【WRC2023】第7戦 TOYOTA GAZOO Racing WRTは二年連続となる1-2-3-4フィニッシュを達成(サファリ・ラリー・ケニア)

  • ヴァンサン・ランデ、セバスチャン・オジエ

2023/6/21-6/25、主舞台は見通しの良い平原の高速グラベルステージとなる、アフリカの伝説的グラベルラリー、WRC第7戦 サファリ・ラリー・ケニアが行われた。
TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ(17号車)が優勝。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン(69号車)が総合2位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(33号車)が総合3位でフィニッシュ。また、TGR WRCチャレンジプログラムのサポートにより出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン(18号車)が総合4位を獲得したことにより、GR YARIS Rally1はサファリラリーを2年連続で1-2-3-4フィニッシュを達成した。

DAY1
午後2時過ぎからナイロビ郊外のカサラニで全長4.84kmのグラベルステージ、SS1としてスーパーSSが行なわれた。2台同時走行のこのSS1で、オジエはベストタイムのタナックと僅か0.1秒差の2番手タイムを記録。ロバンペラが総合3位に、エバンスが総合5位につけ、勝田は、総合7位で走破した。
なお、競技が始まる前にコンセプトカーである「ハイラックスMHEV」が2回デモ走行。元WRCチャンピオンで、サファリ・ラリーで3回の優勝経験を誇るレジェンド、ユハ・カンクネンが華麗なるドライビングを披露した。

DAY2
サービスパークが置かれるナイバシャ湖の周辺で3本のグラベルステージを各2回走行、合計距離が125.82kmとなるサバンナでの本格的な戦いがスタート。
周辺は一日を通して雲が多く、気温もあまり上がらなかったが、心配されていた雨は降らず概ねドライ路面での戦いとなった。
オジエは、SS2「ロルディア」で、2番手タイムのロバンペラに7.5秒差をつける圧巻のベストタイムを記録するなど4本のベストタイムを記録し、首位に立った。
ロバンペラが総合2位に、エバンスが総合3位に、勝田は荒れた路面のステージで奮闘。クルマにいくつかダメージを負いながらも一日を走りきり、総合5位で一日を終えた。

DAY3
3本のグラベルステージを各2回走行、合計距離150.88km、4日間で最長となるナイバシャ湖の北側にあるエレメンタイタ湖の周辺が戦いの舞台となった。
前夜に降った強い雨によりステージの一部は湿り、泥状になって非常に滑りやすくなっているセクションもあり、最終ステージのSS13「スリーピング・ウォリアー2」では一部の区間で大雨が降り、路面は泥状となった。
オジエは、SS8で終盤タイヤがホイールのリムから外れた状態で走行するもベストタイムを記録するなどし首位を堅持。ロバンペラが総合2位に、エバンスが総合3位に、勝田貴が総合4位につけ、チームはラリー最終日を前に1-2-3-4体制を築いた。

DAY4
ナイバシャ湖近くのサービスパークを中心に、「マレワ」「オセリアン」「ヘルズゲート」という3本のグラベルステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は74.38km。ナイバシャ湖の周辺は全体的に雲が広がりながらも時々青空も見え、競技中に降雨はなかった。
最終のパワーステージを前に首位オジエと総合2位ロバンペラの差は9.2秒にまで縮まり、優勝争いはボーナスの選手権ポイントがかかるパワーステージへ。全長10.53kmのパワーステージ「ヘルズゲート2」で、オジエが6.7秒差でロバンペラの猛追を抑え切り、2021年大会以来2回目となるサファリ・ラリー優勝、そして今シーズン3勝目を飾った。
一方、エバンスと勝田による総合3位争いは、勝田がSS14で3番手タイムを刻み差を11.4秒差に。勝田はさらにSS17でも3番手タイムを記録し、SS18ではベストタイムをマーク。しかし、エバンスも安定した走りを続けた結果、順位は変わらず。エバンスが25.3秒差で勝田を抑えて3位表彰台を獲得し、勝田は総合4位でフィニッシュした。
TOYOTA GAZOO Racing WRTは、オジエとロバンペラが獲得したポイントによりマニュファクチャラー選手権首位の座を守り、選手権2位のライバルチームに対するリードを23ポイントから42ポイントに拡大し、ドライバー選手権ではロバンペラが首位の座を守り、選手権2位のライバルに対するリードを25ポイントから37ポイントに拡大。エバンスは選手権3位に順位を上げた。

<<豊田 章男 (TGR-WRT会長)>>
サファリ・ラリー復活以来3年連続の優勝、そして2年連続での1-2-3-4フィニッシュという素晴らしい結果で、今年もサファリを走り切ることができました。8人のドライバー達と、メカニック、エンジニアをはじめとしたすべてのチームメンバーに感謝いたします。チームのみんな、ありがとう!

クルマにとって厳しい環境も多いアフリカでは他の地域と違い「無事に生きて帰って来れる」ということが、クルマには強く求められています。そんなアフリカで4台のGR YARIS Rally1 HYBRIDが無事に走り切り、TOYOTAの信頼性を示してくれたこと、本当に素晴らしいことだと思います。

ただ、実際のラリーを見ると、決してクルマの信頼性だけで実現された結果ではありません。ドライバーたちとメカニックたちの力が合わさって得られたものでした。優勝したセブは、金曜日にスペアタイヤ1本に減らして走るなど、リスクを取って勝ちにいく姿勢で走ってくれました。迎えるカッレも、そしてエルフィンも貴元も、セブに負けじとプッシュし、チーム全体で競い合うことで、みんなが全力を出しきってくれていたと思います。その結果、クルマが大きく傷んでサービスに戻ってくることもありました。

しかし、メカニックたちが、いつも通りの確実な仕事で元の通りに直し、クルマとドライバーを再びラリーに戻してくれていました。今回のサファリで示せた”クルマの信頼性”は、こうしたチーム全員の仕事の結果です。そして、我々は、この信頼性を勝利のためだけでなく、次は、市販車にも活かしていかないといけません。

TGR-WRTのみんなにはシーズン後半戦のさらなる勝利に向けた努力とともに、ベース車”GR Yaris”や開発中の”GR Yaris Rally2”などお客様にお届けする”もっといいクルマづくり”の仕事もお願いしたいと思います。シーズン後半も、みんなで”もっといいクルマづくり”をがんばっていきましょう!

追伸1 ユハ・カンクネンサンへ
Hilux MHEVコンセプトのデモランをしていただき、どうもありがとうございました。昨年は欧州ベルギーで水素エンジンを、今回のアフリカではHEVを運転していただきました。カーボンニュートラルの実現に向けては、その土地その土地の環境に合わせて、”いま出来ること”を”すぐにでも”やっていくことが大切だと考えています。アフリカの地で”いま出来ること”はHEVを増やすこと…そのことを少しでも多くの人に知ってもらいたいと思い、誰もが知るレジェンドドライバーのユハさんに乗っていただきました。サファリ・ラリーはユハさんが初めてWRCで優勝したラリーだったと思います。その時のトヨタ車(セリカ ツインカム ターボ)に比べたら、今回お乗りいただいたトヨタ車は遥かにパワーが足りなかったと思いますが、運転を楽しんでいただけましたでしょうか?

追伸2 豊田通商のみなさん
今年も現地での熱い応援、そしてチームへのサポートをありがとうございました。特に、Hilux MHEVコンセプトのデモランに向けては、クルマの輸入手配などアフリカに精通している皆さんの努力無しには実現できませんでした。これからもアフリカで、トヨタが”まちいちばんのクルマ屋”になれるように、一緒に取り組んでいければと思っております。よろしくお願いします。

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