激闘のWEC開幕戦スパ、TOYOTA GAZOO Racingの8号車GR010 HYBRIDがデビューウィン! 7号車も3位に

5月1日(土)、2021年のFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦となるスパ・フランコルシャン6時間の決勝レースが行われ、新型ハイパーカー「GR010 HYBRID」で挑んだTOYOTA GAZOO Racingの8号車がデビューウィン! 7号車も3位に入り2台ともに表彰台に登壇した。

ベルギーにある伝統のサーキット、スパ・フランコルシャンで迎えたWEC開幕戦は快晴の下決勝レースが行われた。スタート直後はポールポジションのGR010 HYBRID7号車コンウェイがスタートを決めトップをキープ、そのすぐ後にブエミの8号車GR010 HYBRIDが続く展開。その後8号車は11周目に7号車に先行し首位に浮上する。
2台のGR010 HYBRIDが首位を争う後方からは、一時6番手まで順位を落としたライバルの36号車アルピーヌA480が3位まで浮上し追走していく。
最初のピットストップでは、先にピットインしたコンウェイの7号車がピットアウト時に手間取りタイムロス。
翌周にピットへと向かった8号車は、今季より新たに導入された給油時には最低35秒間給油ノズルが刺さっていなくてはならないという規則よりも早く給油ノズルを抜いてしまったことで、次のピットストップ時に30秒間停止のペナルティを科されることとなった。

次のピットインで7号車はコンウェイからロペスへとドライバーチェンジし、その間にアルピーヌ36号車がトップに浮上。30秒のペナルティを消化した8号車は、ハートレーへと交代し3位で続く。 

ピットストップの度にトップが入れ替わる白熱のトップ争いの中、7号車のロペスが91号車のポルシェ911と接触、フロントカバーにダメージを負ってしまう。さらに7号車は小林可夢偉がドライブする終盤に、コースオフを喫しグラベルエリアでストップ。その後オフィシャルの車両によりコースへと復帰したものの、接触によるドライブスルーペナルティも科され優勝争いからは脱落してしまうことに。 

いっぽう、ハートレーから8号車を引き継いだ中嶋一貴が首位の36号車との差を詰めていき、最後のピットストップでブエミへと交代。アルピーヌ36号車が8号車よりも1回多くなる最後のピットストップを行いその間にトップに浮上した8号車が、そのまま着実に周回を重ね1分7秒196差でトップチェッカー。7号車は1周遅れの3位でフィニッシュした。 

GR010 HYBRIDの勝利により幕を開けたハイパーカーによるバトル。次戦は来月、WEC初開催となるポルトガル、ポルティマオで8時間レースとして開催される。 

WEC第1戦スパ6時間 決勝結果(総合順位)

1位 No.8 HYPERCAR
セバスチャン・ブエミ
中嶋一貴
ブレンドン・ハートレー
TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID
162Laps

2位 No.36 HYPERCAR
アンドレ・ネグラオ
ニコラス・ラピエール
マシュー・バキシビエール
アルピーヌ・エルフ・マトムート/アルピーヌ A480-Gibson
162Laps/1:07.196

3位 No.7 HYPERCAR
マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ホセ・マリア・ロペス
TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ GR010 HYBRID
161Laps/1Lap

4位 No.22 LMP2
フィリップ・ハンソン
ファビオ・シェーラー
フィリペ・アルバカーキ
ユナイテッド・オートスポーツ/Oreca 07-Gibson
161Laps/1Lap

5位 No.38 LMP2
ロベルト・ゴンザレス
アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ
アンソニー・デビッドソン
イオタ/Oreca 07-Gibson
160Laps/2Laps

6位 No.28 LMP2
ショーン・ゲラエル
ストフェル・バンドーン
トム・ブロンクヴィスト
イオタ/Oreca 07-Gibson
160Laps/2Laps
村田久武(TOYOTA GAZOO Racing WEC チーム代表)

今日のレースは、チームにとって予測のできないドラマチックな展開になりました。ハイパーカーが新たな時代の競争の激しいカテゴリーとなり、世界中のファンの皆様の期待に添えられることを望んでいました。今後も接戦が多くみられる、エキサイティングな展開となることを望んでいます。 世界的に大変な時期にもかかわらず安全にレースできる機会を与えてくれたWECとレース主催者に感謝いたします。我々はいくつかの難しい問題に直面しましたが、メカニック、エンジニア、またドライバーたちの大変な努力のおかげで、表彰台の中央で耐久レースの新時代を迎えることができました。レースウィーク中も困難な状況が多数ありましたが、チームは決してあきらめない姿勢を貫きました。実際に可夢偉は、コースを外れ、グラベルにスタックしてしまった後も、わずか数周でトップ車両を追い抜き、この姿勢を体現してくれました。今日のレースは、我々の次世代レーシングハイブリッド技術の力強いスタートになりましたが、引き続きGR010 HYBRIDの改善を続け、学び続けていきます。 今回スパ戦は、決して順風満帆なレースウィークではありませんでしたが、ただ、改善すべき点を浮き彫りにできたので、次戦前、特にル・マン前までにしっかり対応をしていきます。

