「水素エンジンクラスができるかも!?」ORC ROOKIE Racingトークショーにモリゾウ選手も飛び入り参加!

  • ORC ROOKIE Racingトークショーの集合写真

    ORC ROOKIE Racingトークショーの集合写真

1月14日、東京オートサロン2023に出展している小倉クラッチ株式会社のブースにて、「ORC ROOKIE Racingトークショー」が開催された。そこにはROOKIE Racingのオーナーでもあるモリゾウ選手こと豊田章男トヨタ自動車社長もサプライズ出演し、大いに盛り上がった。

ORC ROOKIE Racingは2022年シーズンのスーパー耐久のST-Qクラスに、水素エンジンを搭載した32号車ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptと、カーボンニュートラル燃料を使用する28号車ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptの2台が参戦。「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」に加え、運転する楽しさとカーボンニュートラル社会の共存に向けた挑戦が続けられている。

参加ドライバーの自己紹介を終え、まずは32号車水素カローラの話題へ。実はST-Qクラスは速さの違うメーカーの開発車両が走るためにレースとしての順位はつかないのだが、モリゾウ選手を中心にチーム内での“バトル”が繰り広げられているようだ。

 

モリゾウ選手と同じジェントルマンドライバーとして参戦する小倉クラッチの小倉康宏社長は、モリゾウ選手の速さについて「誰が悪いかっていうと(笑)、佐々木選手がモリゾウ選手にたくさんレクチャーするので、みるみるうちにどんどん速くなっていってしまい、もうついていくのに一生懸命です」と話している。

また、プロドライバーの石浦宏明選手は事前の練習をする機会がなく中古のタイヤでの走行が多いということで、「モリゾウ選手のタイムに勝てなかったら、帰ってきて何て言われるだろうって緊張感がすごいです」と、その速さにかなりのプレッシャーを感じているようだ。

と話していることろで、実はファンに紛れてトークショーを観ていたモリゾウ選手が登場!
「僕が入ってきたのに誰も立ち上がろうともしない」と笑いを誘い、「(話の内容が)カタイ」とカンペが出ていたような雰囲気が一気に和やかに。

いっぽう、28号車ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptについて大嶋和也選手は、最初にテストで乗った時「何が起きているんだこのクルマに」というくらい乗りにくいクルマだったという。
今後のトヨタのスポーツカーの車両開発に向けた新しい取り組みをしているため、量産の仕様とはだいぶ違ったクルマとなっていて、「いろいろトライし過ぎていて、もはや何がおかしいのかも分からない」という状況となり、1戦レースも欠場して見直すこともあったという。

そうして迎えた後半戦ではマシンも速さ、乗りやすさが向上したことで、28号車もコンマ1秒単位で争うチーム内バトルで盛り上がりながらマシンの開発も進んでいったという。

実際に28号車に乗るジェントルマンドライバーである豊田大輔選手は、第5戦もてぎではプロドライバーの大嶋選手や蒲生尚弥選手よりもレースラップで1秒以上速いタイムを記録したこともあるそうで、誰が乗っても乗りやすい「いいクルマづくり」が進められていることが伺えるエピソードだ。

また、同じくST-Qクラスに参戦するスバルのメーカーチームでもある61号車Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptとのバトルも見ものとなっている。
こちらは結果はGR86が負け越してしまったとこのこと。ただBRZは2.4LのNAエンジン、GR86は1.4Lターボエンジンという排気量が異なっているエンジンに同じカーボンニュートラル燃料を使用し、着実にカーボンニュートラル燃料の知見を蓄積できているだろう。

ただ、「最後勝ち負けにこだわりすぎて、開発の趣旨からだいぶかけ離れてしまった」(片岡龍也監督)というほど軽量化(開幕戦の時より100kg以上!)をするなど、レース魂にも火がついてしまったのはご愛嬌というところだろうか。

  • ORC ROOKIE Racingトークショーの様子

    楽しいORC ROOKIE Racingトークショーもあっという間にエンディングへ

そして最後に2023年の活動について、32号車の水素カローラはかねてより話題に上がっていた液体水素の投入を、開幕戦からできるように開発を進めているという。
液体水素は宇宙ロケットの燃料としても使用されているが、実際に宇宙ロケット用に液体水素を運ぶものと同じトラックを使用しており、そのあたりの調整も必要なようだ。
液体水素を使うことは「工場1個分をクルマに乗せて走るのと同じ」(佐々木選手)と言われるほどの高い技術が必要とのことだが、液体水素では1台のトラックで6台分の水素エンジンのレーシングカーを走らせることができるようになるという。
モリゾウ選手も「水素エンジンクラスというものもできるのではないか」と語るように、水素エンジン同士のバトルが繰り広げられることも、近々目の当たりにできるようになるのかもしれない。

また、2023年シーズンのROOKIE Racingの楽しみな展開は、3台目としてメルセデスAMG GT3とともにST-Xクラスにも参戦することとだ。

ROOKIE Racingというプライベートチームであるからこそ可能なことではあるのだが、スーパー耐久の最高峰クラスであり、毎戦の順位のみならず、シリーズチャンピオンをかけて戦う中で、ROOKIE Racingが見せてくれるであろう新たな姿も楽しみにしたい。

そして、28号車のGR86も引き続きカーボンニュートラルを使用し、「少しごまかした感がある」という2022年にやり残したマシンの開発を進めていくという。

2023年シーズンもスーパー耐久というモータースポーツの現場でさまざまな挑戦と進化を続けて行くROOKIE Racingに注目していっていただきたい。

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