みにくいことが予想される。事前に呼ぶ場所と時間がわかっていれば、予約という確実な手も選べる。
タクシー需要を予測することで配車自体の効率化を目指す
このように様々な機能を持つ「JapanTaxi」アプリだが、やはり一番のニーズは「できるだけ早くここにタクシーを呼びたい」というもの。その課題に答えるには、いかに効率よく配車できるかが重要なのは想像に難くない。
- JapanTaxi株式会社 取締役/CTO 岩田和宏氏
そこで、JapanTaxiでは配車アプリ提供だけでなく、ドライバー側に必要な情報を表示する「配車支援システム」も開発している。「これにはトヨタ自動車やKDDIも協力してもらっていて、たとえば曜日、時間、天気、あるいはライブなどのイベント情報、さらに携帯電話から得た人の移動情報を元に、今後タクシーの需要が高まるエリアを予測、さらに周辺にいる空車タクシーの台数も踏まえた上で、今から空車タクシーが向かうべき場所をドライバーに提案します。これは今までドライバーの経験や勘に頼っていた部分です」とJapanTaxiの岩田氏。
現在は実証実験中で、例えばタクシーの需要が高いエリアや当日の近所のイベント情報などは、すでに提供しているという。こうした技術が進むことで、混んでいてタクシーが配車できない状態は減少するだろうし、配車の待ち時間も短縮されるだろう。また、スマホアプリ側にも混雑度表示のような機能も付けていきたいとのことだった。呼ぶ前から需要の多さが分かるのはありがたいこと。何も知らないで待つのとは、気持ちの持ちようが違ってくる。今後も徐々に進化が期待できそうだ。
- 現在実証実験中の「配車支援システム」の画面。今後タクシー需要が増える場所をAIで予測して、マップに表示している。さらに近くのイベント情報なども表示。これをドライバーが見て効率的に動けるようにする
個人的には、近距離でタクシーに乗るのは気が引けると思っていたのだが、「短い距離でも頻繁に利用してもらいやすいように、この仕組みを作っているので、近場の移動でドンドン利用してください!」と力強く答えていたのが印象的だった。バブル時期には短距離移動で1万円札を出して、ドライバーに嫌な顔をされた経験ももう昔話。そんな心配はもう無用。アプリ内ですべてが完結している。
以前アメリカでライドシェアサービスの「Uber」を利用したことがある。こちらの場合は呼び出すのがタクシーではなく一般のドライバーという点が日本の配車アプリとは異なるが、スマホアプリから位置指定で呼び出せ、目的地も設定できるというアプリの機能は「JapanTaxi」アプリとほぼ同じ。
実際に使ってみると、英語が苦手な筆者でもほとんど英語をしゃべることなく正確に目的地に行けるサービスに感動した。逆に見れば、これからさらに増えるであろう訪日外国人にとっても、「JapanTaxi」アプリは使い勝手のよいサービスになることだろう。ちなみに「JapanTaxi」アプリは、Googleマップとも連携している。そのため、Googleマップで目的地までのルートを検索したら、経路検索結果からそのまま「JapanTaxi」アプリに飛んで配車をすることができるのだ。
ちなみに気になるアプリの利用状況だが、日本交通ではすでに迎車の7割が「JapanTaxi」アプリからの呼び出しになっているとのこと。やはり年配の方など、従来の電話での配車もこれまでと同じぐらいあるそうで、純粋にアプリによって増えた数字ということになる。ネット決済やJapanTaxi Walletが利用可能なエリアやタクシー会社も急速に拡大中(※)。おそらくスグにあって当然のサービスになっていくはずだ。日本全国の移動をラクにする。まさにコレが実現できているタクシー配車サービスだと感じた。もしまだ未体験なら、ぜひ使ってみて欲しい。日常の移動方法が変わるかも知れない。
※ JapanTaxi Walletエリア詳細はこちら
URL:https://japantaxi.jp/wallet/#area
[ガズー編集部]
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