ダイハツ最注目コンセプトカー『ビジョン・コペン』の実現性はいかに!?…ジャパンモビリティショー2023

コンセプトカーは市販車と違って安全基準や環境性能、道路交通法さらに量産コストといった制約をなくし、自動車メーカーが持つ最新の技術の紹介や先進デザインなど、今後を見据えたチャレンジを表現するためのツールでもある。そのため多くは出展されたままのパッケージで市販化されることはなく、あくまでも“コンセプト”に止まることがほとんどだ。
しかし稀にコンセプトカーを叩き台にした市販モデルが誕生することもある。今回のJAPAN MOBILITY SHOW2023(ジャパンモビリティショー)でも、そんな市販化の可能性に満ちた魅力的なコンセプトカーが登場した。

  • 初代ダイハツ・コペン(L880K)譲りのラウンドフォルムが特徴的な『ビジョン・コペン』

ダイハツブースに展示される『ビジョン・コペン』。その名の通り、軽スポーツとして人気が高いダイハツ・コペンの初代モデル(L880K)をイメージさせる、ラウンドフォルムを取り入れたコンセプトカーだ。
とはいっても先代とおなじ軽自動車規格ではなく、1300㏄エンジンと駆動方式はFRとして仕立てられるプランは事前のプレスリリースでも紹介されており、目指しているのは小型ライトウエイトスポーツだ。
軽自動車枠の縛りを取り除くことで、これまで実現できなかった走行性能の向上や走る喜びを進化させることに向けた検討を行っているという。もっとも現段階では搭載エンジンは決まっておらず、カーボンニュートラル燃料を利用するガソリンエンジンを組み合わせる想定だ。また、「走る楽しさを極めた」ともあるように、MTの設定も検討しているという。

実際に展示されたモデルを見ると、ボディサイズの拡大によって前後のトレッド幅を広げられるのは大きなメリット。ハンドリングマシンとしてコーナー性能を強化し、走る喜びを追求するという開発テーマを強調することができるのだ。車体を見ると既存のコペンと比べてふた回りほど大きくなっているが、全長3835mm、全幅1695mm、全高1265mmというサイズは、対抗馬と考えられるマツダ・ロードスター(ND5RC)などと比べてもコンパクト。コペン譲りのアクティブトップも採用されるが、それでも軽量化ボディを目指している。

  • トランクリッドの形状は空力を考慮して丸みを抑えている

デザインの自由度が高いLEDのライティングユニットで前後共通のランプデザイン

スタイリングは初代コペンのイメージを踏襲しつつも、フレア形状でワイドになったフェンダーや、空気の流れを最適化したリアまわりの造形など進化した見どころも多数。また、ヘッドライトやテールランプはLEDを利用することでデザインの自由度をアップ。前後共に共通のデザインを取り入れることで独特で可愛らしい印象を与えている。この辺りも初代コペンのデザインを意識したポイントと言えるだろう。

  • シンプルで視認性の高いメーターやディスプレイ周りのデザイン

  • コペンシリーズ同様にアクティブトップを搭載し手軽にオープンカーにトランスフォーム

インテリアに目を向けると“MT”という事前情報とは違い2ペダルが備わっているのは意表をつかれた部分。もちろん、あくまでもコンセプトカーなのだから当初の計画から変化してくこともあるだろう。逆に白紙部分や改良のための余裕がある方が継続的なブラッシュアップに繋がり、結果として市販化に限りなく近づいていくこともある。実際にMTも検討しているという話を伺っているため、今回展示された『ビジョン・コペン』は叩き台の第一弾として捉え、今後の動向に期待したいところだ。

  • 壇上には初代コペン(L880K)もディスプレイ。改めてデザインの共通性を認識できる

1300㏄ガソリンエンジン、MT、FR。事前のプレス情報にあったこのパッケージングで市販化を望むユーザーの声は多いのだが、現段階では市販化の目処は一切立っていないのは実際のところ。しかし1999年の東京モーターショーで参考出展された『KOPEN』から初代コペンが生まれたように、この『ビジョン・コペン』をベースとした市販車両が誕生する可能性はゼロではない!?

(文 写真:渡辺大輔)
[GAZOO編集部]

MORIZO on the Road