「楽しくてしょうがない!」。近藤真彦“選手”が水素エンジンのGRカローラで16年振りにスーパー耐久に参戦!
富士24時間レースでは、毎年サプライズともいえるドライバーの参戦があるのも楽しみの一つ。そうした中、今年の一番のサプライズはスーパーフォーミュラを運営するJPR(Japan Race Promotion)の会長を務め、自身も日産系チームのオーナー、監督として参戦する近藤真彦“選手”の参戦だろう。
その参戦の経緯や、久々にドライバーとして復帰した感想などを語った記者会見の様子をお届けしていこう。
レースの醍醐味はヘルメットを被ってサーキットを走ること
「さっきも往年のドライバーの方たちとお話をしてきたんですけども、いい歳してね、ヘルメット被ってなんでまだレースやってんのかなと、もうやめればいいじゃんとか思っていたんです。でもいざ自分がヘルメットを被ってこの歳で乗ってみたらこういうことなんだ!と。僕はオーガナイズをやったりとか、チームのオーナーをやったり、レース関係の仕事をたくさんやっているんですけども、やっぱり一番のレースの醍醐味は、ヘルメットを被って、ハンドルを持ってサーキットを走ることなんだなっていうのを改めて一昨日、昨日で感じまして、本当に楽しく週末を過ごさせていただいてます」
今回の参戦の経緯は、定期的にモリゾウ選手こと豊田章男会長と今後のモータースポーツの流れについて話をしているというが、その雑談の中で「マッチ、うちのチームでスーパー耐久を走ってみないか」という話から始まったという。
日産やニスモからも「ぜひ盛り上げてきてほしい!」という話があったり、日産のロゴの入ったスーツで参戦することもモリゾウ選手より「当然だよ!」という話があるなど、メーカーを超えた協力体制があったこともスーパー耐久らしいエピソードだ。
ちなみに、今回20年ぶりくらいにヘルメットもレーシングスーツも新調するにあたり採寸、「ウエストが2cm増えた」とはいうものの、抜群のスタイルは現役時代と大きな変化はないようだ。
言われなければ水素エンジン車だって分からないくらい完成度が高い
「僕が乗せてもらっているのは、もう相当完成されてきた水素のエンジンだなと思っています。1年、2年前は相当ご苦労されたんじゃないかなと思いますが、今では完成度の高いガソリンエンジンにも本当に匹敵するぐらいのパワーと音もそうですし、バランスも素晴らしく完成度が高いと感じています。
乗る前は水素で走るクルマなのでパワーは全然期待していなかったし、音も期待していませんでした。ところが、テストで乗ったら、もうガソリンエンジンと全く変わらないぐらいのパワーと音。あと、ちょっと車重が重いのでバランスも不安だったんですけど、1コーナーに入る時は100メートル手前でブレーキ踏んでもきっちり止まってくれるし、クルマのバランスは素晴らしいと思います。乗ったイメージとしては、これ水素のクルマだよって言われなかったらわからないぐらいの完成度だと思います」
モリゾウ選手は忖度なしに速い
これまでも、モリゾウ選手と小倉康宏選手、ヤリ-マティ・ラトバラ選手のガチンコバトルは記憶に新しいところだ。
「いい年をしたおじさん同士がチーム内でいかに速く走るかということで、モリゾウさんに『俺より早く走れ』とみんな煽られています。このチームに参加したのは初めてなんですけど、さすがにトヨタの会長ですから『素晴らしい』『速い』っていうことを言っている周りの人がいて、何を忖度してるんだと思っていました。
でも、ぶっちゃけ、本当に速いんですよ。本当に驚きました。クルマに乗ることにすごく興味があって、それで勉強熱心で、本当に章男会長の速さに、村度なしに驚かされています。このレース中にあのタイムに追いつくかどうかっていうのは、ちょっとわからないですね。今、コンマ何秒か負けてますので」
僕は2シーターのクルマにこだわる
「僕、子供の頃からスポーツカーが好きなんですね。最近のファミリーの人たちはファミリーカーに乗りすぎだと思っています。逆にいうとメーカーが売れるからファミリーカーを作りすぎかなと。子供に車の絵を描いてもらうと、今の小学生、中学生ってワゴン車を描くっていうんですよ。僕らが子供の頃にはフェラリーとかカウンタックとかを書いたもんですけどね。
だから、もっともっと自動車メーカーにはスポーツカーとかツーシーターを出してもらいたい。そうすればクルマ離れもなくなっていくんじゃないかなと。もちろんファミリーカーは便利だけど、僕はツーシーターにこだわっていきたいですね。
楽しくてしょうがないので来年も乗りたい
「日本にはスーパーフォーミュラ、SUPER GT、スーパー耐久とスーパーの付くレースカテゴリーが3つあって、色々切磋琢磨して、日本のモータースポーツがすごく盛り上がっていけばいいなと思います。僕はスーパーフォーミュラのJRPの会長なので、1番盛り上がらなきゃいけないのはスーパーフォーミュラだと思いつつ、このスーパー耐久は本当に楽しい。
僕はもう今更スーパーフォーミュラには乗れないですが、こうしてスーパー耐久に参戦させていただき、自分で運転して、サーキットを1周、2周と走っていくのが楽しくてしょうがないです。もう早くレースがスタートしてくれないかなっていう気持ちです。できたらまた来年も、もうROOKIE Racingとはいわなくても、どこかのチームに乗せていただきたいなと思います」
これだけ往年のレーサーを夢中にするスーパー耐久。こらからも他のカテゴリーやメーカー間の垣根を超えた、スーパー耐久ならではのサプライズなドライバーの参戦を期待したい。
(文:GAZOO編集部 山崎)
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