トヨタ 水素エンジン ハイエースをオーストラリアの公道で実証実験開始
実証実験の場としてオーストラリアが選ばれた理由は、オーストラリアは水素が豊富で水素輸出大国を目指している国、そして様々な道路環境があるからだ。
スーパー耐久では、川崎重工の水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」号がオーストラリアから水素を運搬(輸入)し、ST-Qクラスの32号車ROOKIE Racingの水素ヤリスがこの水素を利用することもあった。
水素ハイエースのベース車はタイで2019年から生産し新興国向けに販売されている海外仕様のハイエースとなる。このベース車のV6エンジンをスワップすることなく水素燃料用にカスタマイズし、水素タンク3本など搭載し、水素エンジン搭載仕様に変更したクルマなのだ。車両重量は多少増えているそうなので、足回りは変更されていると思われる。ベース車となる海外仕様のハイエースに乗ったことが無いためベース車と比較はできないが、水素ハイエースはトルク重視の低回転型であり、エンジン振動の少ないディーゼル車にフィーリングは似ていた。アイドリングは安定し、不快感は全くない。そのためドライバー、乗員がこのクルマに乗車しても、燃料が水素なのか従来燃料であるかを判断するのは困難だろう。
一般的にショートストロークエンジンは高回転型、ロングストロークエンジンは低回転型エンジンと言われている。このV6エンジンはショートストロークであるが、設定で低回転型にしている。なお、スーパー耐久で走っているST-Qクラスの32号車ROOKIE Racingの水素カローラのエンジンは、レースカーのエンジンのためショートストロークであり、その特性を活かすように高回転型の設定になっている。
この水素ハイエースは、スーパー耐久の現場で水素エンジンを鍛えてきたから、このクルマの準備に約1年という短期間で実証実験に移行できたみたいだ。そして将来の実用化に向けて、利用者に使ってもらい実用性、運転操作性、耐久性などの開発を進めていく段階に入ったと理解して良さそうだ。
しかし規制、コストなどの課題により水素ステーションの数が思ったように増えず、インフラに課題があるのが水素燃料。インフラに課題があると、水素カーは普及しない。しかも、自動車メーカーは1万台/年間販売しないと車両開発のコストペイが難しくなる。販売台数が少なくなると、市場が期待する価格と販売価格を同じようにするために、戦略的な価格設定が必要になるが、赤字になってしまう。その結果、政府にサポートをお願いする必要もあるみたいだ。
トヨタの中嶋副社長は、「インフラ設置の費用が高いのですが、水素の利用量が多くないと、インフラへの投資ができないと聞いている。この量が大事で、カーボンニュートラル社会を実現するためにCo2排出量をどんどん下げ、乗用車が上手くそのインフラを活用し、ひろがっていく構造にしたい。」と述べ、将来の夢は、「エンジンを水素エンジンに変更するレトロフィット」だと語った。
水素エンジンの開発は、21年にレースの現場を利用した開発を開始し、2年という短期間で市販化も想像できる車種が登場した。今後、インフラや関連法律の整備が少しづつ前進し始めれば、国内の公道で水素エンジン車が走る姿を意外と早く見ることができるようになるもしれません。
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トヨタ自動車 中嶋裕樹副社長
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水素エンジンハイエースのエンジンルーム
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水素エンジンハイエースに搭載している水素タンク(3本)
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水素エンジンハイエースに貼られている車載容器総括証票
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水素エンジンハイエースのダッシュボード上にある水素インジケーター
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水素エンジンハイ―エスの開発者たち
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水素エンジンハイエースのアグレッシブな走り
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水素エンジンハイエース
(GAZOO編集部 岡本)
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