2024年TOYOTA GAZOO Racingがスーパー耐久を走らせる3台の参戦車両
TOYOTA GAZOO Racingの高橋プレジデント、小川主査が3台の参戦車両の参戦意義、車両概要について説明をした。
市販化したGR YARIS DATを鍛える
このDATは「より多くの方に走る楽しさを提供し、モータースポーツの裾野を広げたい」というモリゾウの想いの下、「幅広いドライバーがスポーツ走行を楽しめ、レースでMTと同等に戦えるAT」を目指し開発した8速ATだ。
しかしDAT は4月に発売になったばかりで、まだ作りたてのホヤホヤだが、モータースポーツの多くのフィールドではこれから色々使われていくものだ。そのため、しっかり鍛えていく必要がある。これこそGR YARIS DATがスーパー耐久に参戦している意義であり、スーパー耐久の場ではパワトレや駆動系を特に鍛えるとのことだ。
高橋プレジデントによると、ATをレースで使用すると、シフトチェンジが激しく油温が上がるので、油温を下げることが必要なため、S耐の場で勉強をするそうだ。その成果として、市販したGR YARIS DATでモータースポーツを楽しむお客様に、ATフルードの油温をさげるためのアフターパーツを提供したい考えているそうだ。またDAT制御のアップデート、新開発LSD、新開発カーボンパーツ(ドア、フェンダー、バックドア)なども進化させているとのことだった。
GR86 CNF Conceptはエンジンの排気量をアップ
市販車のGR86に搭載されているエンジンは、スバルが開発した水平対向2.4L4気筒エンジン。昨年のGR86 CNF Concept は、GRヤリスRZに搭載している1.6L直列3気筒インタークーラーターボ付エンジン(G16E)をショートストローク化して1.4Lにダウンサイズして搭載していた。その目的は小排気量の方が扱いやすいが、排気量を下げた時に課題となる、過給機付きエンジンのレスポンス、カーボンニュートラル燃料の燃焼問題などについてスタディをするためだった。
今年は、排気規制とスポーツカーの両立を図るために、燃焼問題が1.4Lよりは厳しくない1.6Lでスタディをしていくそうだ。GR86のネックであるミッションは、トルクが大きくなることも考慮し、欧州のISの大容量ミッションをベースに中身を入れ替えて搭載しているとのことだ。
ボデーは、昨年まで継ぎはぎした開発用ボデーであったが、今年はボデーを量産ラインと似た生産工程で製造したボデーに一新している。思い出すと、今から2年前にGR86はスーパー耐久への参戦を見送ったことがあったが、その時はGR86の課題に対してパッチ当てをしており、もぐら叩きのような状態であったため、クルマ全体を知るために必要となる期間だったと教えてもらった記憶がある。そのような取り組みの結果、GR86というクルマの特性を理解でき、新しいボデーを造ることができたのかもしれない。新ボデーは、エンジンの搭載位置を低く後方に配置できており、ボデー剛性をUPさせているとのことだった。
GR86 CNF Conceptの2024年の目標は、次期GR86を検討しているフェーズであるため、パッケージ変更による嬉しさの確認及び量産を見据えたパワトレ強化となる。
GR Supra Racing Conceptはプロもアマも速く走れる車両づくり
今回参戦していない水素カローラについては、富士24時間耐久への参戦を予定しており、昨年から多くの改良を施してくると想像される。昨年は燃料ポンプの交換に多くの時間を割いていたので、燃料ポンプ交換がポイントになってくるだろう。このように、今年もST-Qクラスの各車は、クルマ好きや未来のクルマ社会をつくるために、スーパー耐久に参戦しアジャイルに開発を行っている。当分目が離せない状況が続きそうだ。
(GAZOO編集部 岡本)
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