小林可夢偉(GR010 HYBRID 7号車)

スタートは良かったのですが、厳しいレースになってしまいました。コースアウトした際、タイヤをロックさせてしまいましたが、車両を何かにヒットさせることは避けられました。不運にもこの時にグラベル上で動けなくなってしまい、レスキューカーにコースに戻して貰うまで待たなければなりませんでした。それまで我々のペースは良く、十分に勝利を狙える位置にいただけに残念です。今日は幾つかのトラブルがありましたが、まだまだGR010 HYBRIDの性能を最大限に引き出すための学習途上だと言うことがわかりました。いいパフォーマンスを示すことはできたと思いますが、幾つかまだ改善すべき点が残っています。

マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID 7号車)

レース中盤まではとても順調だっただけに、このような結果に終わりとても残念です。幾つかのトラブルに見舞われ、優勝争いからは脱落してしまいました。ドライブスルーペナルティだけなら取り戻せた可能性もありましたが、可夢偉のコースオフで周回遅れになってしまったことで表彰台が精一杯でした。我々はディフェンディングチャンピオンとして勝利でシーズンのスタートを切りたかったので、残念な結果ですが、みんな良くやってくれました。素晴らしいパフォーマンスを見せた8号車と、GR010 HYBRIDのデビュー戦で勝利を勝ち取るに値する仕事を成し遂げたチームに祝福を贈ります。

ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID 7号車)

まずチームとしての結果には満足しています。最初から決勝まで、浮き沈みの激しいレースウィークでしたが、重要なのはシーズンの開幕戦で、2台が表彰台に上がり、TOYOTA GAZOO Racingが勝利を挙げられたということです。8号車は素晴らしいレース展開をしていました。我々7号車は、十分に勝てるペースだと感じており、レースでも序盤はやや優位に戦えました。しかし、幾つかのアクシデントでそれを失ってしまいました。GTカーとの接触は後悔しています。とても難しい状況でした。今日の結果からは学ぶべきことが沢山あります。我々には今日のレースで勝てるスピードがあったということをポジティブに受け止め、次戦以降も頑張ります。

中嶋一貴(GR010 HYBRID 8号車)

TOYOTA GAZOO Racingのハイパーカーでの最初のレースで勝てたことを誇りに思います。我々はチームとして決勝レースで本当に良い仕事ができたと感じています。チームと全てのクルーと共にこの勝利を祝いたいと思います。なかなか一筋縄ではいかないレースでしたが、ドライバーとしてやるべきことをこなしました。コース上での追い抜きは非常に難しく、ミスをしやすい状況で、アルピーヌや何台かのLMP2カーといった強力なライバルと戦うのは容易ではありませんでした。そんな中で、ミス無く自分たちの役割を上手くこなすことができ、満足しています。一時はどうなるかと思っていただけに、素晴らしい結果です。

セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID 8号車)

ハイパーカー時代の最初のレースで勝つことができて最高の気分です。このレースに臨むにあたっての、我々へのプレッシャーは大変なものでした。7号車がポールポジションを獲得し、8号車が勝てたというのは素晴らしいことですし、我々がそれを成し遂げられて本当に嬉しいです。この大変な挑戦に向けて、チームはこの数週間ハードワークをこなし、多くのテストを重ねてきましたが、その全てがこの勝利で報われました。しかしまだまだ多くの面で改善が必要なことも分かっており、まだスタートは切られたばかりです。やるべきことは沢山あり、すぐにでも戻って作業を始めなければなりませんが、今日は少しだけ勝利を祝いたいと思います。

ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID 8号車)

この新たなハイパーカー時代を勝利でスタートすることができて素晴らしい気分です。挑戦無くしてこの結果はありませんでした。ドライバーとしてはとにかくミスを犯さないことを心掛け、周回毎に学ぶことがありました。GR010 HYBRIDでの、ダブルスティントの対応やコース上のトラフィック対処といった、昨年までのクルマよりもとても難しくなった課題についても、さらに理解を深めていかなくてはなりません。とはいえ、この初勝利は本当に嬉しいです。チャレンジングなレースでしたが、とても楽しめました。